ほんわりゲームしてます

強い魔獣がいるみたいなので、探してみようと……周りが盛り上がってます

91：お前だけは駄目だ

　


「建物内には入れないからな」
　俺達にくっ付いて来た『日出処ひいずるところ』の魔獣モンスター三匹は、クランハウスに着いても俺の傍に居た。
　心配になってステータス確認したが、従魔にはなっていなかった。
　俺の方が希望していないからだろう。

　クランハウス敷地内は、異界人プレイヤーや住人ＮＰＣ、他所よその従魔は勝手に入れないそうだ。
　その辺をウロウロしている魔獣モンスターは、敵意があるものは入れないらしい。動物はフリーパスとか。

　前回の八咫烏ヤタガラスは、ガルムが咥えていたから入れたのだ。
　今回は、オーベ他クランメンバーの好意で、三匹は敷地内の森・へ住む事が許された。


「なぁ、何で『日出処』に戻らないんだ？」
　従魔用遊具で皆と遊んでいたユズコが、急にそんな事を三匹に聞く。
　散々仲良く遊んでからの質問！？と思ったが、これがユズコだ。
　むしろ疑問に思った事が凄い。
　普段は、目の前の事をそのまま受け入れる男だからな。

＜そこの子・供・の従魔になる為に決まっとる！＞
　八咫烏お前とは、絶対に契約しない。何があってもしない。帰れ。
　クソカラスを睨んでいたら、白狐びゃっこと月兎げつとが近付いて来て、足元にちょこんと座る。
　可愛いけど、さすがにいきなり二匹も増やすのは無理だな。
　俺はサルボボみたいに必要な時だけ呼び出す関係は嫌だ。だが、街中を五匹の従魔を連れて歩くのか？今でさえ注目集めてるのに、『日出処』の魔獣モンスターを連れて歩くのか？

「ゴメンな。今は従魔にはしてやれないんだ」
　白狐と月兎の頭を撫でる。
　シュンとしながらも、俺の手に頭をグリグリと擦り付けてくる二匹に、うちの子達と仲良くなったら良いかもな……なんて思った。
　八咫烏？アイツは却下だ。



　獣化したユズコとレイがヨミとテラ、白狐と月兎達と遊んでいる。
　遊んで？２組に分かれて模擬戦してるんだが……木が折れてますけど！？何？その大穴！雷？誰が出したの！？
　戦闘バトル中は獣化できないレイが獣化したままだから、遊びの一環なんだろうけど、環境破壊してますけど！？

　呆然と前を見ていたら、ソファになってくれてるガルムが笑う。
＜あれくらいは遊びの範疇はんちゅうだから、心配する必要はない＞
「白狐と月兎は従魔じゃなくなってるから、怪我しちゃうんじゃないのか？」
　今は普・通・の・魔獣モンスターだよな。
＜何を言う、うつけが。『日出処』のモノがこんな所にいるモノに負けるか！＞
　やっぱムカつくな、八咫烏。無駄にプライドが高い。

「お前、マジムカつくな、八咫烏。お前だけは『日出処』に帰れ」
　八咫烏に向かって叫ぶ。コイツだけは、うちの子と仲良くなれないと確信した。
＜言われなくても帰るわい！これならサルボボとか言う彼奴あやつの方が面白かったわい＞
「面白い？」
＜そうじゃ。何度も強い敵と戦ったり、間抜けな異界人を欺だますのも楽しかったわい＞
「欺してるって知ってたのか！」
　利用されてたわけじゃないのか？
＜白狐と月兎は知らんじゃろうが、儂は頭が良いからの。彼奴等の話を聞いて知っておったわい＞
　最低だ。サルボボ達も最低だが、八咫烏コイツも最低だ。