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逃げたい……けど、誰も同意してくれそうもないのはなぜだろう
119:最高品質
しおりを挟む森の中に木材?の山と、よくわからない花の種。
今回の戦利品だ。
鑑定すると『トレントの材木(最高級)』と出る。
種の方は『アルラウネの種/アルラウネが生まれるかもしれない』と出た。これ!【従魔専門店】で見たあの種か!
「種持ちのアルラウネは、ボスのいる地域にしかいないはずよね?」
咲樹が種を手に首を傾げる。椰子の実くらいデカイ種だから、抱えるみたいになって実が3つ……ゲフンゲフン。
「トレントの材木が最高級なのもおかしいですね。そもそもこの辺では、材木ではなく木材のはずですからね」
レイもドロップ品を鑑定したようで、材木の品質がおかしいと指摘してるが、俺にはわからない。材木と木材の違いもよくわからんしな。
「あたりって事じゃ~ん!」
ミロが楽しそうに言うが、喜ぶところなのか?
「例の大型魔獣の影響って事よね」
ココアも嬉しそうだ。この戦闘民族め!髪が逆立って体が光ったりしないだろうな!?
「ヴィン、アルラウネ育てる?」
咲樹が種を差し出してくる。
「いや、さっきのアレだろ?ほぼ裸で頭に花が咲いてる人型の。可愛くないからいらんな」
正直な感想なのに、酷く残念なモノを見る目で見られた。
「アルラウネは観賞用として人気が高いんだよ。攻撃してこなきゃ、美人だしスタイル良いからお得じゃ~ん」
そうなのか。戦闘でボロボロになった姿しか見てないからな。魅力のみの字も感じない。
「とにかく、いらん」
断固拒否しておいた。
火魔法が使えない咲樹が俺の護衛役になり、ガルムは戦闘に参加する事になった。
風でも雷でも良くね?と思ったが、ガルムの斬撃の方が効率が良いそうだ。
テラも毒霧を使わない約束で参加している。
なぜかヨミは戦線離脱して、俺の足元で待機中だ。勿論、中型犬サイズで角はドリドリだがな。
「ヨミは俺の護衛なのか?」
<きゅ!>
「咲樹がいるから、戦いたければ行ってきても良いぞ?」
<ぎゅ!>
足ダンしなくても、別に行けとは言ってないぞ。うん。
「いや、居てくれるなら心強いが無理しなくて良いからな」
<きゅきゅ>
小さいサイズなら、胸元に跳んで来て頬擦りしてるだろうな。残念。
いや、大きいサイズだからこその楽しみもあるな。
周りを警戒して座っている中型犬サイズのヨミに、しゃがみ込んで後ろから抱き着いた。
想像通りの手触りに、抱き着いたまま頬擦りをする。最高級な天鵞絨だな。
邪魔するなよ~!みたいな感じで耳をパタパタさせるけど、本気の拒否だったら足ダンをするか、もしくは逃げるだろう。
両手で体の両脇をモミモミモミ……大型のヨミは、毛足も長くなるから俺の手が毛に埋まってしまう。幸せ過ぎる。
「何をしているのですか?人が真面目に戦っているというのに」
頭上からレイの冷たい声が降ってくる。
謝ろうと顔を上げると、視線は俺の後ろ。
振り返ると、咲樹がウィンドウを開いて俺達を撮っていた。
ヨミと戯れてた俺が言える事じゃ無いけど、お前、護衛だろうが。周囲の警戒は!?
さすがに俺も庇えません。
移動中、咲樹はレイにずっと説教されてました。合掌。
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