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第十二章
第201話 作戦決行の日
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「アル、おはよう」
俺は美しい声で目を覚ます。
「……レイ、おはよう。早いね」
窓の外はまだ暗い。
レイが淹れてくれた珈琲カップを受け取ると、レイはベッドに腰掛けた。
「だって今日は作戦決行の日ですもの。アル一人に負担をかけるから、他にできることをやろうと思ってね」
「ありがとう。でもレイだって一緒に戦うんだよ?」
「もちろんそうだけど、ヴェルギウスを誘き出すことが最も危険な作業だもの」
「アハハ、大丈夫さ。だって登山と下山は俺の専門だよ」
「そうね。ふふふ」
レイが唇を重ねる。
「さ、朝食を食べなさい」
リビングには朝食が用意してあった。
――
ついにヴェルギウス討伐の決行日となった。
まずは俺がアフラ火山に登り、ヴェルギウスを誘い出す作戦だ。
準備を済ませ街の外れまで行くと、日の出前にもかかわらず、皆が会いに来てくれた。
「皆行ってくるよ。一気に山を登り、ヴェルギウスを誘い出す。正午には街へ到着すると思う。避難はしっかりしてくれよ」
ジルが俺の前に立つ。
「アルさん。騎士団は戦闘区域から離れ、決して邪魔にならぬよう行動しますのでご安心ください」
「ありがとうございます!」
続いてトーマス兄弟の兄マルコ。
「トーマス工房はリマ隊長と行動を供にします。全員覚悟を決めてます」
リマがトーマス兄弟の後ろで、腕を組みながらこちらを見ていた。
「アル君、トーマス工房のことは任せてくれ!」
「ありがとうリマ。マルコさんとアガスさん、そして職人たちをよろしく頼むよ」
そして、建国チームのユリアが前に出た。
美しい黒髪をかきあげ、俺の両肩に手を置く。
「アル、あなたは私たちの国王になるのよ。忘れないでね」
「ああ、もちろんだユリア。無事に戻って来るし、新しい国のため絶対に討伐する」
長い白髭を触りながらジョージが前に立つ。
「アルよ。竜種討伐なんて人類史上初の快挙じゃ。期待しておるぞ」
「俺は討伐後にジョージが興奮して倒れないか心配だよ。アハハ」
続いてローザだ。
俺の両頬をつねるように掴むローザ。
飼い猫5匹は、エルウッドの背中に飛び乗った。
「アルよ。ヴェルギウスを討伐したら、お前のために剣を作るんだからな。待ってるぞ」
「むぐぐ。わがっでるよ。あはは、世界最高の剣を楽しみにしてるよ」
オルフェリアが俺に抱きついてきた。
鎧越しにもオルフェリアの温もりが伝わる。
「アル、本当に気をつけください。私たちの旅はこれからなのですから」
「もちろんだ、オルフェリア。俺たちの夢がついに叶う時が来たんだ。絶対に討伐するよ」
俺はオルフェリアを強く抱きしめた。
オルフェリアの身体は少し震えている。
「オルフェリアよ。アルだぞ。大丈夫に決まっているだろう」
「フフ、そうでしたね」
オルフェリアが震えていることをシドも見抜いていたようだ。
さすがは夫婦。
シドが横に立ち、俺とオルフェリアの肩に手を乗せた。
「アルよ、標高四千五百メデルトから全速力で戻って来て、そのままヴェルギウスとの戦いだ。常人には無理だが君ならできる」
「もちろんだ親友。戻ってきたらすぐに戦いだからな。シドこそ巻き込まれないように気をつけてよ?」
「なっ! 大丈夫に決まっておろう!」
オルフェリアが笑っていた。
最後にレイとエルウッドが俺の前に立つ。
「アル、信じてる」
「ウォンウォン!」
俺はかがんでエルウッドの頭を撫でる。
「レイ、エルウッド。これまでで最も激しい戦いになる。でも、二人がいると安心できるよ」
「ふふふ、私もよ。全力を尽くすわ」
「ウォン!」
立ち上がり、レイの瞳を見つめる。
吸い込まれそうな紺碧色の瞳。
それはまるで、星のかけらを集めたと言われている蒼星石のようだ。
「レイ、約束は忘れてないよ。全てが終わったら……待っててくれ」
「嬉しい」
少しの間、レイと見つめ合った。
「じゃあ行ってくる。ここからが本当の勝負だ。俺は全てを出し尽くして戦う。皆もそのつもりで」
俺は全員に言葉をかけ、アフラ火山へ出発した。
――
いくら俺の心肺機能と体力でも、標高四千五百メデルトまで登山し、ヴェルギウスを引きつけながら全力で下山しヴェルギウス戦は厳しい。
可能な限り体力は温存したい。
そのため、少しペースを押え気味で登る。
それでも通常の登山のペースからみれば相当速いだろう。
地図を片手に、先週通った道を突き進む。
標高千メデルト付近まで来た。
そろそろ日の出の時間だ。
東の地平線から日が昇る。
アフラ火山の北東には、俺の故郷フラル山があるはずだ。
フラル山は世界で最も高い山だが、千キデルトも離れているとその姿は見えない。
俺は日の出の瞬間だけ足を止め、地平線を見つめていた。
山の上から日の出なんて何千回と見ているが、何度見ても感動する。
自然が見せてくれる最高のショーだ。
「よし、行くか」
日の出を迎え、再度山を登る。
――
標高四千メデルトまで来た。
ここで一旦休憩だ。
太陽はまだ頭上に程遠い。
このまま行けば、街に戻るのが予定より早くなるかもしれない。
もちろんヴェルギウスの動向次第だが。
俺は今回、武器を一切持っていない。
少しでも身軽になりたかったからだ。
「ふう、ちょっとペースが早いかな」
腰くらいまである大きさの岩に座り、リュックから水筒を出し喉を潤す。
そして携帯食料を口にする。
オルフェリアが作ってくれた甘いビスケットだ。
「あと五百メデルトほどか。もうすぐだぞ。どうするか」
少し長めの休憩を取ろうか悩むところだ。
すると突然霧が出てきた。
「この霧……。ま、まさか始祖か」
予想通り百メデルトほど先に、炎のような毛並みの黒風馬が佇んでいた。
こちらを見ている。
「火の神……」
始祖にかまっている時間はないし、武器もない今の状況では戦うことすらできない。
そもそも始祖と戦って無事に済むわけがないだろう。
ヴェルギウスの討伐作戦に支障が出るどころか、死ぬ可能性もある。
俺は先を急ぐことにした。
俺は美しい声で目を覚ます。
「……レイ、おはよう。早いね」
窓の外はまだ暗い。
レイが淹れてくれた珈琲カップを受け取ると、レイはベッドに腰掛けた。
「だって今日は作戦決行の日ですもの。アル一人に負担をかけるから、他にできることをやろうと思ってね」
「ありがとう。でもレイだって一緒に戦うんだよ?」
「もちろんそうだけど、ヴェルギウスを誘き出すことが最も危険な作業だもの」
「アハハ、大丈夫さ。だって登山と下山は俺の専門だよ」
「そうね。ふふふ」
レイが唇を重ねる。
「さ、朝食を食べなさい」
リビングには朝食が用意してあった。
――
ついにヴェルギウス討伐の決行日となった。
まずは俺がアフラ火山に登り、ヴェルギウスを誘い出す作戦だ。
準備を済ませ街の外れまで行くと、日の出前にもかかわらず、皆が会いに来てくれた。
「皆行ってくるよ。一気に山を登り、ヴェルギウスを誘い出す。正午には街へ到着すると思う。避難はしっかりしてくれよ」
ジルが俺の前に立つ。
「アルさん。騎士団は戦闘区域から離れ、決して邪魔にならぬよう行動しますのでご安心ください」
「ありがとうございます!」
続いてトーマス兄弟の兄マルコ。
「トーマス工房はリマ隊長と行動を供にします。全員覚悟を決めてます」
リマがトーマス兄弟の後ろで、腕を組みながらこちらを見ていた。
「アル君、トーマス工房のことは任せてくれ!」
「ありがとうリマ。マルコさんとアガスさん、そして職人たちをよろしく頼むよ」
そして、建国チームのユリアが前に出た。
美しい黒髪をかきあげ、俺の両肩に手を置く。
「アル、あなたは私たちの国王になるのよ。忘れないでね」
「ああ、もちろんだユリア。無事に戻って来るし、新しい国のため絶対に討伐する」
長い白髭を触りながらジョージが前に立つ。
「アルよ。竜種討伐なんて人類史上初の快挙じゃ。期待しておるぞ」
「俺は討伐後にジョージが興奮して倒れないか心配だよ。アハハ」
続いてローザだ。
俺の両頬をつねるように掴むローザ。
飼い猫5匹は、エルウッドの背中に飛び乗った。
「アルよ。ヴェルギウスを討伐したら、お前のために剣を作るんだからな。待ってるぞ」
「むぐぐ。わがっでるよ。あはは、世界最高の剣を楽しみにしてるよ」
オルフェリアが俺に抱きついてきた。
鎧越しにもオルフェリアの温もりが伝わる。
「アル、本当に気をつけください。私たちの旅はこれからなのですから」
「もちろんだ、オルフェリア。俺たちの夢がついに叶う時が来たんだ。絶対に討伐するよ」
俺はオルフェリアを強く抱きしめた。
オルフェリアの身体は少し震えている。
「オルフェリアよ。アルだぞ。大丈夫に決まっているだろう」
「フフ、そうでしたね」
オルフェリアが震えていることをシドも見抜いていたようだ。
さすがは夫婦。
シドが横に立ち、俺とオルフェリアの肩に手を乗せた。
「アルよ、標高四千五百メデルトから全速力で戻って来て、そのままヴェルギウスとの戦いだ。常人には無理だが君ならできる」
「もちろんだ親友。戻ってきたらすぐに戦いだからな。シドこそ巻き込まれないように気をつけてよ?」
「なっ! 大丈夫に決まっておろう!」
オルフェリアが笑っていた。
最後にレイとエルウッドが俺の前に立つ。
「アル、信じてる」
「ウォンウォン!」
俺はかがんでエルウッドの頭を撫でる。
「レイ、エルウッド。これまでで最も激しい戦いになる。でも、二人がいると安心できるよ」
「ふふふ、私もよ。全力を尽くすわ」
「ウォン!」
立ち上がり、レイの瞳を見つめる。
吸い込まれそうな紺碧色の瞳。
それはまるで、星のかけらを集めたと言われている蒼星石のようだ。
「レイ、約束は忘れてないよ。全てが終わったら……待っててくれ」
「嬉しい」
少しの間、レイと見つめ合った。
「じゃあ行ってくる。ここからが本当の勝負だ。俺は全てを出し尽くして戦う。皆もそのつもりで」
俺は全員に言葉をかけ、アフラ火山へ出発した。
――
いくら俺の心肺機能と体力でも、標高四千五百メデルトまで登山し、ヴェルギウスを引きつけながら全力で下山しヴェルギウス戦は厳しい。
可能な限り体力は温存したい。
そのため、少しペースを押え気味で登る。
それでも通常の登山のペースからみれば相当速いだろう。
地図を片手に、先週通った道を突き進む。
標高千メデルト付近まで来た。
そろそろ日の出の時間だ。
東の地平線から日が昇る。
アフラ火山の北東には、俺の故郷フラル山があるはずだ。
フラル山は世界で最も高い山だが、千キデルトも離れているとその姿は見えない。
俺は日の出の瞬間だけ足を止め、地平線を見つめていた。
山の上から日の出なんて何千回と見ているが、何度見ても感動する。
自然が見せてくれる最高のショーだ。
「よし、行くか」
日の出を迎え、再度山を登る。
――
標高四千メデルトまで来た。
ここで一旦休憩だ。
太陽はまだ頭上に程遠い。
このまま行けば、街に戻るのが予定より早くなるかもしれない。
もちろんヴェルギウスの動向次第だが。
俺は今回、武器を一切持っていない。
少しでも身軽になりたかったからだ。
「ふう、ちょっとペースが早いかな」
腰くらいまである大きさの岩に座り、リュックから水筒を出し喉を潤す。
そして携帯食料を口にする。
オルフェリアが作ってくれた甘いビスケットだ。
「あと五百メデルトほどか。もうすぐだぞ。どうするか」
少し長めの休憩を取ろうか悩むところだ。
すると突然霧が出てきた。
「この霧……。ま、まさか始祖か」
予想通り百メデルトほど先に、炎のような毛並みの黒風馬が佇んでいた。
こちらを見ている。
「火の神……」
始祖にかまっている時間はないし、武器もない今の状況では戦うことすらできない。
そもそも始祖と戦って無事に済むわけがないだろう。
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