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誕生日プレゼントにゲームを貰ったので、堪能しようと思う
14:スリッカーブラシ
しおりを挟む<敵意の無いものを攻撃したりしない>
お、意外と理知的?
「自分を殺した奴でもか?」
ジルドが更に問い掛ける。
確かに、街に行けば異界人は全員、ガルムを倒した敵だよな。
<殺した奴?お前は何を言っている>
どうやらフロアボスの記憶は、毎回リセットされるらしい。
なら、尚更問題無し!
「一緒に行くか?」
もう一度問い掛ける。
「いや、だからフロアボスだからね~?」
オーベうるさい。こんな時だけ正論言うな。
<冥界の門がないのなら、それも良いだろう>
お!やったね!
〈冥界の番犬、ガルムが仲間になりました〉
テイム成功のアナウンスが聞こえた。これは、テイマーである俺への個人的アナウンスのようで、他の人には聞こえない。
《フロアボスの変更をお知らせします。『にきしま』のフロアボスが『ヘル』に変更されました》
何か、聞こえ方が今までと違う?
「ワールドアナウンスきた~!ヤバイ!逃げるぞ!」
オーベの言葉で、一番近くにいたユズコが俺を抱え上げ、レイがガルムに付いて来るように声を掛け、電光石火と言う言葉がピッタリのスピードで『さんきしま』へと逃げ込んだ。
てか、俺ってフロアボス倒した事になるのか?『さんきしま』に入れたからOKなんだろう。うん。
眩しい太陽が反射する美しい青い海。
女神のように美しい人が波打ち際で犬と追っ掛けっこをしている。
とても幻想的な光景だ。
その犬が人間の何倍もなければ。
追い掛けている美女が刃物を手にしていなければ。
「大人しくしなさい!ヴィンと一緒にいたいなら、そのボサボサの毛を手入れさせなさい!」
咲樹の手には動物用の刈り鋏。
逆の手に持っている鞭でガルムを拘束している。いや、実際にはガルムが大き過ぎて拘束できていないのだが……
「まず、梳かした方が良いんじゃないのか~?」
オーベの提案に、咲樹が鋏をしまう。
「お、コレやるよ!」
ユズコが咲樹に動物用のブラシ『スリッカー』を投げた。
「僕も持ってるな」
レイもスリッカーブラシを取り出す。
何で持ってるの?まさか、髪の毛ソレで梳かしてる?
「銀狼だからか、プレゼントされた事がある」
レイが捨ててないって事は、それなりに仲の良い人からのプレゼントだったのだろう。
「もう少しレベルが上がれば、本当の銀狼に変化ができるようになるから、取っておいた」
ヘェ~。獣人じゃなくて、獣になれるんだ。
ヤバイ。自分でもわかるくらいキラキラした目をしてるだろう、俺。
「モフモフをブラッシングしたいんだろう?」
レイの笑いながらの台詞に思いっきり頷いた。
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