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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!
168:正月イベント概要
しおりを挟むクランハウスの俺の部屋。
なぜ俺の部屋集合?
綺羅とはれひめは、俺が魔物野菜畑に行く直前にログアウトしたそうだ。
「学校の課題の件で集合がかかりました。落ちる挨拶もできずにすみません」と、ひどく焦った様子だったらしい。
はれひめも一緒だった事から、どうやら学校の同級生なのだろう。
「イベントの概要確認しないとだね~」
慣れた様子でインベントリから卓袱台を出すオーベ。
従魔用のカウチと小さいテーブルしかない俺の部屋は、俺の好みの問題で人間用のソファは置いていない。毛足の長いラグや大小のクッションが色々置いてあるのだ。
共有スペースはソファに座る形なので、俺の部屋の方がくつろげるのかもしれない。
日本人だからな。
「えぇ~っと、『カラフル兎を捕まえろ』?は?カラフル兎って何~?」
代表してウィンドウを開いていたオーベがマヌケな声を出す。あ、元々か。
「てか、何!?その平和なイベント」
咲樹が自分もウィンドウを開いて、イベント告知メッセージを開く。
「今回は大規模戦闘だと予想してたんだがな!」
「あぁ。私もてっきり共通の敵を倒して、新しい地域が公開されるのだと……」
ユズコの台詞に同意を示していたジルドが、言葉を止めて俺を見た。
「いや、まさかな」
ひとり納得?して首を振っているジルド。
「そういえば、ヴィンが幻想世界へ来た日に新しい地域が公開されましたね」
へ?初耳です。いや、新しい地域がどうのって話はどこかでチラリと聞いた気はするけど、俺が始めた日ってのは初耳だ。
「新しい地域の名前がニヴルヘイム、ヘルヘイム、ムスペルヘイムだろ?」
ジルドがチラリとガルムを見てから、リルを見る。
「本当は、正月イベントでフェンリル三兄弟がラスボスで、新しい地域が解放される……とかなら今までのパターンだったな、と思っただけだ」
「フェンリル三兄弟?」
咲樹が聞いている。あ、学生時代に神話を調べた時に咲樹は入ってなかったか。
「長男フェンリル、次男ヨルムンガンド、末子ヘルだな」
「じゃあ、今回のイベントのご褒美はヨルムンガンドかもね」
うふふ、と咲樹が笑う。
テイマーかサモナー以外が魔獣貰ったらどうするのだろう?飼うのか?
<ヨルムンガンドの好物は兎だから、兎がいっぱいいたら釣られて出で来るかもしれないね>
うん。要らない情報ありがとう、リル。
フラグを立てるのはやめてください。
「僕だったら、正月イベントのラスボスがフェンリル三兄弟で、イベント終了後に『にきしま』のボスをガルムからヘルへ変更にしますね。それで新しく解放された地域に、目玉としてガルムとフェンリルを放します」
なるほど。新しい地域を探索する楽しみが増えるな。
「ガルムは『にきしま』のラスボスだったけど、その頃から妙に人気高いからね~」
格好良いからな!ガルムは!
何となく得意満面になっていたら、なぜか残念なものを見る目で見られた。
「レイの案が本来のイベントだったら、運営はさぞかし嘆いてるだろうな」
ジルドが呟いた言葉に、皆が頷く。
「そういえば、前に雑誌のインタビュー記事で、AIの性能を上げ過ぎて、運営の予想を遥かに超えた行動をされちゃう事があるって書いてありましたね」
へ~。今は凄い技術があるのだな。
「とりあえず謝っとけ、ヴィン」
爽やか笑顔でユズコが上を指差す。
上?天井?
「運営にですね」
え?何でレイも爽やか笑顔?
ジルドも咲樹もオーベも笑顔。
「え~と、よくわからないけど、すみません?でした?で良いのかな」
上に向かって謝って?おいた。
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