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強い魔獣がいるみたいなので、探してみようと……周りが盛り上がってます
84:怒っているのは……
しおりを挟む「ガルム、テラ、入って来て良いぞ」
扉の外で待っているはずのガルムとテラを呼ぶ。……恰好付けて呼んだけど、ガルムとテラじゃ扉が開けられなくないか?
ちょっと恥ずかしいけど、扉を開けに行くか。と、思ったら扉が開いた。
「どうも~、クラン【sechs(ゼクス)】の責任者のオーベです」
オーベの後ろから、頭にテラを乗せたガルムが入って来た。
<主、話は終わったのか?>
ガルムが近付いて来て、俺に頬擦りしてくる。
<<主~、毒霧吐く~?>>
<きゅ!>
やめなさい!テラ!ヨミも「やっちゃえ!」みたいな声出さないの!
「それで、話は済みました~?」
オーベがにこやかに笑いながら、俺の隣に腰を下ろした。
目の前のサルボボは、目を見開いたまま完全に固まっている。
ふ、ざまぁみろ。
「遅くなりましたが、初めまして。ワタクシ『commerce(コマース)』の冒険者ギルドのマスターを承っております」
あれ?そういえば、前にガルムの従魔登録の時に謝ってくれた人は、ギルマスじゃなかったのか?ギルドの責任者って言ってたような……?
「ヴィン様には、従魔登録の時もご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。ワタクシが出張で居りませんでしたので、代理の者で失礼しました。
本日、帰ってまいりましてので、八咫烏の件もお話が聞ければと、馳せ参じました」
今!?それ、多分、サルボボの自己紹介より前に言うべき台詞だよな?
わざと!?絶対わざとだろ!?
それ先に言ってたら、何かあると思ってサルボボも喧嘩売ってこなかったよな?
「とりあえず~、当事者の八咫烏はどこ~?」
オーベが固まっているサルボボに問い掛ける。
ハッと音がしそうな勢いで我に返ったサルボボは、自分の影に向かって呼び掛ける。
「八咫烏、来い」
しかし、何も起こらなかった。
「何で、俺に許可貰わないで呼べると思った?」
オーベの語尾が伸びてない!話し方が軽くない!もしかして、意外と怒ってる?
「何、他人のクランハウスで好き勝手やってんの?対人戦闘は許可してる?準備は良い?」
従魔を勝手に呼ぼうとしたら、戦闘案件か。覚えておこう。
それに従魔って、後から呼べるんだな。後でやってみよう。
<<毒霧吐いて良い~?>>
テ~ラ~、空気読め。息を吸いこむな!
「オーベさんや。テラが雰囲気に触発されて、毒霧吐く気満々なんだが」
テラの毒霧は、味方には効かないとかあるのかな?そうじゃなければ、俺が1番危ない。
「じゃあ、ヴィンに結界張ろうか~?」
え?そう言う問題!?
「ギルマスは大丈夫だよね~?」
オーベの問い掛けにギルマスが頷く。彼女も止める気はないようだ。
「いや、狭くね?」
本当に戦闘するなら、ガルムが実力を発揮するには狭過ぎる。
どうせなら、広い場所で初対人戦闘したい。
テラの力もちゃんと見たいし。
「では、ギルドの訓練場を提供しましょう」
良い事を思い付いた!みたいに胸の前で手を打ち鳴らしたギルマスを、サルボボは苦虫を噛み潰したような顔で、オーベは腹黒さが滲んだ笑顔で見た。
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