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クランハウスに部屋を貰ったから、快適空間にしたいと思う

50:タコ焼き美味い

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 タコ焼き屋の屋台の横はガルムがいても問題ないくらいはいていたので、遠慮なくタコ焼きを食べ始める。
「ガルムは猫舌?」
 1個食べて、ガルムに声をかけた。
 本当はガルムに先に食べさせようかと思ったが、あまりにも中が熱々だと困るので確認のために先に食べたのだ。
<溶岩は食べられぬが、炎程度の熱さなら大丈夫だな>
 レベルが違いました。

「容器は食べないようにな」
 10個入りのタコ焼きを地面に置く。
 胸元のヨミには、冷ましたタコ焼きを楊枝ようじに刺した状態で差し出すと、上手にタコ焼きを両手で持つ。可愛く食べ出すヨミに癒される。
 今度はどれだけソースを垂らそうと大丈夫だ。ありがとう、綺羅!

 新たに自分の分を楊枝に刺し口元へ持っていこうとすると、微笑ましそうに見てくるレイと目があった。
「やらんぞ」
「はい」
 にこにこにこ。知ってる。この表情は知っている。動物動画とかを見ている同僚の女性社員の表情だ。
「いや、お前も自分の分を食えば?」
 そんなに見られたら食い辛いわ!!

「あ、マジで美味いな」
 ニコニコなレイの横で、後からタコ焼きを受け取ったジルドが食べ始める。
「ほら、食ってみろ」
 ジルドがレイの顔の前にタコ焼きを1個差し出す。
 レイはパカリと口を開けた。
 俺には見慣れた光景だったが、周りは違ったようだ。
 キャーとかそこら中から悲鳴が聞こえる。
 タコ焼き屋のお姉さんは、タコ焼きを焼きながら「眼福!」とか叫んじゃってるし。ある意味プロだな。

 そういえば、いつの間にか周りに人が増えていた。タコ焼き屋にも列が出来始めている。
 良かったな、作戦通りだな!


「何か混んでんな!」
 人混みを掻き分け、ユズコが近付いて来た。
 よっ!なんて手をあげて挨拶してくる。
「ほら、ユズコ」
 ジルドが待っていたタコ焼きの、入れ物に入った方を差し出す。
 楊枝がないようですが?ジルドさんや。
「お、サンキュ!」
 直接タコ焼きを摘んで口に放り込みましたよ。ユズコさん。
 焼き立てのタコ焼きって、指で持って食べて良い熱さだっけ?

<主、美味いぞ>
 10個ペロリと平らげたガルムが言う。
 もう全部たべたのか?と思ったけど、対比考えたらそうだよな。
<きゅ!>
 ヨミからも催促らしい鳴き声。
「オーベの分もいるし、もう1回買うか?」
 まだレイが持ってる分が手付かずだが、これから咲樹も来るし足りないだろう。

 ヨミにもう1個タコ焼きをあげて、残りをユズコに渡す。
 列に並ぼうと歩き始めると、後ろから声がかかった。
ボン!【sechs(ゼクス)】の分は先にお代貰っとるから、並ばんでええよ」
 なぜか急に似非エセ関西人になったお姉さん。
 列の一番前に並んでいた獣人の女性からも「どうぞ」なんて言われてしまう。
 視線を巡らせると、列に並んだ皆がウンウンと頷いている。
「先にすまん」
 温かい目で見られた。大人ぶった子供じゃなくて、大人だからな。
 いや、胸元のタコ焼きを食べてるヨミが見られてるんだな。うん。そうだな。そうしよう。


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