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スキルが使えるようになったので、とりあえず色々試して遊ぼうと思う

69:孵化!?

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「何やってんの?」
 ノックとほぼ同時に扉を開けて、咲樹が部屋に入って来る。
 ちなみにここは、俺の部屋。
 何で皆ノックと同時に扉開けるの!?

「ドラゴネットの孵化実験?」
 魔力を吸われまくるドMな体験ができます。と言う俺の説明は綺麗に無視された。
 ちゃんとした説明をオーべから聞いた咲樹は、卵に手を伸ばす。
「とりあえず、ありったけ吸わせれば良いのね?」
 そうなんだけど、何か咲樹が言うとエロいな。


 咲樹が卵を持ち始めて、1分以上経過した。
「咲樹の魔力量ってどれくらいあるの?」
 思わずオーべに聞く。咲樹を抜いたら、オーべが1番魔力量多いはず。
「ちゃんとは知らないけど~、俺とゼロが1個違うはず~」
 何その化け物級。
 まぁ、例えば900と1,000でもゼロ1個だけど、そうじゃないのは時間が証明していた。

 7分ほど経過した頃、咲樹が卵をクッションに戻した。
「いやぁん、さすがに辛いわ」
 ステータス確認もせず、MP回復ポーションを飲み干す。飲み方が男らしいのは、余裕がないからだろう。
 ガルムは、この魔力吸収をずっとされてたのか?
 思わず、俺のソファと化しているガルムの顔を見上げる。
<ここまでの急激な吸い上げは、されておらんぞ>
 不安そうな表情でもしていたのか、頭にスリッと頬擦りされた。


 さて次は俺だな、と卵に手を伸ばすと、胸元のヨミがテーブルの上に跳び出た。
<きゅきゅう!>
 ヨミがおでこを卵にくっつける。
<<わかった>>
 何が!?

 俺がキョロキョロと周りを見回すと、また変な表情をされる。
「頭ナデナデですか?」
 レイに質問される。
「いや、今度はわかったらしい」
「何をだ?」
 ジルドに聞かれるが、首を傾げるしかできない。そんな顔をされても、俺だって意味わかんないんだよ。

<ヨミが卵に吸い過ぎたら刺すって脅しておったわ>
 ガルムが楽しそうに言ってくる。
 ヨミはおでこをつけてたんじゃなく、角で脅してたのか。可愛い!とか呑気に思ってたよ。
「ポーションあるから、大丈夫だよ」
 ヨミの頭を撫でると、気持ち良さそうに目を細められた。


 当たり前だけど、俺の時間が1番短かった。しかも、卵の方から吸うのを止めてしまったのだ。
 時間にして15秒弱?10秒なかったかもしれない。
「俺が1番あげるべきなのに!」
 いくら持っていても無駄なのでクッションへ戻した。
 ヨミ、脅しが効き過ぎてるみたいだぞ。

 その後、皆の協力で3巡したところで、ガルムから声を掛けられた。
<ヒビが入るまで、儂がやろう>
 のっそりと起き上がり座ると、テーブルの上の卵に前脚を乗せる。
 お手みたい、とは思っても口には出さなかった。

 1分ほどでピシリとヒビが入った。
 俺には分からないけど、咲樹とオーべが驚いた顔をしているから、凄い量の魔力を吸わせたのだろう。
<最後は主の魔力が良かろう>
 ガルムに言われ、卵を手に取る。
 胸元に戻ってたヨミも手を伸ばし、卵に触れた。

「テラ、出ておいで」
 声を掛けると、フワッと魔力が吸われる感覚がする。
 ヒビが一気に広がり、天色あまいろの鼻先がチョコンと顔を出した。


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