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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
136:ヨミの進化?変化?強化?
しおりを挟む紹介された最後の工房へ向かって歩いていた。
一軒目の胸糞悪い工房は比較的街の中心部に在ったが、先程の工房と今向かっている工房は、街外れに在った。
道も広く、人通りもあまり無いのでリルも本来の大きさのままだ。
そして当然のように、俺はガルムの上にいる。
<きゅ?>
お、ヨミが起きたようだな。
服の中、俺の腹辺りから声が聞こえる。
モゾモゾと動いて、襟元から顔が出てきた。
<きゅ!>
「はい、おはよう」
近過ぎて表情がわからないが、おそらく起きた挨拶だろうと、おはようの挨拶を返す。
「ヨミっち、起きたっすね!」
隣を歩いていたミロが気付いて声を掛けてくる。
<きゅきゅ>
ヨミがミロの方を向いて鳴く。起きた挨拶か?
<名前を呼ぶなって言っているようだね>
え?そうなの?怒ってるようには聞こえなかったけど。
<リル、それでは意味が違うぞ。呼び方が気に喰わないだけだの>
ガルムがリルの言葉を訂正する。
「え?もしかしてヨミっちが嫌なの?」
<きゅきゅ~ぅ、きゅ!>
ミロの問い掛けに、ヨミが耳をパタパタした後に俺を見上げる。
可愛い。
<フフフ。主の付けてくれた名前を、変な風に呼ぶなって拗ねてるようだね>
そんなに長い台詞なの!?と、思ったけど、ガルムの訂正が入らないって事は、リルの言う通りなのだろう。
深いな、魔獣の言葉。
ヨミの言葉か?
ヨミは、だいぶ目が醒めたのか、パーカーから出てガルムの頭の上へと移動している。
体が揺れているのは、ガルムの歩行による揺れではなく、楽しくて自分で揺れているようだ。
金色の毛が光を反射して綺麗だな。
……あれ?ヨミの毛が前にも増して輝いてないか?金色に磨きがかかったというか、艶が出たというか。
「ヨミちゃんや、毛艶が素晴らしく良くなってないか?」
俺の言葉に、ヨミが振り返って何?みたいに首を傾げる。
マジ可愛すぎる。うちの子最強。
思わず口元を手で塞ぎ、悶えてしまった。
「ヨミちゃんを見て悶えるヴィンを見て、悶えるレイ。怖っ」
ミロの台詞に横を歩くレイを見ると、俺と同じように口元を手で塞いで、プルプル肩を震わせていた。
人の振り見て我が振り直せ、とはよく言ったものだ。うん。
気を付けよう。従魔を見て悶える俺も、傍から見たら馬鹿っぽいのだろう。
「ヨミの毛艶の話でしたか?」
コホンと態とらしい咳払いをして、レイが話し始める。
「おそらくですが、魔力の質か量が大幅に上がったのでしょう」
レイの説明によると、同じ種類の魔獣でも、魔力量が多かったり質が高かったりすると毛艶が良いらしい。
同じ炎の魔法を放たれても、威力や範囲が違ったりするそうだ。
「ガルムもリルもツヤツヤなのは、そういう理由か」
二匹とも最初から手触り最高だ。
ヨミも結構最初から毛感触良かった気もするが、色が黄色から金色に変わって更に良くなったな、そういえば。
可愛いさ倍増だ。うん。
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