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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
148:謎だらけ
しおりを挟む「お疲れ様でした。良いお年を」
「良いお年を」
「来年も宜しく」
「お疲れ様でした」
同僚や上司に年内最後の挨拶をして、いそいそと荷物をまとめる。いつもの年末と違い浮かれた雰囲気である事が同僚にはバレていたらしい。
「今年は寝正月じゃないのか?」
会社の出口へ向かい歩いていると、声を掛けられた。
あの誕生日の時に定食を無理矢理奢ってくれた同僚だ。
「ちょっと異界にな」
わからないだろうと、ニヤリと笑って言ってみた。
同僚の反応で、それが大失敗だと気付いたがもう遅い。
「幻想世界か!」
うわぁ、できれば会社関係にはバレたくなかったのだがな。
自分の迂闊さにへこむ。
「何だよ、早く言えよ!俺、βからのプレイヤーだぜ」
ベータとは何ぞや。
ドヤ顔の同僚を怪訝な顔で見た俺は悪くない。と、思う。
「もしや始めたばっかか?」
「誕生日からだ」
「マジか!」
「マジだ」
「ほぼ初心者じゃん。まだ『にきしま』辺りか?」
「いや、友人がいるから『しきしま』まで行ったな」
同僚が何やら考え込む。
「今、何か『しきしま』が面白いらしいんだよな。『ニヴルヘイム』にいるんだけど、戻ろっかな」
『ニヴルヘイム』?どこかで聞いたな。
同僚から普通のメールで、幻想世界のIDが届いた。
幻想世界メッセージアプリに登録すると、あっちでもメッセージのやり取りができるそうだ。
面倒だから年明け仕事始めまでスルーしようかと思っていたのがバレていたらしく、目の前でコピペさせられた。
「これでも名前が知られてるんだぜ」
ドヤ顔その2。
「とりあえず、ログインしたらメッセージ送る」
それこそ面倒なので、あえて何も聞かずに別れた。
俺のIDはまだ教えてないのだが、大丈夫なのか?
まぁ良いか。
いつものように、夕飯と風呂を済ませてログインする。
クランハウスの自室で、いつものように従魔達にご挨拶。
ガルムの胸の毛に埋もれ、ヨミを撫でくりまわし、テラのスベスベな鱗を堪能し……あれ?リルがいない。
「リルは?」
ガルムに聞くと、無言で窓の外へ顔を向ける。つられて窓の外を見ると、立派な滑り台が設置されていた。
そしてそこで遊ぶ小狼一匹。
クッションも使わずに、四つ足で滑り降りている。
爪で滑り台が傷だらけにならないのか?
<体力が有り余っておるようだの>
呆れているのか、楽しんでいるのか、ガルムがリルを見ながら呟く。
確かに何度も何度も滑り降りる様子は、公園で遊んでいる子供そのものだ。
しかし、妙にキラキラというか、高そうな滑り台だな。
「いつから増えた?あの滑り台」
<きゅ?>
ヨミが首を傾げる。うん。可愛い。
<<きたばっかだよ~!>>
テラが嬉しそうな声で答える。気に入っているらしい。
<昨日、この前の五人が来て設置して行きおったぞ>
この前の五人って、あの工房の五人か!?
耕耘機を頼んだはずなのに、なぜ滑り台?
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