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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
145:残酷な事実
しおりを挟む鳥兜、召喚獣しか居ないのだろうか。
『日出処』に行けば居るのかな?
可愛い八咫烏でも従魔にって思ってたけど、居るなら鳥兜が良いな。
温かい目で鳥兜達を眺めていたら、肩をトントンと叩かれた。
「ヴィン、うちの子達が可愛いのはわかんだけど、座布団の魔力はどうやるの?」
やる気満々なテラと、苦笑いしているミロが俺を見ていた。
「テラは魔力感知が得意なのか?」
<<魔力かんちって何?>>
あ、はい。
「レイ、テラが魔力感知って何?って質問しているのだが、俺には上手く説明する自信がない。任せた」
「任されました」
良い顔で微笑まれた。
「感知とは、感じるとる力の事ですから、魔力感知とは、魔力を感じとる力の事です。テラは魔力の多い少ないが判るのでしょう?」
<<隊長が1番多いから、座布団とほとんど同じ!>>
へぇ~。そんな細かく判るのか。
「ヴィン、テラは何と?」
あ、テラの声は皆には聞こえないから、通訳しなきゃだった。感心してる場合じゃない。
「隊長の魔力は、座布団とほぼ同じらしい」
「それでは、それぞれの鳥兜と同じ魔力量に座布団の魔力を調節すれば良いという事ですね」
レイが笑顔で告げると、テラはコクンと頷いた。テラは仕草が子供で可愛い。
俺達の会話を神妙な顔で聞いていたミロが、急に両手をグッと握り締める。
「オレ、もっと魔力感知の訓練するわ」
よくわからないが、やる気スイッチが入ったらしい。
まぁ、頑張れ。
テラが座布団に手を置き、すぐに離す。
それを3枚の座布団全てに行う。
別に触れる時間を変えるとか、触れる位置を変えるとかもなく、全部にちょこっと触れただけだ。
だが、明らかに何かが変わったらしく、ホットケーキを食べ終わった鳥兜達がそれぞれの座布団に近付き、ポフンと飛び乗った。
巣の中にいるようにいる小鳥のように、リラックスした様子で座布団に蹲る鳥兜達。
目を細めて、うっとりとした表情も可愛い。
「これ、微妙な魔力量の違いはオレちゃんには判らないから、座布団に名前付けておかないとだね~」
いつもの調子に戻ったミロが言う。
「名前って、隊長とかか?」
「そう。隊長、副隊長、補佐だね」
平じゃなくて、補佐でした。
「はい!平仮名でまるにた、まるにふ、まるにほのマークを金で書く!」
目黒が元気に手を上げる。
なぜに金?と思ったが、言わないでおこう。
ここは天国か。
ヨミとリルは、仲良く滑り台で遊んでいる。
ガルムは、二匹が使うクッションを投げる係だ。喧嘩しないように見守り係でもある。
テラは、鳥兜三羽とキャッキャウフフと追いかけっこだ。
やっぱ良いな、鳥兜。
「鳥兜は召喚獣で、クエストでしか手に入らないよん」
遊ぶ従魔達と鳥兜達を幸せ気分で眺めていたら、隣に来たミロが残酷な事実を教えてくれた。
「じゃ~ん!名入れができた座布と~ん。魔力量が変化したりしてないか確認に来たんだけど、隊長達は?」
キョロキョロと周りを見回すミロは、鳥兜達を発見できないらしい。
テラと追いかけっこして……あれ?
「テラ、鳥兜部隊は?」
<<ここ~>>
ヒューンと飛んで来たテラは、俺達の前で停止して、クルリと回れ右をする。
「寛ぎすぎ!!」
思わず叫ぶミロに、うん、そうだね、と心の中で同意する。
テラの背中に、三羽が並んで乗ってた。
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