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しおりを挟む全ての日程をこなし、王都へ帰って来ました。
帰りの馬車でコッソリ聞いたのですが、マリリナ様のお兄様は、サンドラの初恋の人なのだそうです。
「隣国の王女様と婚約したと聞いたのですが、違ったのでしょうか?」
マリリナ様が「兄より先に婚約」と言っておりましたので、その情報は間違っていたのでしょう。
楽しい時間はあっという間に終わってしまうのですね。
また学園が始まりました。
まぁある意味、こちらも楽しい時間ではあるのですが。
長期休暇が明けると、フローラはまた生徒会室に来るようになりました。
食欲は戻ってきたようですわね。
まだお腹は全然出てないように見えます。
前回も含め、私は出産経験が無いのでいつ頃からお腹が目立つのか判らないのです。
前回フローラの妊娠を知ったのは、卒業後のあのパーティーでした。
ドレスでしたし、お腹は全然目立ちませんでしたわ。
パーティー……そうですね。
そろそろフローラが側妃候補だと発表しなくてはいけませんね。
学園内でいくら認知されていても、対外的にはまだ側妃候補はいない事になっています。
既に王宮に住んでいるのにおかしな話ですが、それが罷り通るのが今の王族なのです。
今度の学園祭は、保護者や卒業生などを招いてパーティーで締め括りましょう。
そこで王太子にはフローラをエスコートしてもらえば良いのです。
学園内ですので、婚約者をエスコートしなくても問題有りませんわね。
あくまでも学園祭の一環ですので、新しくドレスやタキシードを製作するのは禁止にしましょう。
どうしても今あるドレスが着られない方は、生徒会から貸出しをする事にします。
高位貴族の方々にお願いすれば、もう着ないドレスを寄付していただけるでしょうし。
私も一度しか着ていないのに公の場で着てしまったので、もう着られないドレスが何着かあります。
王族主催のパーティーで着たドレスは、二度と着ないのが暗黙のルールなのです。
下位貴族の方は手直ししてまた着られる方もいらっしゃいますが、高位貴族ではそれは恥となります。
勿体無いですわよね。
「それならばいっそ、女性は全員貸出しにしましょうよ」
サンドラが提案してきます。
必要最低限しかパーティーに出ない私と違って、サンドラは着なくなったドレスがかなりあるそうです。
「私、アンシェリー様が前々回着ていた青いドレスが着てみたいです」
カレーリナもサンドラの案に賛同します。
「では、まずどれくらいドレスが集まるかを見てみましょう。マリリナやフェリシアにも声を掛けてみます」
タイラーが早速、学園に許可を取る書類の作成に入ります。
「フェリシア……様?どなたですか?」
ネイサンが問い掛ける。
あ、やはり知らない方ですわよね。
「あぁ、まだ紹介してませんでしたね。学園祭で会えますが、マリリナの恋人です」
とても大きな爆弾が投下されました。
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