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クランハウスに部屋を貰ったから、快適空間にしたいと思う

49:個人の資質と私室、そして商魂w

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「いや、ヴィンが仲間に入ったので、攻略はお休みする気なのでしょう」
 タコ焼き屋台に向かう道すがら、レイが説明してくれる。
「だから今は、私室を快適にするのに、皆、色々やっているのだと思いますよ」
 確かに、皆の部屋は必要最低限しかなかったような?
 そうでもないか。ジルドの部屋は趣味満載だった。
 咲樹の部屋も、中世映画のセット並みの完成度だったか?

「ジルドは部屋に飾る日本刀を探すって言ってましたし、ユズコは家具職人に特注してましたよ」
 さすがこだわりの二人だな。
「先に色々買うだけ買って、収拾しゅうしゅうつかなくなってるのがオーベですね」
 それは、現実リアルと同じだな。
 汚部屋ではないけど、散らかっている部屋。洗濯も掃除もしてるのに、足の踏み場がない現実世界リアルのオーベの部屋を思い浮かべた。

「レイの部屋は?」
 箱1個とか、ちょっと心配になるレベル。
 病んでない?大丈夫?
「僕は、ヴィンと一緒に買い物しようと思っていましたので」
 そうなんだ!とは、言い辛いのはなぜだろう?

「あれ?じゃあさっきキャンセルしたのは?」
 ふふっと黒い笑顔を浮かべるレイ。
「クランハウスの敷地を囲う柵とか、従魔が遊ぶ為のアスレチックとか、それの設置とか、野外の改装をクラン【sechs(ゼクス)】として頼んでいたんです」
 うわぁ、凄い大口契約だよな、それ。
 ご愁傷様です、としか言えない。



 タコ焼き屋台に到着。
 こちらでは既に1日経過してるし、いなかったらどうしようかと思ったけど、普通に営業してた。
「タコ焼き3つ」
 ギルドカードを差し出す。
「はい、いらっしゃ……!!」
 固まった。店員のお姉さんが固まった。
 そうですか、貴女もレイのファンですか。

「お金は良いので……」
 撫でるのか?レイの頭を。ぜひやってくれ!
「隣で食べていってください!」
 はい?
「うちのお店の宣伝になります~」
 ファンじゃなかった。商魂逞しいだけでした。嫌いじゃないぞ!そういうヤツ!


咲 樹:いまどこにいるの?


 お、咲樹からチャットきた。
 部屋のリニューアルだかリフォームだか模様替えだかは終わったのだろうか?


レ イ:ヴィンと『しきしま』のタコ焼き屋台にいます
ヴィン:タコ焼き焼き待ち中w
オーベ:タコ焼き良いな~食べたい~
咲 樹:今から行くから、待ってて!
レ イ:地図送ります
ユズコ:俺も今『しきしま』にいるから行くな!
オーベ:買ってきて~誰か俺の分買ってきて~部屋がカオスで離れられない(T^T)


 オーベ……合掌。
 あれ?ジルドから反応ないな。
「何でタコ焼きなんだ?」
 うおっふ!突然後ろから声をかけられた。
「ジルド。どこにいたんだ?」
「『日出処ひいずるところ』にいたんだが、スキル[影渡り]でヴィンの影に帰って来た」
 それは暗殺者スキルですか?俺、ターゲットですか!?

「あぁ、タコ焼き1つ」
 こちらをポカーンと見ているお姉さんに、ジルドが注文をする。
「あの!」
 お姉さんは商魂逞しいので、先程と同じ提案をジルドにしていた。
 うん。やっぱり嫌いじゃないぞ。その精神。


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