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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
137:みっつめ
しおりを挟むおぉ、良い環境だなぁ。
最後の細かい作業が得意な工房に着いた。
近くに小川が流れ、程よい木陰もある。
工房の敷地と思われる所に、公園が作られていた。
そう、公園。
ブランコがあり、滑り台があり、ジャングルジムや雲梯まである。
鉄棒がないのは、それよりも側の木を登る方が楽しいからだろうか。それか、作成者が逆上がりができないから……とか?
「公園の遊具があるって事は、職人の中に異界人がいるのかもしれませんね」
レイも俺と同じ考えのようだな。
「全員がプレイヤーかもよ?」
ミロがヒラリと雲梯の上に飛び乗る。
子供が真似したら困るから降りなさい。
<きゅ?>
あぁ、ほら、ヨミが遊ぶ気満々になっちゃったよ。
「ヨミ、工房の人に許可貰ってからにしような」
飛び出して行きそうなヨミを服の上から押さえる。
<そうなのかい?>
お前もか!リル。
小狼姿で滑り台に向かって行こうとするんじゃない!
そんなタイミングで、フードの中身がモゾモゾ動きだした。
トントントン。扉をノックする。
応答無し。
トントントン、トントトトン。更にノック。
中で人の気配はするのに、応答無し。
ドンドンドン!俺の力でノックしてもダメなようなので、ミロに思いっきりノックしてもらう。
「おう!誰だ?今、手が離せないから入って来てくれ!」
どうやら何か作業中のようだ。
「邪魔するぞ」
一応声を掛け、扉を開けた。
むわぁっと熱気が扉の隙間から漏れ出てきた。思わず閉めた俺は悪くないと思う。
「うわっちゃあ!」
俺の後ろに立っていたミロが、顔にもろ熱気を喰らったようだ。火傷するほど熱くはないが、声が出る程度には熱かったようだな。
「ヴィン、大丈夫ですか?」
レイがしゃがみ込み、俺の顔を覗き込む。
「オレ!オレの心配は!?」
レイに押しのけられたミロが抗議の言葉を口にするが、悲しくも無視されていた。
もう一度扉を開ける。
今度は扉の影に隠れて、熱気が落ち着くまで待ってから顔を出した。
サウナ!?と思うくらいの蒸し暑さが小屋の中に充満している。
「うおぉ!暑いぃ!!」
小屋の奥、もう一つある扉が開いている。事務所らしき場所の奥にその扉はあり、更に奥の作業場と思われる所から声が聞こえていた。
「師匠!窓開けましょうよ!チャーシューになっちまう!!」
「誰が豚だ!」
「反応するとこ、そこですか?二人とも脳みそ沸いちゃった?」
「窓なんて、とっくに開けてるわよ!事務所のだけどね!」
小屋の中を見回すと、小窓が確かに開いている。あまり役には立っていないようだがな。
どちらかというと、今、俺達が開けた出入口からの方が熱気が逃げている気がする。
作業場と事務所の境の扉は、閉めたら密閉度が高そうな作りをしていて、この工房の技術の高さを表している。
しかしその仕切りの扉は決して大きくないので、開けても熱気は大して逃げず、作業場の温度は事務所の比ではないのだろう。
それにしても、なぜサウナ!?
「空調の修理屋はいつ来るのよ~!!」
あ、理由判明しました。
空調設備が壊れたのか……って、自分の所で直せないのか?
「魔石を補充できるスキル誰か取得して~!」
「それは魔導師の仕事だ!うちじゃねえ!」
疑問は全て解決した。勝手に……
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