123 / 506
逃げたい……けど、誰も同意してくれそうもないのはなぜだろう
123:色々と理解不能
しおりを挟む<早く帰ろうか>
街道へ向けて歩いていたら、リルがいきなりそんな事を言い出した。
「いやいやいや、皆、リルに会う前にも戦闘してるからな!?」
ガルムの上に呑気に乗っているだけの俺と違い、皆は自力で歩いている。
しかも普通ならここに居るはずのないランクの魔物と戦った後だ。
その上、最後に出会ったフェンリルのせいで、精神的にも体力的にもかなり疲弊しているのに、何を言っちゃってるんだ?このフェンリルは。
「むしろ、そろそろ休憩しようかってタイミングだからな!?」
なぜか小型化のままガルムの背中にいるリル。楽してる上に我儘を言うとは、伝説の魔獣の名が泣くぞ。
<全く、しょうがないね。我にも乗せてあげようか。それなら文句はあるまい?>
えぇ~、文句しか出ないと思いますが。
「ガルム、どうする?」
確実に、ガルムももう一人は乗せないといけなくなるからな。
<儂は構わん。リルが三人乗せるなら、だがの>
ガルムが良いなら、俺も別に……
「ちょっと待った~!!フェンリルに乗るって、それほぼ拷問じゃん!?」
何で?フェンリルに触ったら燃えるとか凍るとかあるのか?でももう従魔だから、大丈夫だぞ。
「ヴィンの感覚がおかしい!」
ミロの訴えの意味が解らず首を傾げると、またクッ!の表情をされた。
「街までガルムとフェンリルが並んで走ってたら、注目される事間違いないわよ」
ココアは何を当たり前の事言ってるんだ?
「駄目だわ。もうそれが日常なのね、この子」
何かディスられてる。しかも子じゃねえし、俺。
「注目されるのが拷問なのか?だが、街に入る時には間違いなく注目されるぞ」
街の中でも、大名行列並みに道が開くしな。
「ヴィンは良いよ。【sechs(ゼクス)】のクラメンだし、強い護衛がいるから!オレとココアは【cinq(サンク)】と一緒にフェンリルに乗ってたら、後で何を言われるか怖すぎる~!」
注目される事だけが問題ではないのか。
あぁ、そういえば人気者なんだったな、悪友達。特に咲樹がおかしいんだっけ?
隣を歩いている咲樹と目が合う。
俺はガルムの上にいるから、咲樹が俺を見上げた形だ。
「言っておくけど、私だけじゃなくてレイのファンもかなりアレだからね」
「咲樹は意図的に祭り上げられているでしょう?僕は何も干渉してませんから」
どっちもどっちだ。と言うか、正直どっちでも良いかな。
「ふ~ん」
返事を返したら、二人がシュンとした。なぜだ。
話がまとまらず、黙々と歩く四人と一匹。
リルはまだ小さいままで、ガルムに乗ってる。お前も歩けよ!とは、言えない。俺もガルムの上だからな。
因みに、ヨミは服の中で寝てるし、テラはフードの中で寝てる。
まだ子供な二匹である。ちょっとほっこり。
「レイが獣化して、ミロとココアと一緒にリルに乗るのはどうだ?」
ふと、思いついて言ってみる。
人型のレイと乗ると嫉妬されるなら、銀狼なら良いのでは?
それに、俺がリルに乗る銀狼が見たい。
「それ、ヴィンが見たいだけですよね?」
あ、バレた。
221
お気に入りに追加
1,422
あなたにおすすめの小説
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
【完結】ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる