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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
151:特性
しおりを挟む畝に植えられた苗を見る。
苗の段階では、普通の野菜と変わらないのか?
指先で葉っぱをつつこうとしたら、ヒョイッと避けられた。
「動くのかよ!?」
思わず叫んだが、そうだよな。あくまでも魔物だった。
触れようとすると、スルリと避ける苗。どうやって等間隔で植えたのか。
「触りたかったら、殺気ぶつけて~」
オーベがサラリと怖い事を言う。
殺気って何?いや、意味は解るけど、殺気をぶつけないと触れない植物の世話ってどうやるわけ!?
<了解した>
ぶわっと俺の後ろで膨れ上がる殺気。
ガルムの殺気って、初めてかもしれない。
いつもは戦闘中でも殺気を出さずに、しれっと倒しちゃうからな。
「苗が震えてるけど、大丈夫なのか?」
プルプルしてる苗に触れて顔を上げると、苗以上にプルプルして顔面蒼白の綺羅がいた。
「大丈夫か?綺羅」
俺の問い掛けに、油の切れたブリキのように首を横に動かす。
「ヴィン、殺気が強すぎると枯れる恐れがある。ガルムに加減するように言え」
少し先で作業していたジルドが叫ぶように言ってきた。
かなり遠くに感じるのだが、あそこまで殺気が届いたのだろうか。
「ガルム、殺気が強すぎるらしい」
<ん?そうか。これくらいか?>
苗と綺羅のプルプルが止まった。
「極弱い殺気ですね」
レイが俺の隣に来て、納得したように頷いている。
真面目な顔してるけど、頭の上にヨミを乗せているから台無しだ。
<きゅ!>
良いでしょ?みたいな顔でこっちを見られてもな。
説明を聞いていたテラとユズコが、まだ植えていない苗の所でしゃがみ込んでいる。
多分、触ろうとすると避ける苗で遊んでいるのだろう。
<<殺気ぶつけない方が楽しい~!>>
そりゃ良かった。
「おぉ!動く動く!」
意思の疎通ができないはずなのに、妙に仲が良いよな、ユズコとテラ。
「うおわぁ!?」
一番離れた所で作業していたオーベが、急に変な叫び声を上げた。
見ると、尻もちをついた体勢の腹の上に、リルがいた。
作業をよく見ようと、脇から顔でも突っ込んだのだろう。
驚いて倒れた腹の上に乗るのは、獣の本能なのか?
「悪い、紹介し忘れてた。新しい従魔でフェンリルのリルだ」
オーベに向かい手を振りながら、リルの紹介をする。
「従魔が増えたのは知ってたけど~、ガルムより大きいって聞いてたんだけど~?」
多分咲樹情報だろうな。
「本来はな。小さくなれるから、普段はその姿だ」
<驚かしてしまったかな?リルと呼んで構わないよ>
上から目線!!
ジルドがリルとオーベの所へ歩いて行く。
「よろしく頼む」
しゃがんで右手を差し出すジルドへ、同じように右前足を出すリル。
お手?
あ、握手してる。
ジルドさんや、本当にもふもふ好きだな。
年明けに帰って来る白狐と月兎の飼い主は、ジルドで決定か?
でもとりあえず、リルをオーベの腹の上から降ろしたらどうだろうか。
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