ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!

171:お裾分けしてみた

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 チビッ子三匹がミニトマトを食べている。
 テラが枝からもいで、ヨミとリルへと上手に投げ渡し、自分の分を取ったテラが二匹の所へと行くと、仲良く三匹で食べ出すのだ。
 それを何回か繰り返している。
 食べるの早っ。
 てか、リルは小狼の姿になれば自分でも取れるのに、なぜ超小狼のままなのだろう?

 ミニトマトをプチプチと2つ取り、ガルムに差し出す。
「はい、どうぞ」
 俺の手からパクリとミニトマトを食べたガルムは、ちょっと驚いた表情をする。
<美味いの、あるじ!>
「んふふ~、だろ?これなら5個1,000F\フェンでも売れそうだよな!」
 かなりなぼったくり値段設定だが、気分的にはそれくらい美味いのだ。

「買う!買います!」
 いきなり元気に宣言されて、声のした方へと顔を向ける。
 元気に手を上げているのは、え~っとどっちだっけ?目黒か名取か。
「フェンリルが水撒きしたミニトマト食べたいです!」
 確かに、そう言われると希少性高そうだな。
「ヴィンちゃんが育てたトマトなら、私も食べた~い」
 これもどっちだ?燕か三条か。

「馬鹿もんが!」
 ゴチンと聞くからに痛そうな拳骨を喰らわせたのは、オッサン大宮さんだ。
「オッサン!久しぶりだな!ミニトマト食べるか?」
 ガルム用のミニトマトを摘むついでに、オッサン達用も摘む。
 この間も黙々と食べ続けているチビッ子三匹。漫画のようにお腹が膨らみそうな量だぞ。

「ほい、オッサンの分」
 5個のミニトマトを渡す。
「はい、……名取?の分」
 疑問系なのは許して欲しい。自信がなかったのだ。ガタイが良いのが末っ子の名取だとは覚えていた。比較対象が無いと、体の大きさは大して判らないものだな。反省。
 ミニトマト3個。
「燕か三条、どっちだ?」
 こちらの双子は元々見分けがつかないから、素直に聞くことにする。
「三条だよ!」
「じゃあ、三条の分な」
 こちらにも3個。

 名取に三条なら、鍛冶師組が来たのか。
 魔物野菜畑にスプリンクラーの設置に来たそうだ。それは鍛冶の仕事ではないのでは?と思ったが、この世界では同じ括りの仕事なのかもしれん。何せ魔法の世界。

美味うまっ!!売ってる野菜より美味っ!」
 ミニトマトを食べた名取が感動している。
 美味いのは当たり前だ。野菜は収穫した瞬間から鮮度が落ちているのだからな。
「売れば良いのに……100,000F\で」
 呟いた三条は、黒い笑みを浮かべていた。
 それって、1万円って事だよな?ボッタクリバー並みの高額請求!?


「死人出るから!売ったら死人出ちゃうからね!」
 てのひらの上に魔物玉葱を載せてココアが近付いて来る。
 妙にリズミカルな歩き方なのは、魔物玉葱の歌う曲に合わせているからか?

「死人が出るって何だ?うちの子達が育てたミニトマトに毒はないぞ」
 現に、今、普通に食べている。
「そういう意味じゃないわよ!争奪戦で死人が出るのよ!」
 ん?前に同じ事を言われたな。
 あぁ、綺羅が言ったのか。面白くない冗談だと流したな。

 とりあえず、ココアにもお裾分け。
「ほら、ミニトマト」
 空いている方の手にミニトマト3個。
「ありがとう。いただきます」
 言いながら口にミニトマトを放り込むココア。
 ただでさえデカイ目が、更に見開かれる。
 目玉落ちるぞ。おい。


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