上 下
30 / 506
クランハウスに行く為に『しきしま』目指して頑張りま……す?

30:得手不得手があるから楽しいんだよな

しおりを挟む
 


 ユズコが大きく深呼吸をして、仁王立ちになる。
「はい、洗浄!」
 滝行たきぎょう!?って程の水が上からバッシャーンとユズコに降り注いだ。
「次、乾燥!」
 今度は竜巻ですか?轟々言ってますけど。
 現れたユズコは、髪はボサボサで服も何となくヨレてる。
「はい、完成」
 完成してないから!失敗してるから!!

「獣人は特に魔法が下手なんだけどね~。種族とか職種で向き不向きがあるんだよ~」
 オーベがユズコの周りに何やら魔法を展開して、身嗜みだしなみを整えてやりながら説明してくれた。

 獣人で拳闘士のユズコは、このクランの中で最も魔法が下手なんだってさ。
 次が、意外な事にレイ。魔族で暗黒騎士だから。攻撃魔法得意だとか。
 魔族で暗殺者のジルドも攻撃魔法特化らしい。呪術系もいけるとか。怖っ。
 で、妖精エルフで回復術師のオーベは、攻撃魔法が得意なので、生活魔法も上手いらしい。
 咲樹は更に魔法向きのハイエルフで賢者なので、言わずもがな。攻撃魔法もこの中で1番強いとか。

 ハーフリングの俺はどうなんでしょう?
 レベルだけは馬鹿みたいに上がってますが……今、82です。
「ガルムやヨミは魔法使えないの?」
<儂は炎や雷なら使えるが、主が求めるのとは違うだろう?>
 いや、生活魔法を魔獣に求めてませんが。
<きゅ!>
 ヨミがサイズダウンして、角も短くなる。
 それも魔法だったの?

「レベル上がってサイズ変更できるようになったのか~。攻撃の時は身体強化してるのかな~?」
<きゅ!>
 肯定か?オーベと会話してるね。可愛い。
「何か、毛色が金色になってませんか?」
<ぎゅ!>
 レイが体に触れようとしたら、ヨミが威嚇する。そんな姿も小さい時は可愛い。

「親馬鹿……」
「……そんな姿も可愛い」
 振り返ると、ジルドと咲樹とガルムが俺を見てた。
「とにかく『しきしま』到着したし、クランハウス行こうぜ!」
 ユズコが指をさす。そっちにクランハウスがあるのか?と思ったら、オーベがそっと腕を押して方向修正した。



 クランハウスに着く前に、街に着きました。
 『さんきしま』までは街が一つしかないので街に名前がなかったけど、『しきしま』からは広さが段違いなので、街が複数になるそうだ。
 普通はここまで短期間で『しきしま』まで来ないから、徐々に慣れていくんだろうな。

「ようこそ、『commerceコマース』へ」
 街の入り口で兵士にギルドカードを提示する。3回くらい顔とカードを兵士の視線が往復した。27歳ですが何か?
 俺の胸元のヨミと後ろにいるガルムへと、更に視線が移動する。
「テイマーという事は、その二匹は?」
「俺の従魔だが?」
「ギルドで登録はしてあるか?」
 思わず後ろを振り返る。
「あ、ここで登録する予定ですね~」
 爽やかに胡散臭いオーベの笑顔。矛盾してるけど、そんな笑顔なんだよ。
「早く登録するんだぞ」
 門番の兵士は、カードを返しながら俺の頭を撫でた。
 だから、子供じゃないんだが。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

あなたが幸せになれるなら婚約破棄を受け入れます

神村結美
恋愛
貴族の子息令嬢が通うエスポワール学園の入学式。 アイリス・コルベール公爵令嬢は、前世の記憶を思い出した。 そして、前世で大好きだった乙女ゲーム『マ・シェリ〜運命の出逢い〜』に登場する悪役令嬢に転生している事に気付く。 エスポワール学園の生徒会長であり、ヴィクトール国第一王子であるジェラルド・アルベール・ヴィクトールはアイリスの婚約者であり、『マ・シェリ』でのメイン攻略対象。 ゲームのシナリオでは、一年後、ジェラルドが卒業する日の夜会にて、婚約破棄を言い渡され、ジェラルドが心惹かれたヒロインであるアンナ・バジュー男爵令嬢を虐めた罪で国外追放されるーーそんな未来は嫌だっ! でも、愛するジェラルド様の幸せのためなら……

寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ
恋愛
エリーゼは、王妃になる予定だった。 故郷を失い後ろ盾を失くし代わりに王妃として選ばれたのは後から妃候補となった侯爵令嬢だった。 聖女の資格を持ち国に貢献した暁に正妃となりエリーゼは側妃となったが夜の渡りもなく周りから冷遇される日々を送っていた。 日陰の日々を送る中、婚約者であり唯一の理解者にも忘れされる中。 長らく魔物の侵略を受けていた東の大陸を取り戻したことでとある騎士に妃を下賜することとなったのだが、選ばれたのはエリーゼだった。 下賜される相手は冷たく人をよせつけず、猛毒を持つ薔薇の貴公子と呼ばれる男だった。 用済みになったエリーゼは殺されるのかと思ったが… 「私は貴女以外に妻を持つ気はない」 愛されることはないと思っていたのに何故か甘い言葉に甘い笑顔を向けられてしまう。 その頃、すべてを手に入れた側妃から正妃となった聖女に不幸が訪れるのだった。

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

エリート先輩はうかつな後輩に執着する

みつきみつか
BL
【R18】ブラック企業勤めの相田多紀(タキ)は、出張先のビジネスホテルの宿泊予約ができておらず、泊まる場所がなく困っていた。それをSNSで呟いたところ、高校時代の二学年上の先輩で、今でも仲の良い小野寺和臣(カズ)から連絡が入る。仕事で近くにいるというカズと合流し、ホテルの同じ部屋に泊まらせてもらうタキだったが、カズの様子はいつもと違っていて……。 真夜中。寝ぼけているカズから口づけられて困惑するタキに、カズは言う。 「わかってる。わかってて、やってる。多紀くん。何も間違いじゃない」 エリートサラリーマンの執着攻×底辺サラリーマンのノンケ受。高校時代の先輩×後輩。 ヘタレでストーカー気味の、受を好きすぎる攻による、ノンケ受への強制性交もの。 痛い系ではないですが、導入は強姦です。性描写等は※をつけますが、全体的にR18。 エロ描写の練習がてら。一人称。 明るいラブコメ路線。ハッピーエンドです。 各章の最終話には*をつけます。  現代BL / 執着攻 / 片想い / ストーカー / イケメン攻 / ハイスペ攻 / ヘタレ攻 / サラリーマン同士 / 平凡受 / ノンケ受 / ちょっとアホの子 / 無理矢理 / アナル / 開発 / 浣腸 / 強制性交 / 言葉責め / 淫語 / アナル舐め / 中出し / 玩具 / アナルプラグ / スパンキング / 拘束 / 首輪 / フェラ(攻→受、受→攻) / 69 / オノマトペ / 快楽堕ち / ドライオーガズム / 尿道責め / 一部番外編にリバあり / ◆登場人物(第一部第一話時点) 相田多紀 …受、24歳、167cm、平凡、高卒営業 小野寺和臣…攻、27歳、185cm、イケメン、難関私大卒商社総合職 ※完結しました。番外編は不定期更新です。※

うちの王族が詰んでると思うので、婚約を解消するか、白い結婚。そうじゃなければ、愛人を認めてくれるかしら?

月白ヤトヒコ
恋愛
「婚約を解消するか、白い結婚。そうじゃなければ、愛人を認めてくれるかしら?」 わたしは、婚約者にそう切り出した。 「どうして、と聞いても?」 「……うちの王族って、詰んでると思うのよねぇ」 わたしは、重い口を開いた。 愛だけでは、どうにもならない問題があるの。お願いだから、わかってちょうだい。 設定はふわっと。

異世界転移の……説明なし!

サイカ
ファンタジー
 神木冬華(かみきとうか)28才OL。動物大好き、ネコ大好き。 仕事帰りいつもの道を歩いているといつの間にか周りが真っ暗闇。 しばらくすると突然視界が開け辺りを見渡すとそこはお城の屋根の上!? 無慈悲にも頭からまっ逆さまに落ちていく。 落ちていく途中で王子っぽいイケメンと目が合ったけれど落ちていく。そして………… 聞いたことのない国の名前に見たこともない草花。そして魔獣化してしまう動物達。 ここは異世界かな? 異世界だと思うけれど……どうやってここにきたのかわからない。 召喚されたわけでもないみたいだし、神様にも会っていない。元の世界で私がどうなっているのかもわからない。 私も異世界モノは好きでいろいろ読んできたから多少の知識はあると思い目立たないように慎重に行動していたつもりなのに……王族やら騎士団長やら関わらない方がよさそうな人達とばかりそうとは知らずに知り合ってしまう。 ピンチになったら大剣の勇者が現れ…………ない! 教会に行って祈ると神様と話せたり…………しない! 森で一緒になった相棒の三毛猫さんと共に、何の説明もなく異世界での生活を始めることになったお話。 ※小説家になろうでも投稿しています。

スパダリヤクザ(α)とママになり溺愛されたオレ(Ω)

紗くら
BL
借金で首が回らなくなったあずさ(Ω) 督促に来たヤクザ(α)に拾われ、子育てを命じられる。 波瀾万丈の幕開けから溺愛される日々へ αの彼、龍臣が不在時にヒートを起こしたあずさは、 彼の父親の提案でΩ専門の産科医院へと入院した。 そこで、のちに親友になる不育症のΩの男の子と出会いΩの妊娠について考えるようになる。 龍臣の子に弟か妹を作ってあげたいあずさは医院でイヤイヤながら検査を受け 入院から3日後、迎えに来た龍臣に赤ちゃんが欲しいとおねだりをし 龍臣はあずさの願いを聞き、あずさを番にし子作りを始めた あずさは無事、赤ちゃんを授かり幸せを噛みしめ、龍臣の子にお腹を触らせてほのぼのとした日常を送る そんなストーリーです♡ Ωの性質?ほか独自設定なのでもし設定に違和感を覚える方がいたらごめんなさい

処理中です...