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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
144:魔力とご褒美とトリカブト
しおりを挟む錬金釜にリルの毛と、小さな羽が入れられる。
目黒と燕が釜に手を触れ、俺にはわからない言語を唱えた。
釜の宝石が光る。全てではないので、何か法則があるのかもしれない。
光が収まると、二人は顔を見合わせてから蓋を開けた。
目黒が手を入れる。
引き出された手の上には、仏壇にある鈴を置くみたいな小さい座布団。
それが、微妙な色違いで3つ。
可愛いな、座布団。
これに鳥兜が乗ると想像するだけで、ちょっと悶えそうだ。
「あ、想像以上に魔力高いけど大丈夫かな」
目黒が燕に1個渡し、ミロにも1個渡した。
「恐るべし、フェンリル」
呟いたのは燕だ。
「ご褒美になるかな?むしろ拷問?」
失礼過ぎないか、ミロ。
「魔力酔いするかもしれませんね」
レイの言葉に、ミロの台詞の意味を理解する。
魔力酔いはわからないが、二日酔いみたいなものと思えば、確かに拷問だ。
<<魔力抜く~?>>
俺の右肩で見学していたテラがそんな事を言ってきた。
ちなみにヨミとリルは、外で滑り台で遊んでいる。ガルムは、保護者だ。
「そんな事できるのか?」
<<得意~>>
言われれば、孵化するのに皆の魔力吸いまくってたな。
「テラが魔力を抜こうか?と言っているが」
俺の提案に、工房内の目が全てこちらを向く。なぜかギラギラしてて怖い。
「魔力を込めるのは簡単だけど抜くのは難しいのよ!上級錬金術師か上級魔導師しかできないしこの工房ではまだ誰もできないわ」
息継ぎしろ、燕。
「まぁ、テラだしな」
俺にはそれしか言えない。
「そうですね」
レイも頷く。孵化作業を一緒にしたからか、レイもすぐに納得してくれた。
ミロが鳥兜三羽を召喚する。
現れた三羽は、微妙に色と兜の形が違う。
隊長、副隊長、平みたいな感じか?
この前来たのは隊長だろう。
作業台の上には、3つの座布団。
「無理しなくて良いからな~近付ける所まで行ってみて。ご褒美の座布団だから、気持ちの良い距離でちゃんと止まるんだぞ~」
ミロの指示に、ピチュピチュ言いながら鳥兜が歩く。か、可愛い過ぎる。
平の子は、置かれた位置からほとんど動かずに座り込んだ。
目を閉じてうっとりした表情をしている。
その距離30センチ。
副隊長は、10センチまで近付いて、少し戻って来た。12~3センチか。
隊長は一度座布団に乗ったが、すぐに降りて触れるか触れないかの距離で落ち着いた。
「隊長~今までご褒美足りてなかったんじゃん。ごめんね~」
ミロが隊長の頭を撫でる。ってか、やっぱり隊長なのか。
『平気。玉子焼キ、好キ。ケーキ、好キ』
魔力だけじゃなくて、食べ物もちゃんとご褒美だったんだな。
「甘いの好きなら、これもやろう」
りんご入りホットケーキを出す。
『ケーキ、好キ。果物、好キ。食ベル、良イ?』
隊長がミロを見上げて首を傾げる。他の二羽も同じ仕草でミロを見上げる。
これでダメだと言えたら、俺はミロを尊敬する。
「良いよ~お食べ~」
だよな!わかってた!!
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