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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
155:同僚が同僚だった
しおりを挟むとりあえず、メッセージをしてみた。
友人登録しなくても、IDでメッセージだけは送れるそうだ。
『名前を聞くのを忘れた。今どこにいる? メガネ』
これは、同僚と俺にしかわからないであろう書き方だ。
知らない人ならば、こちらの通称がメガネだと思うだろう。
実際は、現実で同僚は眼鏡を掛けており、俺がヤツを私的に呼ぶ時に『メガネ』と呼ぶのだ。大体が飲みの席でだがな。あと、ムカついた時。
〈ID 00000529[ペルセポネ]からメールが届きました〉
変身、じゃない返信早っ!
『家だよ。連絡きたらログインする予定なんだよ。てか、さっさと登録しろや、ボケ。
そして、そこではメガネって呼ぶなよ』
大丈夫だ。間違いなく同僚だ。
はい、ポチリ。
〈ID 00000529[ペルセポネ]を登録しました〉
ピコンと音が鳴り、目の前に[チャット:ペルセポネ]と出た。
待ち合わせ場所などの連絡だろうとポチッとする。
幼女になってる同僚は、どんな設定なのだろうか。
咲樹のように、色気タップリハイエルフよりはマシか?
ペルセポネ:待ち合わせ、『しきしま』噴水前でよろしく
ヴィン:挨拶も無しか!
ペルセポネ:会ったらする
ヴィン:クソメガネが!!
ペルセポネ:メガネ言うな。ギャラリーいるだろうが気にするなよ。
ヴィン:お前もかよ
ペルセポネ:は?
ヴィン:こっちの話だ
この後すぐに待ち合わせるのかと思いきや、『有名人だから護衛が必要』とか意味不明な事を言って、現実時間22時待ち合わせになった。
意外と余裕あるな。
悩む。
このまま菜園造りを続けるか、従魔達を洗ってモフモフするか。
「綺羅、苗はいつ頃届く予定だ?」
「そうですね。頼めばすぐに届くと思いますが」
「いや、そこまでは無理はしなくて良いな。都合の良い時に届けてくれるよう頼んでおいてくれ」
俺は普通の苗だから、農業指導はいらないだろうし。
「ヴィンさんに会いたいから、予定合わせますって」
「何だそりゃ。まぁ、それなら尚更、後に予定がない方が良いだろうから、今日はダメだな」
それにしても、使命感の強いファーマーだな。
「世の中の合コンなんて無くなれば良い!」
意味不明な事を言いながら、咲樹がクランハウスから飛び出して来た。
今後の予定をどうするか、綺羅と話し合っていた俺をグワッと抱き上げ、頬擦りしだす。
「アルコール飲まないって言ってるのに、ウーロン茶がウーロンハイになってるし、ジンジャーエールがハイボールになってるし、なぜバレないと思うのかしら!」
グリグリグリグリと、頭の天辺にも思いっきり頬擦りされる。
「犯罪ですね」
綺羅が呟く。咲樹が女性だと思ってるから、尚更驚いているのだろう。
「犯罪だな」
俺も同意する。
咲樹はゲーム内に来たいからアルコール摂取しなかったのだが、もしアルコールにアレルギーがある人だったりしたら、殺人未遂だ。
軽くても未必の故意。
これは、男女関係ない。
とりあえず、咲樹の頭を撫でておいた。
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