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誕生日プレゼントにゲームを貰ったので、堪能しようと思う
1:誕生日プレゼント
しおりを挟む「誕生日おめでとう」
高校時代からの悪友が、誕生日の前日の夜に訪ねてきた。
ドアを開けた途端のこの台詞。
気が早い。
「……明日だが」
俺の若干不機嫌な返答を誰も責められないと思う。
「知ってる」
確信犯かよ!
「明日休みだろ?だから、誕生日当日はここで過ごそうと思ってさ」
悪友が大きな箱を俺にグイグイと押し付けてくる。
コイツの性格からいって、俺が受け取るまで引かないだろう。
「とりあえず入れ」
玄関先でアレコレしててもしょうがないので、箱を受け取り部屋へ招き入れた。
「これ、去年発売されてからいまだに人気で、なかなか手に入らないとかいうのじゃないか?」
ヘッドギア?ヘルメット?
とにかくそんな形のゲーム機。
「そうだよ~ん。仮想空間だけど、凄いリアルな体験ができるぞ」
得意満面なのは良いが、これって確か高いよな?
10万は超えるよな?
「こんな高いの貰えない」
急いで箱に詰め直そうとすると、イヤイヤイヤと慌て始めた。
「俺だけじゃないよ、勿論!いつものメンツからだから、1人2万くらいだから!」
それにしても高い。
「お前以外全員やってるんだよ~好きな事やってれば良いだけだからさ!自分じゃ絶対始めないだろ?」
うん。確かに。
「ほら、お前ペット飼いたいけどここはペット禁止だからって言ってたろ?テイマーあるぞ。もふもふ飼え……る?」
最後疑問系なのが気になるが、もふもふか……
現実じゃ、社会人一人暮らしでペットは厳しいもんな。
「わかった。機械代半分は自分で出す。データはどこで買えば良いんだ?」
変な顔された。
「ハードとかソフトとかないから」
え?そうなんだ。
そういえば、昔あったデスゲームから出られなくなるアニメも専用の機械だったかも。
「とにかく、今日現実22時にログイン集合な」
今、20時だから余裕だな。
珍しく定時退社したから、夕飯と風呂は済ましてる。
「言っとくけど、キャラメイクとチュートリアルで30分くらい掛かるからな?」
マジか。言われなかったら、遅刻してたな。
「本来は全部読む事推奨だが、今日はとりあえずその『赤いページ』だけは読んで来いよ。現実と異世界の時間経過とか、最長ログイン時間とか、アラーム機能、レッドアラームとか、強制退去とか、色々載ってるから」
取扱説明書を渡される。
辞書?これ、辞書なの?
もしくは百科事典。
「とにかく、また後で会おう。俺はエルフで賢者だから!」
悪友がそう言いながら立ち上がる。
悔しいが高校時代からモテモテのイケメンなコイツなら似合いそうだ。
そういえば、茶も出してなかったな。
今更か。
元気に帰って行った悪友を見送り、溜息を吐きつつ取扱説明書を開いた。
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