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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
138:子供達(笑)
しおりを挟むとりあえず作業の目処が付いたのか、職人達がゾロゾロと出て来た。
「お!デカイ犬の飼い主じゃねえか!」
最初に作業場から出て来たオッサンは、工業ギルドで見たあのオッサンだった。
オッサンの視線は俺じゃなくてレイだったがな。
「教えてくれて助かった。ありがとう」
お礼を言うと、オッサンの視線がレイから俺へと移る。
「ボウズが飼い主なのか?」
うぅむ。オッサンから見たら27歳でもボウズかもしれん。セーフだな。
「テイマーのヴィンだ。よろしく」
手をさしだすと、オッサンは普通に握手してくれる。子供扱いはされていない。
もしかしたら、普通の子供が来ても客としてちゃんと対応するのかもしれないな。
「仕事を頼みたいのだが、その前にひとつ許可を貰いたい」
胸元のヨミとフードの中のテラがソワソワして落ち着かん。
「許可?何だ?」
「表の公園で従魔達を遊ばせても良いか?」
俺の言葉にオッサンが胸元のヨミを見る。
<きゅ!>
お願い!って感じか?ヨミが身を乗り出す。
<<ボクも!ボクも遊びたい!>>
テラがフードから飛び出した。
「ドラゴネット!?」
オッサンより先に、後ろにいた汗だくの兄ちゃんが反応する。
「ドラゴネットって何~?」
「ドラゴンの子供~?」
女子二人はあまり興味がないようだ。
「ドラゴネット知らないのかよ、お前ら馬鹿か!?」
1番体格の良い男が女子二人を馬鹿にした瞬間、二人が鳩尾へと正拳を叩き込んでいた。
痛そうだ。漫画のような体勢で苦しんでいる。
「兄弟喧嘩すんな!馬鹿者が!」
オッサンの拳骨が四人の頭を順に殴っていく。音が既に痛い。
しかし兄弟喧嘩って……こっそり鑑定すると全員『異界人』だ。
兄弟設定なのか、本当に兄弟なのか謎。
「遊ぶのは、その二匹か?」
オッサンが四人を叱りつけた後に聞いてくる。
「いや、もう一匹フェンリルが……」
「フェンリル!?」
オッサンが見せつけるように拳を握り込む。
声を出した兄ちゃんが両手で口を塞いだ。
「壊さないなら遊んで良いが、フェンリルはあのデカイ犬か?」
「いや、あれはガルムだな。フェンリルのリルは小狼の姿になれるから、滑り台にも乗れるはずだ」
オッサンは、チラリとヨミとテラを見る。
「怪我するなよ」
俺の胸元のヨミの頭をガシガシと撫でた。
<きゅ!>
元気よく返事をしたヨミはポーンと跳び降り、外へと駆け出す。
<<待ってよ~!ヨミ~!>>
その後ろをテラが飛んで追いかけて行く。
「よし!行くぞ!」
その後ろを職人四兄弟が追いかけて行った。
ま、良いか。
四兄弟は、正確には口の軽い兄ちゃん、双子女子、ガタイの良い末の男子の順だそうだ。
現実でも四兄弟。
オッサンは四兄弟の近所の工場で働いている現役の機械組立工だとか。リアル職人!!
偶然幻想世界で会って、一緒に工房を立ち上げたらしい。
リアルと全く変わらない見た目じゃないと、ここで会ってもわからないよな?
え?オッサン何歳よ。
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