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逃げたい……けど、誰も同意してくれそうもないのはなぜだろう

117:子猫の悪戯?

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「子猫の悪戯いたずらを思い浮かべれば、わかりやすいわよ」
 飲み物を買って来たココアが、消沈している斗苫斗的にそう声を掛けた。
 俺の立ち位置、子猫!?人ですら無くなったぞ。
「そうそう。子猫自身に危険が無ければ、大抵の事は許されちゃうんだよね~」
 ミロが俺の頭を撫でようとして、咲樹に手をはたき落とされる。
 先程の俺とレイと咲樹のやりとりを斗苫斗的から聞いたココアとミロの答えは、「子猫の悪戯」で終わった。

「孤高の存在だった【cinq(サンク)】が……」
 斗苫斗的、お前は夢見過ぎだ。なんだよ、孤高の存在って。
「クラン名が【sechs(ゼクス)】でドイツ語の6なんだよ~?最初からヴィンありきじゃん」
 まぁ高校からの付き合いだからな。
「アタシなんてクラン入れてもらえなくて、同盟止まりなのよ!」
「それはオレちゃんも一緒」
 初耳だ。人数増えたらクラン名変更するんだろうくらいの認識だった。
 それか、入りたがる人がいないのだとばかり……ははは。

「予定より早く呼ぶ事になりましたが、いつかは一緒にやると思ってましたからね」
「ヴィンはテイマー確定だったから、パーティー名は5なのよ」
 俺の知らないところで、何か悪巧みが!



 斗苫斗的は、錬金術でテラの格好良い装備を作ると宣言して帰って行った。
 ID交換をした時に「ヴィンから【cinq(サンク)】の情報を貰おうなんて思わないでね」と、咲樹に釘をブッスリと刺されていた。そりゃもう五寸釘を根元まで。

 さてと、余計な時間を取ったけど、冒険再開だよな!
 レイに視線を向けると、インベントリから地図を取り出し広げる。
「どちらの川に行きますか?」
 本当に同じくらいの距離で、規模も環境も似た感じだな。
<<ここ、今日行った所だよ~>>
 テラが目的地候補のひとつを指差す。
殺人蛇マーダースネークを狩った所か?」
<きゅ!>
 テラが頷くのと一緒に、ヨミも肯定の鳴き声をあげる。
 間違いないようだ。
 うちの子達は地図も読めるのだと、初めて知った。優秀。

<うむ。こちら側の川はここ数日さかのぼっておったが、強い魔獣モンスターのいる気配はなかったな>
 ガルムの一言で行き先が決まった。
<<強いの、いるかな~?>>
 何でそんなに嬉しそうなのか、聞いちゃいけないのだろうな。俺の精神衛生上。

 余談だが、殺人蛇マーダースネークとは、オオアナコンダが毒を持ったみたいな魔物モンスターとの事。
 10メートル位の全長に250キロほどの巨体。締め付ければ大木をへし折り、噛み付けば人間などコロリとあの世行きだとか。
 何でそんな物騒な魔物モンスターが好物なの?テラ!!
 正確には、落とす魔石が好物らしいけど、そういう問題じゃないよな?
 俺、間違ってないよな!?


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