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スキルが使えるようになったので、とりあえず色々試して遊ぼうと思う

71:可愛いから何でも良い

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 孵化した事実にビックリして、テラが孵化した理由をすっかり忘れていた。
「テラ、ナデナデしよう」
 卵置き用だったクッションの上にお座りしているテラに声をかける。
<<頭、ナデナデ~?>>
「そう。頭ナデナデだな」
 嬉しそうに目を細めてから、撫でて!と頭を差し出してくる。ホント、口調と相俟あいまって、行動が子供らしくて可愛い。素直。

 後頭部にあたる部分はトゲトゲしてるけど、顔から頭頂部は不思議な手触りだった。
 金属とも爬虫類とも違う。
 何だろう、この手触り……
 ナデナデナデナデナデナデナデナデ
 ハッ!
 癖になる手触りだな。



 転移陣を使って『commerce(コマース)』の噴水広場へと移動する。
 移動する人数が入れる空間へと転移するのだが、今回は運悪く広場のど真ん中へと転移された。
 もっとはしが良かった。
 ギルドへの連絡が面倒だからと、噴水を選択した俺が馬鹿だった。

 俺達が現れた瞬間、周りから怒号か!?と思うほどの声が聞こえてきた。
 実際は怒りではなく驚きだったようだが。
 周りに魔物玉蜀黍とうもろこしでもいてあるのか?と、一瞬思ってしまった。
 うるさい。
 「cinq(サンク)」とか「sechs(ゼクス)」とか、「ガルム」「ミニドラゴン」や「ドラゴン」と言う単語が聞こえる。「ドラゴネット」だ!と言いたいがやめておく。
 あと、ヨミもいるからな!とかちょっと思った。


 テラは俺の頭の右斜め上くらいに、風船のようにフワフワ浮いている。
 鳥のように羽根の羽ばたきで浮くのではなく、魔力で浮くのだとか。羽根は推進力として使ったり、舵取りだったりするらしい。
 そうだよな。普通の大きいドラゴンが羽根だけで飛べるわけないよな。羽根と身体のバランス考えろよって話だよ。

「テラ、疲れたら肩に乗って良いぞ」
 テラを見上げながら、右肩をポンポンと叩く。
<<良いの~?>>
「疲れてなくても、乗りたかったら良いぞ」
 あまりにも嬉しそうに言うものだから、いつでも乗る許可を出した。
 ヨミなんて、最初から勝手に胸元入ってたしな。

 テラが右肩にとまり、右頬にスリスリしてきた。
 まだ生まれたばかりの子供なんだよ。
 未知の生物だから身構えちゃうけど、子供が甘えたがりなのは万物共通だよな!多分。

「それにしても、テラの口調は軽いな」
 思わず笑ってしまう。
「生まれたばかりなのに、口調が軽いの~?」
<<ボクの口調、軽いの~?>>
 ちょ、オーべとテラが一緒に話すとか、笑える。
 オーべの軽い口調+咲樹の甘えた口調って感じ?いや、与えた魔力量考えたら、咲樹がなのかもしれない。

<<直す~?>>
 テラが首を傾げて聞いてくる。
「いや、可愛いからそのままで大丈夫だ」
 嬉しそうに羽根をパタパタした後、頬擦りしてくる。うん、可愛い。
 そんな俺達のやりとりを見たヨミが、耳を動かして俺の顎を攻撃してきた。
 気持ち良いだけだよ、ヨミ。


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