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強い魔獣がいるみたいなので、探してみようと……周りが盛り上がってます
88:対人戦闘開始
しおりを挟む思ったより、かなり強力な毒霧が訓練場を満たした。
あの小さい体から、どんだけの量が噴き出したのかな~なんて、ちょっと現実逃避した程度には酷かった。対戦相手が全員漏れなく地面に平伏してる程度には、強力な毒霧です。
「……死んでる?」
「いや、死んでたら赤い光に包まれて消えるから、まだ生きてるね~」
良かった。ん?良かったのか?
「これで終わり?ちょっと、私何もしてないんだけど」
咲樹が不満そうに唇を尖らす。
<確か白狐が回復を使えるはずだ。主人が瀕死なら、指示がなくてもやるだろう>
ガルムからの情報で、これで終了にはならないと判明。
因みに、テラの毒霧は仲間には効かないそうで、齧られるとかで直接血液に毒が入らない限りは大丈夫だとか。
向こうのチームは、従魔も含めて瀕死です。白狐も倒れてたけど、いち早く頭をもたげて白い光を放った。
オーベの回復魔法ほどではないのか、白い光が体に吸収されても、相手方は誰も立ち上がらない。
「白狐!もう1回やれ!」
サルボボがまだ起き上がれもしない白狐に命令をする。
もう一度白い光を放った白狐は、力尽きたのかモザイクのようにブロック化して消えていった。
「チッ。相変わらず使えねぇ」
戦闘中だから余裕がないのはしょうがないにしても、サルボボの道具のように従魔を使う態度は心底イラつく。
「月兎!動けるなら、さっさと攻撃に行け!八咫烏、テメェもだ!」
<<あいつ、ムカつく~!>>
<ぎゅぅ!>
「気が合うな、俺もだ」
<主、この人間は殺して良いのか?>
「いや、瀕死くらいにしておこう」
何なら、オーベに何回か回復魔法掛けてもらって、徹底的に心を折っても良いかもしれん。
「ヨミ、サルボボが動けないように足を攻撃してあげなさい」
<きゅ!>
跳ねて行くお尻がプリティ。口には出さないけど。
「……大きいのもプリティ」
ジルドがヨミの後ろ姿を見ながら呟いた。
お前、ホントにヨミ大好きだよな。
ジルドを見ている間に攻撃し終わったヨミが帰って来た。
「……おかえり」
角が捻れた分、出血量が増えたのかな?血塗れだ。
うぎゃああぁぁ、とか、大きな物がのたうつ音とか聞こえるけど、気にしない。
「キレイキレイしような、ヨミ」
ヨミに洗浄と乾燥の魔法を掛けた。
<主、これはどうしたら良い?>
ガルムの口には、グッタリした月兎。
首根っこを咥えてるだけだろうけど、大きさの違いから捕食にしか見えない。
「すみっこに置いとくか。次に攻撃して来たら、ガルムにパクリだからな」
一応月兎に釘を刺すと、耳がパタパタと揺れた。多分、了承の意だろう。
ガルムが訓練場の端に月兎を下ろすと、八咫烏もそこへ飛んで行った。八咫烏は、本当に戦闘に参加する気はないらしい。
力尽くでテイムしても、必ず従魔が命令を聞くわけじゃないんだな。
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