ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな

150:カラフル

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 従魔仕様のジャングルジムに、滑り台。
 そのうちブランコとかも増えないだろうな?
 まぁ、ブランコはちょっと遊びたいが……今うっかり口に出したら、明日にはブランコが設置されていそうだな。

 それよりも畑だ。
 日当たりの良い場所で、従魔達が走り回るのに邪魔じゃ無い場所をと、前に目星を付けた空き地。
 栄養状態が悪いからこその空き地だろうと、腐葉土や栄養剤を買って置いておいた。
 正確には、買うように頼んで置いておいてもらったのだが……


 家庭菜園どこ行った。
 俺の知ってる家庭菜園は、広くても家一軒分の土地が在れば充分だ。
 森を切り拓いてまで畑にするつもりなど、微塵も無かった!
「広過ぎだろう!」
 叫んだ俺は悪くない。絶対。

「あ、ヴィン~、レイ~、久しぶり~」
 作業用のツナギを着たオーベが手を振っている。
 頭にクラン証とチェーン……フェロなんとかってのを付けている美形エルフのツナギ姿。
 アンバランス過ぎる。
 何でツナギの色が真っ赤なのか。

 横で作業場していた真っ黄色なツナギも立ち上がり、振り返る。
「遅かったな」
 漆黒の髪を邪魔にならないようにひとつにまとめているジルドだ。
 黒髪に真っ黄色!マジで何でこの色のチョイスだ。


「お疲れ様です。はい、これ」
 家庭菜園の話をしたら、知り合いが農業従事者ファーマーだから腐葉土とか譲って貰えると言っていた綺羅だ。
 手渡されたのは、俺には白でレイには黒の、おそらくツナギ。畳んであるからよく判らないが、この流れならツナギだろう。

 何の躊躇ちゅうちょもなく着替えるレイ。まぁ、黒だし普段の戦闘着とあまり変わらないからか?
 しょうがないから俺も着替える。
 ウィンドウを出して、ポチリで一瞬だけどな。

 ……笑うなら声に出せ。
 てか、綺羅よ。畑の作業着であるツナギに、天使の羽根は必要か?
 そもそも天使はお前だろうが。
「言い訳があるなら聞いてやる」
 綺羅を睨み付けると、良い笑顔で「依頼なので」と言われた。
 誰からの依頼だよ。


<<あるじ可愛い~>>
 後ろからテラの声。
<きゅきゅ!>
 ヨミも肯定するように鳴く。
<主は、天使の子供なのかい?>
 リルの言葉に即座に「違うから」と答えておく。
 製作者の意図はともかく、俺は天使ではない。
 そして今までのやりとりを温かく見守るガルム。保護者か!?


「いやぁ、さすがにあの滑り台を白虎では無理だった」
 わはははと豪快に笑いながら歩いて来るユズコ。
 何してるの、ユズコ。
 だから従魔達も来るのが遅かったのか。
 一緒に遊んでたな?

 俺を見て、爽やか笑顔でサムズアップ。
「似合ってるぞ、ヴィン」
 本人は本気でそう思ってるし、嫌味でも嫌がらせでもない。
「……ありがとう」
 ため息と共に返事をしておく。

「はい、どうぞ」
 そんなユズコに、綺羅が笑顔でツナギを渡す。もしや全員分あるのか?
 ユズコのツナギは、真っ青で爽やかさ3割増しである。
 それにしても、赤、黄色、黒、青って……
「もしかして咲樹のはピンクか?」
「はい」
「戦隊モノか?」
「依頼されて作っただけです」
 良い笑顔だな、綺羅。

 余談だが、綺羅は灰色の本当に作業着って感じのツナギなのだが、本人が天使でキラキラしてるから逆に違和感が激しい。
 いや、まず、ここで作業着着ている事がおかしいのだがな。
 店はどうした?店は。


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