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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな

158:同僚がマジ馬鹿だった

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 瞬殺。
 なのに、その後が酷いと思う。
 甲冑男が何か言おうとした瞬間、テラが毒霧を吐いた。
 対人戦闘PvPは、戦っている空間が別次元扱いなので、毒霧も問題ないらしい。
 おそらく既にコレで決着はついてたと思う。

 追い討ちでガルムが斬撃を飛ばし、ヨミが落雷を落とし、ダメ押しでリルが青い炎で焼いた。
 その間もテラの毒霧の効果は続いてるので、甲冑男だった黒い液体だけが残った。
 いや、黒い液体!?と思ったら、赤い光に包まれて消えちゃったけどな。

 トラウマ!トラウマ案件!!

 甲冑男は瞬殺のはずなので、周りで見てた人の方がヤバイ。
 しかし、甲冑男は何と言おうとしていたのだろうか?
「ごめんなさい」か「まいった」か。
 聞こえていても、キャンセル無しって宣言したから応じなかったけどな。



 同僚ペルセポネを囲っていた甲冑集団は、俺の「次は誰?」の台詞に全員逃げて行った。
 それでも最初に俺に声を掛けた男は「花の女神様、一緒に帰りましょう」とか言って粘ってた。
「ペルセ、もっと他の人とも遊びたいの!もうクランも抜ける!」
 とペルセポネに言われて、やっと諦めたようだった。

「何してるの?お前」
 獣人リスの幼女に向けて言うには不適切な言葉だが、素直な俺の感想だ。
「ちょっとやり過ぎた」
 可愛い声に不釣り合いな口調。いつもの同僚の口調だ。

「酒は?」
「日本酒」
「日本酒と言えば?」
「二級酒」

 間違いなく、同僚だ。
 今は使わなくなった「二級酒」と言う言い回しを使うあたり、間違いない。
 俺とこの幼女な同僚が私的に飲みに行くきっかけも、会社の飲み会で日本酒を飲んでいたのが二人だけだったからだ。
 それはともかく、色々吐いてもらおうか。


「は?もう1回ちゃんと詳しく説明してくれ」
 眉間に皺を寄せて、ペルセポネ……面倒だからもうペルセで良いか。本人もそう言うし……を睨んだ俺は悪くない。
「魔法少女の幼女になりきったらロリコンが湧いた」で、意味が解るわけないだろ。

 ちなみに今は、街の居酒屋。
 俺はオーベの膝の上、ペルセはユズコの膝の上だ。
 俺よりユズコ&ペルセの絵面えづらがヤバい。
 獣人白虎に捕まっている獣人リスの幼女にしか見えん。
 ペルセは俺より小さいから、咲樹の膝の上ではまだ低いのだから、しょうがない。

「キャラ設定の時に弾けてな。当時流行っていた魔法少女を元にアバターを作り上げた。そして、それに合うキャラを演じた」
 馬鹿だ。馬鹿がいる。
「最初は、面白がって姫扱いする人が周りにいたんだが、そのうちマジなのが周りを固め始めてな」
 うわぁ、想像できる。

「常識のあるのは、ほぼ全員離れたよ。残ってるのは、今いるクランの副責任者くらいだな。俺に同情して残ってくれたんだが、今は頼まないとログインし異界へ来ない」
「今日は頼まなかったのか?」
「嫁の実家に居るから無理だと断られた」
 それは……無理だろうな。

 現実リアル事情まで明かせるって事は、親しい仲なのだろう。
「まぁ、兄なんだがな」
 お兄さん、ちょっと同情します。
 実の弟が獣人リスの魔法幼女。
 よく見捨てなかったな。


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