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スキルが使えるようになったので、とりあえず色々試して遊ぼうと思う

66:新人冒険者と案内

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ポーンブル歩兵雄牛をトレインさせた?」
 一昨々日さきおととい現実時間リアルで今日の昼頃、ポーンブルを誤って攻撃してしまい、50近いポーンブルに追い掛けられたらしい。死を覚悟した瞬間、ガルムが助けに入ったそうだ。
 申請も何もなく助けに入ったから、野生の魔獣の乱入だと思ったとか。

 しかし、戦闘態勢に入ったら〈テイマーの許可なく戦闘出来ません〉とアナウンスに言われ、従魔と気付いたと。
『にきしま』のボスがヘルに変更になってからの新規異界人プレイヤーだった為、ガルムを知らなかったそうだ。

 そんな説明を聞きながら、俺はガルムとヨミにたこ焼きを与えている。
「ヨミ、まだ熱いから気を付けるんだぞ」
<きゅ!>
 癒される。ヨミのたこ焼き両手持ち可愛い。
 ガルムは、俺が投げたたこ焼きを上手にパクリと食べている。
 食べる事自体より、俺とのコミュニケーションが目的だな。


「これは、拾ったアイテムを換金した物です!」
 冒険者が先程の袋を差し出してくる。律儀に渡しに来たのか!偉いな。
「ガルム、要りますか?」
 レイがガルムに聞く。これは多分、ガルムの飼い主がレイだと誤解させるための行動。
あるじが欲しいのなら、それも良かろう>
 いや、要らないし。
 知ってるか?俺、いまだに金払ってないんだぞ。なのに、更に増やしてどうする。


 お金は冒険者に押し付け、無理矢理解散した。レイの「そんな端金はしたがね要りませんよ」が怖かった。
 相手を引かせるにしても、言い方!
 新人冒険者には装備を揃えるのに丁度良いだろうけど、色々トラウマになりそうな案件だ。
 しかし、俺みたいな立場じゃなくても、あっという間に『しきしま』まで来れるもんなんだな。



「正攻法じゃ来れませんよ」
 ここは綺羅の店。約束どおり来たら、黒狼パーカーと、赤犬のツナギが出来ていた。
 ツナギ……これ、ヨチヨチ歩きの子供が着る服じゃないか?少なくとも、27歳の男が着てはいけないだろ。
 狼と犬の違いは、耳の大きさだった。狼の方が大きい。

「正攻法?」
 ツナギの試着をして、微調整をされながら新人冒険者の話をする。
 ツナギはクランハウスの敷地内でなら、着る約束をした。街中は勘弁してくれ。
「不正とは違うけど、『案内』にお金払って先の地域シマまで楽するんです。三人組だったって事は、残り三人のパーティー枠にベテランを入れて『しきしま』まで来ちゃうんですよ。その代わり、入るお金や素材は全て渡すのが暗黙のルールですね」

 そんなにメリットがあるようには思えないな。【cinq(サンク)】としては、経験値が低いと言ってたし。
「ヴィンさん、【cinq(サンク)】と一般冒険者を一緒にしちゃダメですからね?」
 綺羅にそんな事を言われた。


「しかし、『しきしま』のポーンブルをトレインさせてしまうなんて、レベルが低過ぎますね」
 レイが呟く。
「普通なら間違って攻撃したにしても、他の群れを呼ばれる前に倒し切れるはずだな」
 ジルドもレイに同意する。
「ホントはパーティーに入れて、経験値も分けてレベル上げまで協力するのがの役目だけど、同盟にしてんのかもですね」
 綺羅は、ツナギの腹部分にヨミ用のポケットを仮留めしながら話に参加する。ちょっと可愛さ追加するのめてくれないかな?

「ボス戦の時だけにして、素材とお金を貰ったら、街までも送らずバイバイしちゃう悪質タイプかもね~」
 1回しか戦えないはずのボス戦が出来て、経験値もお金も分けないで済む、1番悪質な方法だとオーベが教えてくれた。


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