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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな

142:しつこい呪い

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 俺とレイがリルの炎で遊ん……検証している間に、ブラッシングが終わった。
 テラは、リルの頭の上から俺達を観察していた。目をキラキラさせて。
 ヨミは、ガルムに見守られて滑り台でまだ遊んでいる。

 あれ?いつの間にかクッションに乗って滑ってるな。
 四兄弟の誰かが貸してくれたのか?
 クッションに乗って滑り降りて……階段に回って登る、と。
 ヨミが上に着くと、ガルムがクッションを咥えて放り投げ……ヨミの目の前にポスンと落ちた。
 休日の公園のお父さん並みに面倒見が良いぞ!?



「終わった~!!」
 ミロと四兄弟が万歳三唱してる。
 手に持ってるスリッカーブラシには、リルの抜け毛がこれでもかとてんこ盛りだ。
 足元の箱にも、ブラシから集めたと思われる毛が入れてある。
 それだけあれば、クッションも作れるだろう。

「クッション作るのって、いくらくらい掛かっちゃう?」
 ミロがブラシから毛を取り集めている四兄弟に聞く。
 そうか。錬金術で物を作ってもらうのも金掛かるよな。
 雑談から始まった話だから、何となく仕事って感覚が無かった。
 まぁ、正直他人ひと事だしな。

 四兄弟が俺を見る。
 はい?何か?
「材料費は掛からないし、むしろ普通は扱えない魔獣モンスターの素材を扱えるなんて、錬金術師冥利みょうりに尽きるし……」
「クッション山程できる量だよね~とか」
 山程?10個位か?
「そんなに何個も作れるのか?」
「鳥兜用の座布団なら、結構な数が作れるかな」
「ドラゴネット用のクッションも作るよ!」
「うさちゃんのも作れるよ!」

 何アピールだ?

「うち、鳥兜三羽だからね。クッション3個で充分だし」
 ミロが指を3本立てて焦ってる。
 大量に作られても困るよな。
 鳥兜三羽かぁ。いっぺんにんでくれないかな。

 四兄弟がまたこちらを向く。
 キュピーンて音が聞こえそうだ。
「ドラゴネット用、アルミラージ用、小さいサイズのフェンリル用のクッション作ります」
「中に入れる羽毛は、こちらで無償で用意します」
「錬金術での作成代もいりません」
 せーの、って感じで四人が声を揃える。
「余ったフェンリルの毛ください!!」

 ガバリと四人に頭を下げられた。
 直角ほぼ90度。腹筋凄えな。背筋か?
 ここの工房が街中になくて良かった。
 この風景を誰かに見られたら、要らぬ誤解を生みそうだ。
 お辞儀って普通さ、45度だよな。
 デパートの店員とかは、30度くらいか?


 結果。
 俺の金が払えない呪いは健在のようだ。
 クッションの代金だけでなく、耕耘機の代金も無くなった。
 ギルドに紹介料を払うとなると赤字だろ!?と訴えたが、もしかしたら二度と手に入らないかもしれない素材の方が重要だと一蹴された。
 勿論、オッサンも了承済みだ。

 ガルムの毛は、海の藻屑と消えたはず。
 もしや、勿体なかったのか?
「ガルムの毛皮は、ドロップアイテムで多少出回ってますよ」
 レイが俺の疑問に答えてくれる。
 あ、そうだった。ガルムはフロアボスだったから、ドロップアイテムとして毛皮や牙が出回ってるのか。

 ん?俺、今口に出してたか?
「ヴィンは、全てが顔に出過ぎちゃうじゃん?隠し事ができないタイプだよね!」
 まだ出会ってそれほど経っていないはずのミロにまでバレバレってことか!?


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