78 / 506
スキルが使えるようになったので、とりあえず色々試して遊ぼうと思う
78:従魔、八咫烏
しおりを挟むグッタリしている八咫烏を手にオロオロしていると、オーベが回復魔法をかけてくれる。
「remède」
淡い光が八咫烏を包み込み、吸収されるかのように消えていく。
一瞬の間を置き、八咫烏が目を開けた。
目だけを動かし、状況確認をしているのが見て取れる。
「大丈夫か?」
俺の声に俺を見て、視界にガルムが入ったのだろう。目を見開く烏って初めて見た。
<ガルム!?>
おや、従魔の間でもガルムは有名なのか?
俺の手から飛び立った八咫烏は、天井まで飛び、角に張り付いた。
普通の烏には出来ない芸当だな。器用だ。
「今更だが、八咫烏ってこんなに小さいものなのか?子供?」
俺の手の中に収まるなんて、かなり小さい。
<なんだこの若造は!儂等の特性も知らんのか!?>
また爺ぃが増えた。
従魔じゃなかったら、ガルムにプチッと……
「ねぇ、炊飯器が呼んでるよ~」
おや、もうそんなに時間が経ってたのか。
「この香りはトマトバージョンのホットケーキですね」
お、レイが嬉しそうだな。
「レイはチョリソと玉ねぎ入りでも大丈夫だったか?」
「はい。特に玉ねぎ入りは大好きですね」
ホットケーキってより、具のが多い邪道ホットケーキだけど、俺も好きだ。
現実だと玉ねぎの粗みじん切りが面倒で滅多に作らないけどな。
切っている端からポロポロと崩れていくのが、具沢山ホットケーキの欠点だな。
しかし、そんなところまで再現されるとは!
いつも通りに8等分にしようとしたけど、4つ切りで断念した。
「最近、ホットケーキばかり食べてる気がする~」
オーベ、多分それは気のせいじゃない。
ログイン時間が合わないと直接渡せないからと、リビングにマジックボックスを設置してもらった。
勿論、時間経過のないタイプだ。
クランメンバーなら誰でも出し入れができるタイプで、何と従魔にも対応している優れ物。
そこにホットケーキを作っては入れておいたのだが、今日見たら在庫が1個もないのだ。
チョリソ入りと、チョリソと玉ねぎ入りの両バージョンも入れておこう。
「この程良い辛味と玉ねぎの甘さが良いですね」
「玉ねぎ無しも、ホットケーキの甘さとのバランスが絶妙~」
山ほど作ったから、たくさん食え!
「ヨミは辛くても大丈夫なんだな」
今日のヨミの給餌係はジルド。
<きゅ!>
持ってる全種類のホットケーキを端から与えていくジルド。全部平らげていくヨミ。
「テラはどれ食べる?」
<<これ~>>
りんごホットケーキがお気に入りになったらしい。
「ガルムは?」
<儂はどれも好きだが、今日は新作が良いの>
褒める事を忘れない、紳士だなガルムは。
<お前ら!少しは心配するとか、何か無いのか!>
和気藹々とオヤツ食べてたら、天井から声が落ちてくる。
「元気だな」
うん、大丈夫。怪我はオーベが治したし、天井まで飛んでったし。
「そこの扉を潜り抜ければ外ですよ」
レイが俺の部屋の外への扉を指差す。
「入るのは許可がいるが、出るのは関係ない。勝手に出て行け」
ジルドが言う。冷たいのはモフモフじゃないからか?
いや、ドラゴネットのテラにも優しいから、身内じゃないからか。
応援ありがとうございます!
137
お気に入りに追加
1,000
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる