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誕生日プレゼントにゲームを貰ったので、堪能しようと思う
19:誕生日
しおりを挟むモフモフ天国。
中身がなんであっても、モフモフは正義だ。
左右にモフモフ。ソファもモフモフ。
幸せを満喫していると、目の前にウィンドウが開いた。
『Happy Birthday』
時計を見ると、現実の日付変更時間。
そう、俺の誕生日になっていた。
幻想世界では1日が20時間で、現実とズレがあるから、今は黄昏時とか逢魔時とか呼ばれる日暮れ時だ。
「誕生日おめでと~!」
オーベがシャンパンらしきものを振って、豪快に開ける。
シャンパンシャワーがギリギリ残った夕陽を浴びてキラキラ光って綺麗だ。
「ヴィン、おめでとう」
ジルドの広げたマントが蝙蝠に変化して空へ飛んで行き、旋回してから海の中へとドボドボと入って行く。
か、格好良い。
レ イ:誕生日おめでとう
ユズコ:今年もよろしくな
両脇のモフモフが、俺にスリスリしてきたよ!まさか、これをやる為にレベル上げしたのか!?
モフモフ天国な誕生日、最高。
しつこいが、たとえ中身が友人でもな。
<主は、今日が誕生日なのか?>
ガルムが俺の方へと顔を向け、フサフサ尻尾で頬を撫でてきた。
「そうだ。27歳になったんだ」
笑顔で答えたのに、沈黙が返ってきた。尻尾の動きも止まっている。
この反応は知っている。なぜなら、ゲームに来てから、何度もされた反応だから。
<儂の認識を改めねばならぬな>
うるさい。改めなくて良いよ。
皆から祝福を受けている間に、すっかり日が落ちてしまっていた。
売店などがあるので完全な暗闇ではないが、海に近い場所だし、更に光を背にしているので本能的に不安を感じる程度には暗い。
「ヴィン、空を見て」
咲樹に言われて空を見る。
「うわぁ!」
歓喜の声が出た。
目の前に広がるオーロラ。光のカーテンが色を変えながら揺れている。
「ハピバースデイ!ヴィン!」
咲樹の台詞に合わせてオーロラが弾け、花火のナイアガラのように空から降り注いだ。
「今年も仕事はお休みですか?」
人型に戻ったレイが聞いてくる。
場所は移動していないため、ガルムの上に座ったままだ。
「何で自分の誕生日に働かねばならん」
そう。俺は毎年自分の誕生日は有休を使って休んでいるのだ。
新入社員の頃からの変わらない習慣?である。
「あ、わかる。俺も誕生日に仕事だと『何で見ず知らずの他人を守らにゃならん』って気分になる。
顔にも態度にも出さないけどな」
素に戻ったユズコが苦笑する。高校の頃に大会で優勝した時、警察とか自衛隊とかからスカウト来たらしいけど、そっち方面に進まなくて正解だったな、お前は。
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