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第二十章
第338話 アルの苛立ちと理想
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「アル。エルウッド。落ち着いて」
レイはいつもの口調で俺たちの名前を呼ぶ。
その手は俺の右腕に乗ったままだ。
まるで俺が、激昂すると分かっていたように制止している。
「あのねえ、ノルン。私は挑発に乗らないわ。あなたの目的は?」
「グハハハハ。さすがは世界で最も冷酷な女よ」
「だからね、私は挑発に乗らないのよ。ねえ、あなたは一万二千年も生きてるんでしょう? 古代王国で賢王と呼ばれたあなたが、どうして今になって世界を敵に回すの?」
ノルンは長い白髭を擦り黙る。
だがレイは意に介さない。
「何が目的なの? 答えなさい」
「……暇つぶしじゃ」
「もう、頑固なお爺ちゃんね」
「だ、誰がお爺ちゃんじゃ!」
今度はノルンが挑発に乗った。
いや、レイは挑発なんてしていない。
ただ普通に話しているだけだろう。
「ねえ、この国で何かあったのでしょう? それしか考えられないのよ」
黙り込むノルン。
「どうして長生きすると、こうも頑固になるのかしらね。ああ、長生きしすぎて頑固を通り越したのかしら」
「帰れ!」
「ちょっと酷くない? こんな僻地までわざわざ来たのよ? お茶も出ないし」
「貴様らは客ではないじゃろうが!」
「シドに会いたかったのでしょう? もっと話したいことがあるのでしょう? あなたの子孫なのよ?」
「この女、頭の中まで狂戦士か!」
「何よ、失礼ね。ふふふ」
レイは何を言われても普段と変わらず接している。
普通に老人と話している印象だ。
それに引き換え、ノルンはレイを苦手としているようだった。
シドは珍しく神妙な表情を浮かべている。
ノルンに会ってからというもの、ずっと暗い表情だ。
「ノルン。やはりどう考えてもおかしいのだ。デ・スタル連合国で何かあったとしか思えない」
「ふん。シドの小僧よ。貴様も狂戦士毒を体験したのだろう? あれは止まらぬ」
ノルンは先程から具体的な話を一切せず、挑発しかしてこない。
何がしたいのだろうか。
俺はもう一度確認することにした。
「何か原因があるんじゃないのか? 国に何か起こったんだろう?」
「もう止まらぬ。儂らは世界に宣戦布告したのじゃ」
はっきりしないノルンに、俺は珍しく苛ついてしまった。
机を叩き立ち上がる。
「だからそれを止めに来たんだノルン! お前だって昔は国王だっただろ! 国民を毒に感染させて! 死兵にさせて何も感じないのか! 国を! 国民を守るのがお前の役目だろ! ふざけるな!」
「黙れ小僧!」
「俺たちは愛する国や国民を捨てたりしない!」
「笑わせるな! 全てを持っている貴様に何が分かる! 恵まれた貴様に! 本当の絶望も知らない甘っちょろい若造に!」
「なんだと! 俺たちだって何度も危機はあったんだ! でも全員でそれを乗り越えてきたんだ!」
「貴様は甘い! 現実を知らぬのじゃ!」
俺が反論しようとすると、立ち上がっている俺にオルフェリアが後ろから抱きついてきた。
「アル! やめて!」
「やめなさい!」
俺とノルンを静止するかのように、レイが両手を広げた。
俺の胸に手を回しているオルフェリア。
その手は震えている。
レイも薄っすらと涙を浮かべているようだ。
俺は大きく息を吸った。
「ご、ごめん。レイ」
そして、オルフェリアの震える手を擦る。
「オルフェリアもごめんよ」
俺はノルンにも頭を下げた。
「ノルンも……すまない。怒鳴ってしまった」
口論でこれほど怒鳴るなんて初めてだ。
ただ、俺はどうしても国民にしたことが許せなかった。
国王となって、俺にも責任感というものが芽生えている。
国民を犠牲にして生まれるものなどない。
そして、俺自身の人生を思い出していた。
「ノルン、俺だって絶望的な状況は何度もあったよ。本当に苦しくて、死を覚悟したことなんていくらでもある。だけどね、両親が死んで一人になった時だって、陰謀に巻き込まれた時だって、ネームドに襲われた時だって、竜種と戦った時だって、俺は絶対に諦めなかった。最後まで絶望しなかった。そりゃもちろん、俺にはこんなに素晴らしい仲間がいるし、皆の協力があってこそだ。だからさ、俺たちが力になれることがあれば何でもするよ」
「小僧のくせに……」
ノルンの言葉に勢いはない。
絞り出すような声だ。
「ノルン。俺は助けたいんだ。あなたを、この国を。何があったか分からない。でも、どんな状況でも諦めない。国をより良くしていく努力だけは怠ってはいけない。それが俺たち君主の努めだろう?」
「知ったような口を利きおって……」
ノルンが腰に手を回し、天井を眺める。
何かを呟いたように口元が動き、僅かに全身が震えたように感じた。
「これは儂ら全員が望んだのじゃ」
「全員?」
「貴様はこの国の正体を知っておるじゃろう?」
「正体? ああ……犯罪組織の黒幕と聞いた」
「そうじゃ、儂らは犯罪国家じゃ。国民は世の中に恨みを持つ者ばかりでのう。はみ出し者ばかりじゃ」
「恨みで宣戦布告を?」
「違う。儂らは生きるために犯罪を犯すが、闇雲に世界を混乱させたいわけではない。秩序があるから犯罪が成り立つのじゃ。今の世は秩序正しい。それは犯罪組織にとって好都合な一面もある。それに、どこにでもまともに生きていけない者はおるからの」
ノルンが俺の顔を見た。
深く刻まれたシワ、伸び切った眉毛、その奥の目はどこか悲しげだ。
「貧しくとも、はみ出し者でも、生きていく権利はある。それに弱き者は簡単に死ぬ世の中じゃ。今は強い者が正義じゃ」
「それと宣戦布告と何が関係あるんだ?」
「この国はもう終わりなのじゃ。いや、世界が終わるはずじゃった。それを救う代わりに、はみ出し者たちの最後の我儘を聞いてやったのじゃ」
「どういうことだ? 世界を救う? なのに宣戦布告?」
俺にはノルンの言っていることが全く理解できない。
「はっ! まさか! ノルン!」
俺の言葉に反応したシド。
手のひらで机を叩き、叫びながら立ち上がった。
「もしや……死の病か」
「さすがじゃの、シドの小僧よ」
ノルンは静かに頷いた。
レイはいつもの口調で俺たちの名前を呼ぶ。
その手は俺の右腕に乗ったままだ。
まるで俺が、激昂すると分かっていたように制止している。
「あのねえ、ノルン。私は挑発に乗らないわ。あなたの目的は?」
「グハハハハ。さすがは世界で最も冷酷な女よ」
「だからね、私は挑発に乗らないのよ。ねえ、あなたは一万二千年も生きてるんでしょう? 古代王国で賢王と呼ばれたあなたが、どうして今になって世界を敵に回すの?」
ノルンは長い白髭を擦り黙る。
だがレイは意に介さない。
「何が目的なの? 答えなさい」
「……暇つぶしじゃ」
「もう、頑固なお爺ちゃんね」
「だ、誰がお爺ちゃんじゃ!」
今度はノルンが挑発に乗った。
いや、レイは挑発なんてしていない。
ただ普通に話しているだけだろう。
「ねえ、この国で何かあったのでしょう? それしか考えられないのよ」
黙り込むノルン。
「どうして長生きすると、こうも頑固になるのかしらね。ああ、長生きしすぎて頑固を通り越したのかしら」
「帰れ!」
「ちょっと酷くない? こんな僻地までわざわざ来たのよ? お茶も出ないし」
「貴様らは客ではないじゃろうが!」
「シドに会いたかったのでしょう? もっと話したいことがあるのでしょう? あなたの子孫なのよ?」
「この女、頭の中まで狂戦士か!」
「何よ、失礼ね。ふふふ」
レイは何を言われても普段と変わらず接している。
普通に老人と話している印象だ。
それに引き換え、ノルンはレイを苦手としているようだった。
シドは珍しく神妙な表情を浮かべている。
ノルンに会ってからというもの、ずっと暗い表情だ。
「ノルン。やはりどう考えてもおかしいのだ。デ・スタル連合国で何かあったとしか思えない」
「ふん。シドの小僧よ。貴様も狂戦士毒を体験したのだろう? あれは止まらぬ」
ノルンは先程から具体的な話を一切せず、挑発しかしてこない。
何がしたいのだろうか。
俺はもう一度確認することにした。
「何か原因があるんじゃないのか? 国に何か起こったんだろう?」
「もう止まらぬ。儂らは世界に宣戦布告したのじゃ」
はっきりしないノルンに、俺は珍しく苛ついてしまった。
机を叩き立ち上がる。
「だからそれを止めに来たんだノルン! お前だって昔は国王だっただろ! 国民を毒に感染させて! 死兵にさせて何も感じないのか! 国を! 国民を守るのがお前の役目だろ! ふざけるな!」
「黙れ小僧!」
「俺たちは愛する国や国民を捨てたりしない!」
「笑わせるな! 全てを持っている貴様に何が分かる! 恵まれた貴様に! 本当の絶望も知らない甘っちょろい若造に!」
「なんだと! 俺たちだって何度も危機はあったんだ! でも全員でそれを乗り越えてきたんだ!」
「貴様は甘い! 現実を知らぬのじゃ!」
俺が反論しようとすると、立ち上がっている俺にオルフェリアが後ろから抱きついてきた。
「アル! やめて!」
「やめなさい!」
俺とノルンを静止するかのように、レイが両手を広げた。
俺の胸に手を回しているオルフェリア。
その手は震えている。
レイも薄っすらと涙を浮かべているようだ。
俺は大きく息を吸った。
「ご、ごめん。レイ」
そして、オルフェリアの震える手を擦る。
「オルフェリアもごめんよ」
俺はノルンにも頭を下げた。
「ノルンも……すまない。怒鳴ってしまった」
口論でこれほど怒鳴るなんて初めてだ。
ただ、俺はどうしても国民にしたことが許せなかった。
国王となって、俺にも責任感というものが芽生えている。
国民を犠牲にして生まれるものなどない。
そして、俺自身の人生を思い出していた。
「ノルン、俺だって絶望的な状況は何度もあったよ。本当に苦しくて、死を覚悟したことなんていくらでもある。だけどね、両親が死んで一人になった時だって、陰謀に巻き込まれた時だって、ネームドに襲われた時だって、竜種と戦った時だって、俺は絶対に諦めなかった。最後まで絶望しなかった。そりゃもちろん、俺にはこんなに素晴らしい仲間がいるし、皆の協力があってこそだ。だからさ、俺たちが力になれることがあれば何でもするよ」
「小僧のくせに……」
ノルンの言葉に勢いはない。
絞り出すような声だ。
「ノルン。俺は助けたいんだ。あなたを、この国を。何があったか分からない。でも、どんな状況でも諦めない。国をより良くしていく努力だけは怠ってはいけない。それが俺たち君主の努めだろう?」
「知ったような口を利きおって……」
ノルンが腰に手を回し、天井を眺める。
何かを呟いたように口元が動き、僅かに全身が震えたように感じた。
「これは儂ら全員が望んだのじゃ」
「全員?」
「貴様はこの国の正体を知っておるじゃろう?」
「正体? ああ……犯罪組織の黒幕と聞いた」
「そうじゃ、儂らは犯罪国家じゃ。国民は世の中に恨みを持つ者ばかりでのう。はみ出し者ばかりじゃ」
「恨みで宣戦布告を?」
「違う。儂らは生きるために犯罪を犯すが、闇雲に世界を混乱させたいわけではない。秩序があるから犯罪が成り立つのじゃ。今の世は秩序正しい。それは犯罪組織にとって好都合な一面もある。それに、どこにでもまともに生きていけない者はおるからの」
ノルンが俺の顔を見た。
深く刻まれたシワ、伸び切った眉毛、その奥の目はどこか悲しげだ。
「貧しくとも、はみ出し者でも、生きていく権利はある。それに弱き者は簡単に死ぬ世の中じゃ。今は強い者が正義じゃ」
「それと宣戦布告と何が関係あるんだ?」
「この国はもう終わりなのじゃ。いや、世界が終わるはずじゃった。それを救う代わりに、はみ出し者たちの最後の我儘を聞いてやったのじゃ」
「どういうことだ? 世界を救う? なのに宣戦布告?」
俺にはノルンの言っていることが全く理解できない。
「はっ! まさか! ノルン!」
俺の言葉に反応したシド。
手のひらで机を叩き、叫びながら立ち上がった。
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