12 / 49
11:動き始めた
しおりを挟む婚約してから9ヶ月。ジュリアが学園に通いだしてから半年が経った。
例の事件からは3ヶ月が経っている。
結局、リディオはジュリアに怪我を負わせた事について、一言も謝罪しなかった。
手紙一通届かなかったのである。
勿論、学園で直接謝って来る事も無かった。
カルミネも特に伯爵家に何かを連絡する事は無かった。
むしろ、一切の連絡を断っていた。
いつもなら契約期限が近付くと連絡を入れ契約更新をするのだが、それもせずにそのまま契約満了による取引終了手続きをしてしまっていた。
今までの、親会社に当たるアンドレオッティ財閥側から連絡を入れている事自体おかしかったのだ。
ジワジワとサンテデスキ伯爵家との関係を絶っていく。
アンドレオッティ子爵家当主カルミネを筆頭に、アンドレオッティ財閥は、ジュリアを傷付けたサンテデスキ伯爵家を追い詰めていっていた。
「ジュリア様、明日は学園をお休みなさるので良いのですよね?」
ビビアナがジュリアに確認をする。
その声は弾んでいる。
「はい。タウンハウスではなく、社交の為だけに建てた屋敷でのパーティーになりますので、皆様にもそちらにお泊り頂く予定です」
ジュリアもどこかソワソワしている。
「あの迎賓館並のお屋敷ですよね?」
クラウディアもうっとりとした表情で聞いてくる。
「はい。特に今年は招待客を増やすと、お父様もお母様も張り切ってしまってますので、隣国の親戚まで呼んでしまいましたの」
ジュリアの説明に、ビビアナとクラウディアは一瞬意識が遠くなりかけた。
「隣国の親戚!?」
「はい。なので、明日はこの学園内のアンドレオッティ財閥関係者も、軒並みお休みする事になりますわね」
のほほんと笑って言うジュリアを見て、ビビアナは苦笑し、クラウディアは額に手を当てた。
アンドレオッティ本家からの招待を断れる家は、全世界でも片手で足りるだろう。
特に今回は隣国からも招待客が来るという。
国内なのに断ったら、それは「もう取引はしません」と同義に取られるだろう。
そして明日、アンドレオッティ財閥と取引があるはずなのに、パーティーに招待されず登校した生徒は、他の関係者から確実に切られるだろう。
なぜなら、明日は後継者であるジュリアの誕生日パーティーなのだから。
138
お気に入りに追加
3,533
あなたにおすすめの小説
お姉さまは最愛の人と結ばれない。
りつ
恋愛
――なぜならわたしが奪うから。
正妻を追い出して伯爵家の後妻になったのがクロエの母である。愛人の娘という立場で生まれてきた自分。伯爵家の他の兄弟たちに疎まれ、毎日泣いていたクロエに手を差し伸べたのが姉のエリーヌである。彼女だけは他の人間と違ってクロエに優しくしてくれる。だからクロエは姉のために必死にいい子になろうと努力した。姉に婚約者ができた時も、心から上手くいくよう願った。けれど彼はクロエのことが好きだと言い出して――
今世は好きにできるんだ
朝山みどり
恋愛
誇り高く慈悲深い、公爵令嬢ルイーズ。だが気が付くと粗末な寝台に横たわっているのに気がついた。
鉄の意志で声を押さえ、状況・・・・状況・・・・確か藤棚の下でお茶会・・・・ポットが割れて・・・侍女がその欠片で・・・思わず切られた首を押さえたが・・・・首にさわった手ががさがさ!!!?
やがて自分が伯爵家の先妻の娘だと理解した。後妻と義姉にいびられている、いくじなしで魔力なしの役立たずだと・・・・
なるほど・・・今回は遠慮なく敵をいびっていいんですわ。ましてこの境遇やりたい放題って事!!
ルイーズは微笑んだ。
いつまでも甘くないから
朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。
結婚を前提として紹介であることは明白だった。
しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。
この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。
目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・・
王妃はわたくしですよ
朝山みどり
恋愛
王太子のやらかしで、正妃を人質に出すことになった。正妃に選ばれたジュディは、迎えの馬車に乗って王城に行き、書類にサインした。それが結婚。
隣国からの迎えの馬車に乗って隣国に向かった。迎えに来た宰相は、ジュディに言った。
「王妃殿下、力をつけて仕返ししたらどうですか?我が帝国は寛大ですから機会をたくさんあげますよ」
『わたしを退屈から救ってくれ!楽しませてくれ』宰相の思惑通りに、ジュディは力をつけて行った。
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。
音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。>
婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。
冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。
「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
元王妃は時間をさかのぼったため、今度は愛してもらえる様に、(殿下は論外)頑張るらしい。
あはははは
恋愛
本日わたくし、ユリア アーベントロートは、処刑されるそうです。
願わくは、来世は愛されて生きてみたいですね。
王妃になるために生まれ、王妃になるための血を吐くような教育にも耐えた、ユリアの真意はなんであっただろう。
わあああぁ 人々の歓声が上がる。そして王は言った。
「皆の者、悪女 ユリア アーベントロートは、処刑された!」
誰も知らない。知っていても誰も理解しない。しようとしない。彼女、ユリアの最後の言葉を。
「わたくしはただ、愛されたかっただけなのです。愛されたいと、思うことは、罪なのですか?愛されているのを見て、うらやましいと思うことは、いけないのですか?」
彼女が求めていたのは、権力でも地位でもなかった。彼女が本当に欲しかったのは、愛だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる