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第十八章
第312話 戦い終わって
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旅する宮殿は素材を載せ、ナブム氷原を出発。
目的地はフォルド帝国の帝都サンドムーンだ。
ナブム氷原から半日もかからない距離なので、アガスが一人で操縦。
シドは研究室で、竜種リジュールから血清を作るための準備に取りかかる。
抽出には一週間ほどかかるそうだ。
レイは寝室で寝ている。
狂戦士により、肉体の限界を越えて身体を酷使したため、腕から出血していたり体中の内出血が酷かった。
意識もまだ戻っておらず、しばらくは動けないと思う。
始祖二柱はリジュールの血を舐めた。
これでリジュールの能力を獲得。
現時点でリジュールの能力は分からないが、その内判明するだろう。
オルフェリアとローザは、倉庫でリジュールの素材を確認。
本格的な解体や研究は帰国してからとなる。
旅する宮殿は、予定通りサンドムーンに到着。
シルヴィア陛下に面会を求め、竜種討伐を報告。
陛下や家臣たちは大変驚いていた。
それもそうだろう、俺たちが討伐を行うと連絡した翌日には討伐完了だ。
我ながら恐ろしいスピードだと思う。
陛下からは、リジュール討伐やナブム氷原の正常化について、直接感謝の言葉をいただいた。
また、光る鉱石などの発掘に関しても、我々ラルシュ王国と共同で発掘することになる予定だ。
高い技術を誇るラルシュ工業に、ウグマ鉱山のリフトのような装置の開発を期待しているのだろう。
我々にとっても光る鉱石の採掘はありがたいので、ギブアンドテイクの関係だ。
その夜、急遽晩餐会が催された。
レイはまだ動かせないので、ラルシュ王国の代表は俺一人。
さらにシド、オルフェリア、ローザ、アガスが出席。
リマ、エルザ、マリンは、レイの看病で旅する宮殿に残った。
シドとオルフェリアは夫婦なので、こういった場では当然ながらパートナーとして振る舞う。
今やオルフェリアもドレスに慣れており、その清楚な姿に感嘆の声が漏れていた。
ローザは年齢よりも大幅に若く見えるのだが、ドレスを着るとしっかり年相応に見える。
その美しい姿からは、神の金槌の称号を持つほどの鍛冶師とは想像できない。
今回、ローザのパートナーは正装したアガスが務める。
「ロロロローザさん。よよよよろしくお願いいたします」
「何をそんなに緊張しているのだ。アガスよ」
「あ、いや、その……」
シドがアガスの肩を叩いた。
「ハッハッハ。アガスはローザが好きだからな。今日はチャンスじゃないか?」
我々は皆知っていたが、アガスはローザのことが好きだった。
だが、恋愛に疎いアガスは何もできずに日々過ごしている。
ローザはアガスのことを全く気にしていないし、そもそも恋愛に興味があるのかも分からない。
シドの言葉を聞いたオルフェリアが、驚きながら焦った表情を浮かべた。
「ちょ、ちょっとシド! もう……あなたは相変わらずですね」
「本当だよ。空気ってものが読めないんだから。そりゃレイに嫌悪されるわけだ」
オルフェリアと俺は呆れていた。
当の本人であるアガスの顔が夕焼けのように赤く染まり、滝のような汗が流れ出す。
「み、皆さん! 勝手なことを言わないでください!」
「なんだアガス。私がいいのか?」
ローザがアガスの顔を見つめている。
「え? い、いや、その、あの」
「ハッキリしろ。ハッキリしないやつは好かんぞ」
「は、はい! 僕はローザさんが好きです!」
「ふむ……そうだな……」
腕を組み考え込むローザ。
「いいぞ。うむ。お前だったらいいぞ」
「え?」
「「「え?」」」
当事者のアガスはもちろん、俺、シド、オルフェリアが同時に声を出した。
「ま、待てローザよ。いいとはどういうことだ?」
「シド様。私も四十歳ですよ? 遅すぎましたが、そろそろ身を固めようかと」
「身を固める? は? け、結婚だと?」
付き合うとかではなく、いきなり結婚のようだ。
常日頃からローザの決断力は凄いと思っていたが、あまりに突然の結婚宣言だった。
「ロ、ローザよ。アガスでいいのか?」
「私のことを好きであれば問題ありません。アガスの人柄は知ってますので」
「そ、そうか」
さすがのシドも驚いている。
ローザと結婚が決まったことで、一番驚いているのがアガス本人だった。
アガスは完全に身体が硬直。
「アハハ。おめでとうローザ、アガス」
「アルよ。証人はお前だぞ」
「もちろんだよ。俺とレイが証人になるよ」
俺にとって、長年苦楽を共にしてきたかけがえのない仲間であるローザとアガス。
それに俺が国王になってから、仲間内で初めての結婚だ。
これは盛大に祝うことにしよう。
身内でハプニングがあったものの、晩餐会は無事終了。
この日は宮殿に宿泊し、翌日帰国の途に就く。
報酬の金貨十五万枚やその他の条件については、また改めてシドが帝国へ赴き調整することになった。
目的地はフォルド帝国の帝都サンドムーンだ。
ナブム氷原から半日もかからない距離なので、アガスが一人で操縦。
シドは研究室で、竜種リジュールから血清を作るための準備に取りかかる。
抽出には一週間ほどかかるそうだ。
レイは寝室で寝ている。
狂戦士により、肉体の限界を越えて身体を酷使したため、腕から出血していたり体中の内出血が酷かった。
意識もまだ戻っておらず、しばらくは動けないと思う。
始祖二柱はリジュールの血を舐めた。
これでリジュールの能力を獲得。
現時点でリジュールの能力は分からないが、その内判明するだろう。
オルフェリアとローザは、倉庫でリジュールの素材を確認。
本格的な解体や研究は帰国してからとなる。
旅する宮殿は、予定通りサンドムーンに到着。
シルヴィア陛下に面会を求め、竜種討伐を報告。
陛下や家臣たちは大変驚いていた。
それもそうだろう、俺たちが討伐を行うと連絡した翌日には討伐完了だ。
我ながら恐ろしいスピードだと思う。
陛下からは、リジュール討伐やナブム氷原の正常化について、直接感謝の言葉をいただいた。
また、光る鉱石などの発掘に関しても、我々ラルシュ王国と共同で発掘することになる予定だ。
高い技術を誇るラルシュ工業に、ウグマ鉱山のリフトのような装置の開発を期待しているのだろう。
我々にとっても光る鉱石の採掘はありがたいので、ギブアンドテイクの関係だ。
その夜、急遽晩餐会が催された。
レイはまだ動かせないので、ラルシュ王国の代表は俺一人。
さらにシド、オルフェリア、ローザ、アガスが出席。
リマ、エルザ、マリンは、レイの看病で旅する宮殿に残った。
シドとオルフェリアは夫婦なので、こういった場では当然ながらパートナーとして振る舞う。
今やオルフェリアもドレスに慣れており、その清楚な姿に感嘆の声が漏れていた。
ローザは年齢よりも大幅に若く見えるのだが、ドレスを着るとしっかり年相応に見える。
その美しい姿からは、神の金槌の称号を持つほどの鍛冶師とは想像できない。
今回、ローザのパートナーは正装したアガスが務める。
「ロロロローザさん。よよよよろしくお願いいたします」
「何をそんなに緊張しているのだ。アガスよ」
「あ、いや、その……」
シドがアガスの肩を叩いた。
「ハッハッハ。アガスはローザが好きだからな。今日はチャンスじゃないか?」
我々は皆知っていたが、アガスはローザのことが好きだった。
だが、恋愛に疎いアガスは何もできずに日々過ごしている。
ローザはアガスのことを全く気にしていないし、そもそも恋愛に興味があるのかも分からない。
シドの言葉を聞いたオルフェリアが、驚きながら焦った表情を浮かべた。
「ちょ、ちょっとシド! もう……あなたは相変わらずですね」
「本当だよ。空気ってものが読めないんだから。そりゃレイに嫌悪されるわけだ」
オルフェリアと俺は呆れていた。
当の本人であるアガスの顔が夕焼けのように赤く染まり、滝のような汗が流れ出す。
「み、皆さん! 勝手なことを言わないでください!」
「なんだアガス。私がいいのか?」
ローザがアガスの顔を見つめている。
「え? い、いや、その、あの」
「ハッキリしろ。ハッキリしないやつは好かんぞ」
「は、はい! 僕はローザさんが好きです!」
「ふむ……そうだな……」
腕を組み考え込むローザ。
「いいぞ。うむ。お前だったらいいぞ」
「え?」
「「「え?」」」
当事者のアガスはもちろん、俺、シド、オルフェリアが同時に声を出した。
「ま、待てローザよ。いいとはどういうことだ?」
「シド様。私も四十歳ですよ? 遅すぎましたが、そろそろ身を固めようかと」
「身を固める? は? け、結婚だと?」
付き合うとかではなく、いきなり結婚のようだ。
常日頃からローザの決断力は凄いと思っていたが、あまりに突然の結婚宣言だった。
「ロ、ローザよ。アガスでいいのか?」
「私のことを好きであれば問題ありません。アガスの人柄は知ってますので」
「そ、そうか」
さすがのシドも驚いている。
ローザと結婚が決まったことで、一番驚いているのがアガス本人だった。
アガスは完全に身体が硬直。
「アハハ。おめでとうローザ、アガス」
「アルよ。証人はお前だぞ」
「もちろんだよ。俺とレイが証人になるよ」
俺にとって、長年苦楽を共にしてきたかけがえのない仲間であるローザとアガス。
それに俺が国王になってから、仲間内で初めての結婚だ。
これは盛大に祝うことにしよう。
身内でハプニングがあったものの、晩餐会は無事終了。
この日は宮殿に宿泊し、翌日帰国の途に就く。
報酬の金貨十五万枚やその他の条件については、また改めてシドが帝国へ赴き調整することになった。
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