ほんわりゲームしてます I

仲村 嘉高

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強い魔獣がいるみたいなので、探してみようと……周りが盛り上がってます

106:トラブルメーカー

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 従魔を自分の影から召喚するのは、主従関係がハッキリわかるほど実力差があるか、もしくは信頼関係が必要だと前に教わった。
 この男も、サルボボと同じで俺がテイムできたのは【cinq(サンク)】のお陰で、俺と従魔達の間には信頼関係がないと馬鹿にしているのだろう。

 影から呼べないと思っているのに、ソファの背に寄りかかって座り、裏口への案内をする様子もない。
 そのニヤニヤ顔は「呼べるもんなら呼んでみろ」ってところか。裏口の場所を聞かれたら「あぁ、影から呼べないんですね?」と馬鹿にする気満々なんだろう。

「ガルム、狭い室内だが呼んで良いか?」
 外で待つガルムに念話で話しかける。そろそろ口に出さなくても念話できるようにならなきゃな、とちょっと反省。
あるじが良いなら、儂はかまわん>
 相変わらず漢前!
「ガルム、召喚」


 目の前にある高そうなテーブルの上に、ガルムの赤い前足が出て来る。
 狭い室内で俺の影はテーブルに映っているから、当然の結果だ。
 鼻先が出た辺りでテーブルに体重が掛かったのだろう。豪華なテーブルが壊れた。
 でも俺のせいじゃないよな?許可取ったよな。

 男の座っているソファの背もたれに前足を掛けて出て来るガルム。
 途中でソファを後ろに倒したのは、わざとかな?
 倒されたは、それでも微動だにせずガルムを見上げてる。

「本当に、なぜこの小さい影から……」
 ジルド、うるさいよ。
「ねぇ、ギルドカードでガルムが従魔だって確認したんでしょう?何でこんな狭い部屋なのよ」
 咲樹が足を組んでソファに頬杖をついて声高に言う。俗に言う女王様状態だな。
「ねぇ、いつもの店長は?」
 咲樹が話を進めるが、返事は返ってこない。
「【sechs(ゼクス)】も舐められたものだな」
 ジルドから威圧が発せられたのを感じる。
 それに反応したのだろう。パーカーのフードで、寝ているはずのテラがモゾモゾと動き出した。

<<毒霧吐く~?>>
 フードからスポーンとテラが飛び出して来た。
<きゅ?>
 胸元で大人しくしていたヨミまで「戦う?」みたいな表情で見上げてくる。
「テラ、戦闘バトルじゃないから。ヨミも角を伸ばそうとしない」
 隣のジルドが大きく息を吐き出す。それと同時に威圧も消えた。



「申し訳ありませんでした」
 土下座しそうな勢いで謝罪してくる上品な執事さん、ではなく店長さん。
 ガルムが入っても余裕の広さの応接室に場所を移している。ちなみにガルムは、俺の座っているソファの後ろでお座り状態だ。ヨミとテラはにいる。
「異界で会社経営をしているとの事でしたので、雇い入れたのですが……」
 異界人プレイヤーだったのか、あのオッサン。
 うん。会社経営って一言で言ってもピンからキリまであるからな。
 執事のようなロマンスグレーの店長の横には、最初に俺の対応をした店員。彼女が店長を呼んで来てくれたようだ。
 二人とも、すごく申し訳なさそうな表情をしている。
 
「あの、さっきのあの人が性質たちが悪かっただけで、異界人プレイヤーの客商売している人全部があんなじゃないですから」
 それだけは誤解されたくない。
「だから、これからも異界人の為にプレイヤーを門戸は開けておいて雇い入れてくださいね」


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