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第十七章
第280話 水竜ルシウス
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ルシウスの全体が見えた。
「で、でかい!」
全長は四十メデルトもある。
首だけで二十メデルトだ。
身体は十メデルトで、尻尾の長さも十メデルト。
首と同じように全身の鱗の色は薄群青色で、腹などの内側は白色だ。
四本の手足は巨大なヒレのようになっている。
俺はこれほどの巨体の生物を初めて見た。
「ギャオォォウゥゥゥゥ!」
その超巨体が叫びながら、海面から五十メデルト近くも飛び上がっている。
どれほどの勢いをつけて海中を泳いだのか。
もし海面に浮く船だったら、あの体当たりでどんな船であろうと木っ端微塵になるだろう。
空を飛ぶ旅する宮殿も無事では済まない。
巨体故に、動きがゆっくりに見えるルシウス。
そのまま落下し、爆音を轟かせ着水。
着水時も大量の海水を巻き上げ、巨大な波を発生させた。
もしあのまま近くにいたら、俺たちは大波に飲み込まれていたはずだ。
「あ、危なかった。ヴァルディありがとう」
ヴァルディはあの攻撃を知っていたようだ。
少し遅れて巨大な波が俺たちを襲ってきたが、ヴァルディは華麗にジャンプして難なく大波を避ける。
ルシウスの攻撃は水の槍、水中からの突撃と空中ジャンプ、巨大な波、そしてあの恐ろしい歯による噛みつきだろう。
徐々に分かってきた。
「皆いいぞ! しっかりと情報収集できている!」
ヴァルディは着水すると同時に走り出し、再度ルシウスへ接近。
エルウッドが雷の道を放つ。
吸い込まれるようにルシウスの角に直撃する。
「ギャオォォォォ!」
ヴァルディがもう一度ジャンプすると、エルウッドが超特大の雷の道を海面に放出。
水は雷を通す。
俺たちが空中にいる間に、ルシウスは全身で雷の道を喰らった。
空気が破裂するかのような爆発音と共に、ルシウスの身体から黒煙が立ち上り、焦げ臭さが広がる。
「ギャオオオオォォォォ!」
絶叫するルシウス。
動きが一気に弱まった。
これでフルパワーの雷の道を三発放ったエルウッド。
以前よりも確実に力を増しているのは間違いない。
「エルウッド、雷の道はもう空じゃないのか?」
「クウゥゥン」
「休んでてくれ」
雷の道を使い切ったようだ。
だが、おかげでルシウスの動きは鈍っている。
「ヴァルディ! 俺をルシウスの頭部へ運んでくれ!」
ヴァルディは着水すると、海面を蹴りルシウスの頭上へ大きくジャンプ。
俺は紅竜の剣を抜く。
そして、眼下に見えるルシウスの頭部めがけて飛び降りた。
落下の勢いを保ったまま、ルシウスの額に剣を突き刺す。
「ギャオオオオォォ!」
「よし! 通るぞ!」
致命傷とまではいかないが、鎧のような鱗を突き通した。
今までの剣だったら、竜種に傷をつけることは難しかっただろう。
だが、紅竜の剣はこの世で最も硬いヴェルギウスの素材だ。
その硬度は最高硬度の十を超える。
ルシウスに紅竜の剣で攻撃ができることを確認した俺は、とどめを刺そうと剣を振りかぶる。
しかし、額に傷を負ったルシウスは、絶叫しながら首を大きく振り、海へ潜る動作を見せた。
俺はすぐに頭部からジャンプし離脱。
海面に落ちる寸前で、ヴァルディが俺を拾ってくれた。
「ヴァルディ! 助かった、ありがとう!」
ルシウスが一旦海へ潜った。
あのまま海水に潜られたら、俺は為す術なく死んでいただろう。
「ヴァルディ! 奴が顔を出したらもう一回だ!」
「ヒヒィィン!」
ルシウスは首を出すと同時に、これまでで最も強烈な水の槍を吐いた。
海中から俺たちを確実に狙っていたようだ。
だが、ヴァルディは華麗に回避し、ルシウスの顔に近付く。
ヴァルディの動きは凄まじい。
どう考えても、今回初めてルシウスと戦うとは思えない。
過去にルシウスと戦ったことがあるような印象だ。
その証拠に、どの攻撃も完全に見切っている。
「ヴァルディ! 行くぞ!」
俺はヴァルディの背から、剣を振り上げながら上空に大きくジャンプ。
ルシウスの額に向かって力一杯振り下ろす。
鱗を砕き、額にめり込む紅竜の剣。
だがまだ頭蓋骨には届かない。
「ギャオォォォォォォ!」
絶叫するルシウスは、首を左右に大きく動かし俺を振り落とす。
「くそ!」
落下した俺は、海面ギリギリでルシウスの首を蹴り宙に舞う。
空中でヴァルディが俺を受け止めてくれた。
「ありがとうヴァルディ! もう一回だ!」
ヴァルディが海面を蹴りジャンプ。
俺はもう一度ルシウスの頭部へ飛び移る。
「これで! 終わりだぁぁ!」
俺は紅竜の剣を大きく振りかぶり、まるで鉱石を採掘するかのようにルシウスの頭部めがけて振り下ろした。
頭部の強固な鱗を斬り裂き、返り血を浴びながら頭蓋骨を砕く。
巨大な脳を抉る渾身の攻撃だ。
「ギギャッ」
短く小さく叫んだルシウス。
脳を斬ったことで、身体が瞬間的に大きく動く。
そして、黄金に輝く瞳孔から、瞬く間に生きる光が消えた。
「やったぞ!」
喜びも束の間、力を失った巨大な頭部が海面に崩れ落ちていく。
俺は紅竜の剣を頭部に突き刺し、そのまま剣に掴まり衝撃に備えた。
爆音と激しい水飛沫を上げて、激しく海面に打ちつけられたルシウスの頭部。
俺は何とかふんばり、頭部の上でバランスを取った。
「ふうう。あ、危なかった。あのまま海に投げ出されたら死んでたよ」
鎧を着たままでは溺れ死んだだろう。
それに俺は山育ちのため泳げない。
「で、でかい!」
全長は四十メデルトもある。
首だけで二十メデルトだ。
身体は十メデルトで、尻尾の長さも十メデルト。
首と同じように全身の鱗の色は薄群青色で、腹などの内側は白色だ。
四本の手足は巨大なヒレのようになっている。
俺はこれほどの巨体の生物を初めて見た。
「ギャオォォウゥゥゥゥ!」
その超巨体が叫びながら、海面から五十メデルト近くも飛び上がっている。
どれほどの勢いをつけて海中を泳いだのか。
もし海面に浮く船だったら、あの体当たりでどんな船であろうと木っ端微塵になるだろう。
空を飛ぶ旅する宮殿も無事では済まない。
巨体故に、動きがゆっくりに見えるルシウス。
そのまま落下し、爆音を轟かせ着水。
着水時も大量の海水を巻き上げ、巨大な波を発生させた。
もしあのまま近くにいたら、俺たちは大波に飲み込まれていたはずだ。
「あ、危なかった。ヴァルディありがとう」
ヴァルディはあの攻撃を知っていたようだ。
少し遅れて巨大な波が俺たちを襲ってきたが、ヴァルディは華麗にジャンプして難なく大波を避ける。
ルシウスの攻撃は水の槍、水中からの突撃と空中ジャンプ、巨大な波、そしてあの恐ろしい歯による噛みつきだろう。
徐々に分かってきた。
「皆いいぞ! しっかりと情報収集できている!」
ヴァルディは着水すると同時に走り出し、再度ルシウスへ接近。
エルウッドが雷の道を放つ。
吸い込まれるようにルシウスの角に直撃する。
「ギャオォォォォ!」
ヴァルディがもう一度ジャンプすると、エルウッドが超特大の雷の道を海面に放出。
水は雷を通す。
俺たちが空中にいる間に、ルシウスは全身で雷の道を喰らった。
空気が破裂するかのような爆発音と共に、ルシウスの身体から黒煙が立ち上り、焦げ臭さが広がる。
「ギャオオオオォォォォ!」
絶叫するルシウス。
動きが一気に弱まった。
これでフルパワーの雷の道を三発放ったエルウッド。
以前よりも確実に力を増しているのは間違いない。
「エルウッド、雷の道はもう空じゃないのか?」
「クウゥゥン」
「休んでてくれ」
雷の道を使い切ったようだ。
だが、おかげでルシウスの動きは鈍っている。
「ヴァルディ! 俺をルシウスの頭部へ運んでくれ!」
ヴァルディは着水すると、海面を蹴りルシウスの頭上へ大きくジャンプ。
俺は紅竜の剣を抜く。
そして、眼下に見えるルシウスの頭部めがけて飛び降りた。
落下の勢いを保ったまま、ルシウスの額に剣を突き刺す。
「ギャオオオオォォ!」
「よし! 通るぞ!」
致命傷とまではいかないが、鎧のような鱗を突き通した。
今までの剣だったら、竜種に傷をつけることは難しかっただろう。
だが、紅竜の剣はこの世で最も硬いヴェルギウスの素材だ。
その硬度は最高硬度の十を超える。
ルシウスに紅竜の剣で攻撃ができることを確認した俺は、とどめを刺そうと剣を振りかぶる。
しかし、額に傷を負ったルシウスは、絶叫しながら首を大きく振り、海へ潜る動作を見せた。
俺はすぐに頭部からジャンプし離脱。
海面に落ちる寸前で、ヴァルディが俺を拾ってくれた。
「ヴァルディ! 助かった、ありがとう!」
ルシウスが一旦海へ潜った。
あのまま海水に潜られたら、俺は為す術なく死んでいただろう。
「ヴァルディ! 奴が顔を出したらもう一回だ!」
「ヒヒィィン!」
ルシウスは首を出すと同時に、これまでで最も強烈な水の槍を吐いた。
海中から俺たちを確実に狙っていたようだ。
だが、ヴァルディは華麗に回避し、ルシウスの顔に近付く。
ヴァルディの動きは凄まじい。
どう考えても、今回初めてルシウスと戦うとは思えない。
過去にルシウスと戦ったことがあるような印象だ。
その証拠に、どの攻撃も完全に見切っている。
「ヴァルディ! 行くぞ!」
俺はヴァルディの背から、剣を振り上げながら上空に大きくジャンプ。
ルシウスの額に向かって力一杯振り下ろす。
鱗を砕き、額にめり込む紅竜の剣。
だがまだ頭蓋骨には届かない。
「ギャオォォォォォォ!」
絶叫するルシウスは、首を左右に大きく動かし俺を振り落とす。
「くそ!」
落下した俺は、海面ギリギリでルシウスの首を蹴り宙に舞う。
空中でヴァルディが俺を受け止めてくれた。
「ありがとうヴァルディ! もう一回だ!」
ヴァルディが海面を蹴りジャンプ。
俺はもう一度ルシウスの頭部へ飛び移る。
「これで! 終わりだぁぁ!」
俺は紅竜の剣を大きく振りかぶり、まるで鉱石を採掘するかのようにルシウスの頭部めがけて振り下ろした。
頭部の強固な鱗を斬り裂き、返り血を浴びながら頭蓋骨を砕く。
巨大な脳を抉る渾身の攻撃だ。
「ギギャッ」
短く小さく叫んだルシウス。
脳を斬ったことで、身体が瞬間的に大きく動く。
そして、黄金に輝く瞳孔から、瞬く間に生きる光が消えた。
「やったぞ!」
喜びも束の間、力を失った巨大な頭部が海面に崩れ落ちていく。
俺は紅竜の剣を頭部に突き刺し、そのまま剣に掴まり衝撃に備えた。
爆音と激しい水飛沫を上げて、激しく海面に打ちつけられたルシウスの頭部。
俺は何とかふんばり、頭部の上でバランスを取った。
「ふうう。あ、危なかった。あのまま海に投げ出されたら死んでたよ」
鎧を着たままでは溺れ死んだだろう。
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