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第十六章
第270話 建国宣言
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会議の翌日、ついに俺たちラルシュ王国は、各国に向けて建国を宣言した。
正式な国際書類に国璽を押印し、世界会議参加国家に向けて発送。
最重要書類ではあるが陸路では時間がかかるため、連絡用に飼育されたBランクモンスター大鋭爪鷹で送るのが通例だ。
だが今後は、飛空船の登場で変わっていくだろう。
――
二週間後には各国からの返信が届いた。
どの国も祝辞の言葉と、建国可否は世界会議の結果に従うという内容だ。
さらに二週間が経過。
支度をして事務所へ向かうとシドが興奮していた。
「アル、臨時世界会議開催が決まったぞ!」
「そうか! ついに……」
エマレパ皇国から臨時世界会議開催決定の通知が届いたそうだ。
二年に一度の開催される世界会議の開催地と議長は、参加国でローテーションしている。
前回の担当はイーセ王国だった。
現在はエマレパ皇国だ。
世界会議は通常開催と臨時開催の二種類があり、臨時開催は一カ国の提議に対し、二ヶ国の同意で開催可能となる。
今回はイーセ王国、フォルド帝国、エマレパ皇国の三ヶ国から同時提議という珍しいもので、即座に臨時開催が決まった。
開催場所はエマレパ皇国。
議長のキルス皇帝陛下が、臨時の世界会議開催を宣言した。
開催日は三ヶ月後とまだ先だが、移動には少なくとも一ヶ月以上かかる。
最も遠い国は二ヶ月弱かかるだろう。
「シド、開催は三ヶ月後でしょ?」
「そうだ」
「アフラからエマレパ皇国への移動は四十日くらいだよね。いつ出発するんだ?」
「今回は飛空船のお披露目もするからな。少し早めにエマレパ皇国へ入りたい。予期せぬことが起こるかもしれんから……。そうだな、余裕を持って十日ほど前に出発でいいだろう」
「え! 余裕を持って十日?」
「そうだ。計算上は二日もかからんからな。ハッハッハ」
「ほ、本当に凄いな」
「ああ。二千年生きてきた私でも、飛空船は二番目に大きな出来事だ。これほどの技術の進化はなかったぞ。まさに産業革命と言っていいだろう」
シドが生きてきた中でも、非常に大きな出来事だと言う。
それもそうだ。
人類が空を飛んで移動するのだから。
だが、それでも二番目なのが気になった。
「飛空船でも二番目なのか。じゃあ一番目は何だったんだ?」
「一番目? ハッハッハ、それは君の存在だよ」
「は? 俺?」
俺が反論しようとすると、キッチンから声が聞こえた。
「フフ、私もそう思います。アルの誕生は人類にとって奇跡でした」
オルフェリアだ。
「本当にそうね。あなたの存在は人類にとって希望よ。もちろん私にとってもね。ふふふ」
レイも一緒だった。
「な、なんだよ!」
「ウォンウォン!」
「エ、エルウッドまで!」
皆に笑われながら朝食を取った。
――
翌日、俺はレイとエルウッドと一緒に、飛空船を見学するため工場へ足を運んだ。
以前の会議で、トーマス工房はラルシュ工業と名前を変更。
ラルシュ工業は、三つの部門に別れている。
現時点で最大の収益を上げているのが家具部門。
リクライニングチェアを筆頭に、折りたたみの家具シリーズは世界中で売れている。
そして、小屋や風呂などの組み立てシリーズも人気だ。
続いて寝台荷車部門。
冒険者が解体師や運び屋と一緒にクエストへ行くようになったことで、注文が入るようになった。
そこでトーマス兄弟が、量産型のキャラバンを開発。
現在は隊商にも売れている。
さらにオーダーメイドのキャラバンも受注。
王族や貴族から注文が入り、イーセ王国国王の正式な移動用の乗り物としても採用されていた。
そして、飛空船部門だ。
飛空船が主流になれば、この部門は爆発的な売上を誇ることになるだろう。
トーマス工房には元々二十人の職人がいたが、さすがに人数が少ないという意見が出た。
だが、飛空船の技術は極秘だ。
陸の孤島アフラで情報が漏れることはないと思うが、スパイが紛れ込む可能性がある。
これにはシドも頭を悩ませていた。
実はヴェルギウスの討伐直後から、アフラに駐留していたクロトエ騎士団の一部の騎士たちが、トーマス工房で働きたいと退団を希望。
ヴェルギウスのことで精神的に追い込まれた隊員もいた。
それほど襲撃されたサルガの街は悲惨だった。
それを十分理解しているレイとジルは、隊員に最大限配慮。
退団ではなく休団扱いとし、半年間トーマス工房で働いた上で決断できるように取り決めた。
その結果、八十人もの騎士がトーマス工房へ就職を希望。
彼らも新国家の国民となる。
現在のラルシュ工業は百人の従業員がいる。
元いた職人以外、全員元騎士という異例の会社となったラルシュ工業。
中には小隊長クラスもいるほどだ。
そのため、世界で一番強い会社という意味不明な称号を得ていた。
「久しぶりに来たけど、凄いことになってるな」
「ええ、驚いたわね」
広大な敷地内には、巨大な建物を筆頭にいくつもの建造物が建築されていた。
「ウォン! ウォンウォン!」
エルウッドが俺たちに向かって自慢げな表情を向けている。
「エルウッドは毎日ここで働いていたと自慢してるぞ」
「シド!」
背後から聞こえる声。
振り返ると、作業服を着たシドとマルコが歩いてきた。
「アルさん、レイ様。おはようございます」
「ねえマルコ、レイ様ってやめてよ」
「無理です」
「なんでよ!」
「今後は国王陛下と女王陛下になられるのです。ですから、アルさんもアル様と呼ばせていただきます」
レイは分かる。
でも俺とマルコの関係性は違う。
「ちょっとマルコ! それは嫌だ! 何度も一緒にクエストへ行った仲じゃないか! 俺たちは生死を共にした間柄なんだよ!」
「お言葉ですが、アル様のクエストで危険を感じたことはございません。ダメなものはダメです!」
マルコの表情は真剣だ。
「ハッハッハ、マルコは本当に真面目だからな。諦めろ。まあ君たちの敬称は相応なものになるから覚悟しておくがよい」
「相応って?」
「陛下だろ? アル陛下」
「ああ、それが一番嫌だ」
「諦めろ。さあマルコ。陛下に説明して差し上げるのだ」
シドが意地の悪い表情を浮かべていた。
正式な国際書類に国璽を押印し、世界会議参加国家に向けて発送。
最重要書類ではあるが陸路では時間がかかるため、連絡用に飼育されたBランクモンスター大鋭爪鷹で送るのが通例だ。
だが今後は、飛空船の登場で変わっていくだろう。
――
二週間後には各国からの返信が届いた。
どの国も祝辞の言葉と、建国可否は世界会議の結果に従うという内容だ。
さらに二週間が経過。
支度をして事務所へ向かうとシドが興奮していた。
「アル、臨時世界会議開催が決まったぞ!」
「そうか! ついに……」
エマレパ皇国から臨時世界会議開催決定の通知が届いたそうだ。
二年に一度の開催される世界会議の開催地と議長は、参加国でローテーションしている。
前回の担当はイーセ王国だった。
現在はエマレパ皇国だ。
世界会議は通常開催と臨時開催の二種類があり、臨時開催は一カ国の提議に対し、二ヶ国の同意で開催可能となる。
今回はイーセ王国、フォルド帝国、エマレパ皇国の三ヶ国から同時提議という珍しいもので、即座に臨時開催が決まった。
開催場所はエマレパ皇国。
議長のキルス皇帝陛下が、臨時の世界会議開催を宣言した。
開催日は三ヶ月後とまだ先だが、移動には少なくとも一ヶ月以上かかる。
最も遠い国は二ヶ月弱かかるだろう。
「シド、開催は三ヶ月後でしょ?」
「そうだ」
「アフラからエマレパ皇国への移動は四十日くらいだよね。いつ出発するんだ?」
「今回は飛空船のお披露目もするからな。少し早めにエマレパ皇国へ入りたい。予期せぬことが起こるかもしれんから……。そうだな、余裕を持って十日ほど前に出発でいいだろう」
「え! 余裕を持って十日?」
「そうだ。計算上は二日もかからんからな。ハッハッハ」
「ほ、本当に凄いな」
「ああ。二千年生きてきた私でも、飛空船は二番目に大きな出来事だ。これほどの技術の進化はなかったぞ。まさに産業革命と言っていいだろう」
シドが生きてきた中でも、非常に大きな出来事だと言う。
それもそうだ。
人類が空を飛んで移動するのだから。
だが、それでも二番目なのが気になった。
「飛空船でも二番目なのか。じゃあ一番目は何だったんだ?」
「一番目? ハッハッハ、それは君の存在だよ」
「は? 俺?」
俺が反論しようとすると、キッチンから声が聞こえた。
「フフ、私もそう思います。アルの誕生は人類にとって奇跡でした」
オルフェリアだ。
「本当にそうね。あなたの存在は人類にとって希望よ。もちろん私にとってもね。ふふふ」
レイも一緒だった。
「な、なんだよ!」
「ウォンウォン!」
「エ、エルウッドまで!」
皆に笑われながら朝食を取った。
――
翌日、俺はレイとエルウッドと一緒に、飛空船を見学するため工場へ足を運んだ。
以前の会議で、トーマス工房はラルシュ工業と名前を変更。
ラルシュ工業は、三つの部門に別れている。
現時点で最大の収益を上げているのが家具部門。
リクライニングチェアを筆頭に、折りたたみの家具シリーズは世界中で売れている。
そして、小屋や風呂などの組み立てシリーズも人気だ。
続いて寝台荷車部門。
冒険者が解体師や運び屋と一緒にクエストへ行くようになったことで、注文が入るようになった。
そこでトーマス兄弟が、量産型のキャラバンを開発。
現在は隊商にも売れている。
さらにオーダーメイドのキャラバンも受注。
王族や貴族から注文が入り、イーセ王国国王の正式な移動用の乗り物としても採用されていた。
そして、飛空船部門だ。
飛空船が主流になれば、この部門は爆発的な売上を誇ることになるだろう。
トーマス工房には元々二十人の職人がいたが、さすがに人数が少ないという意見が出た。
だが、飛空船の技術は極秘だ。
陸の孤島アフラで情報が漏れることはないと思うが、スパイが紛れ込む可能性がある。
これにはシドも頭を悩ませていた。
実はヴェルギウスの討伐直後から、アフラに駐留していたクロトエ騎士団の一部の騎士たちが、トーマス工房で働きたいと退団を希望。
ヴェルギウスのことで精神的に追い込まれた隊員もいた。
それほど襲撃されたサルガの街は悲惨だった。
それを十分理解しているレイとジルは、隊員に最大限配慮。
退団ではなく休団扱いとし、半年間トーマス工房で働いた上で決断できるように取り決めた。
その結果、八十人もの騎士がトーマス工房へ就職を希望。
彼らも新国家の国民となる。
現在のラルシュ工業は百人の従業員がいる。
元いた職人以外、全員元騎士という異例の会社となったラルシュ工業。
中には小隊長クラスもいるほどだ。
そのため、世界で一番強い会社という意味不明な称号を得ていた。
「久しぶりに来たけど、凄いことになってるな」
「ええ、驚いたわね」
広大な敷地内には、巨大な建物を筆頭にいくつもの建造物が建築されていた。
「ウォン! ウォンウォン!」
エルウッドが俺たちに向かって自慢げな表情を向けている。
「エルウッドは毎日ここで働いていたと自慢してるぞ」
「シド!」
背後から聞こえる声。
振り返ると、作業服を着たシドとマルコが歩いてきた。
「アルさん、レイ様。おはようございます」
「ねえマルコ、レイ様ってやめてよ」
「無理です」
「なんでよ!」
「今後は国王陛下と女王陛下になられるのです。ですから、アルさんもアル様と呼ばせていただきます」
レイは分かる。
でも俺とマルコの関係性は違う。
「ちょっとマルコ! それは嫌だ! 何度も一緒にクエストへ行った仲じゃないか! 俺たちは生死を共にした間柄なんだよ!」
「お言葉ですが、アル様のクエストで危険を感じたことはございません。ダメなものはダメです!」
マルコの表情は真剣だ。
「ハッハッハ、マルコは本当に真面目だからな。諦めろ。まあ君たちの敬称は相応なものになるから覚悟しておくがよい」
「相応って?」
「陛下だろ? アル陛下」
「ああ、それが一番嫌だ」
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