158 / 414
幕間
設定資料集・九章
しおりを挟む
【人物紹介】
アル・パート
年齢 二十歳
性別 男
職業 Sランク冒険者
武器 黒爪の剣
防具 黒靭鎧
素材 ネームド二頭分(硬度九)
世界一高い標高九千メデルトのフラル山で鉱夫をしていた素朴な青年。
高難易度のクエストも容易にクリアするため、冒険者となって一年足らずで世界最高の冒険者と呼ばれるようになった。
エルウッドと紫雷石が放つ雷の道影響で、心臓の鼓動が著しく遅くなっていたことが判明。
異常な心肺機能を持ち、人が生息できない高山でも活動可能。
尋常ではない筋力は、雷の道の影響が大きく、さらにこれまでの鉱夫による作業と常軌を逸したトレーニングの成果だった。
そのため人智を超えた肉体を持つ。
また寿命も常人より伸びている。
冒険者ギルドでは、アルのエピソードとして語られる伝説がいくつも生まれた。
超絶難易度の冒険者試験を二年連続で満点獲得。
二週間の間にネームド二頭をたった一人で討伐。
ネームド討伐が非常識過ぎて、三ヶ月のクエスト禁止令を受ける。
一度も討伐試験を受験することなくAランク取得。
アルのためにSランク創設。
まだまだ伝説は山程ある。
そんなアルも実は虫が苦手。
――
討伐スコア
ネームド
ダーク・ゼム・イクリプス(槍豹獣)
ウォール・エレ・シャット(岩食竜)
Aランク
槍豹獣
王鰐
鉤爪鷲竜
Bランク
霧大蝮
大牙猛象
大挟甲蟹 5匹
Cランク
赤頭熊
腐食獣竜 十頭
砂潜竜 三頭
猛火犖
光蟷螂蟲 二百匹
Dランク
毒甲百足
生涯獲得報酬:金貨四千六百二枚
◇◇◇
レイ・ステラー
年齢 二十三歳
性別 女
職業 Sランク冒険者
イーセ王国クロトエ騎士団名誉団長
武器 星爪の剣
防具 碧靭鎧
素材 ネームド二頭分(硬度九)
武力も知力も卓説した能力を持つ、世界的に有名な冒険者。
また、イーセ王国クロトエ騎士団名誉団長でもある。
あまりにも美しい外見から数々の男につきまとわれ、貴族や王族からも求愛されるため傾国の美女と言われる。
求婚された数は世界一と揶揄される絶世の美女。
神速という二つ名で知られている。
得意技は電光石火の三段突き。
アルと並んで、ネームド討伐スコアは二頭。
騎士団時代に数々の犯罪組織を潰したことから、裏社会で懸賞金をかけられた。
その金額は驚異の金貨二千枚。
完璧人間に見えるが、暗闇が怖い。
◇◇◇
エルウッド・デル・ザナドゥ
年齢 二千五百歳以上
性別 不明
職業 アルの家族
狼牙の中でも超希少種な銀狼牙という種族で固有名保有特異種。
名前の意味は幻想の雷。
人語を完全に理解する。
銀狼牙は角が生え変わることで成体になるが、エルウッドの角は生え変わっておらず幼体だった。
シドによる業で、強制的に角を生やし成体となった。
現在は角の内部で作った雷の道を放出することができる。
また外気からも雷を吸収する。
現在、種として残っている銀狼牙はエルウッド一頭のみ。
時折、変な踊りをする。
◇◇◇
シド・フロイド・バレー
年齢 二千歳以上
性別 男
職業 Aランク運び屋
元ギルドマスター 及び 冒険者ギルド創設者
約二千年前に、不老不死の石で不老不死となった。
体型はかなり細く、病的なほど白い肌。
ボサボサの白髪でだらしないように見えるものの、整った顔をしている。
見た目は二十代。
本人は正確な年齢を覚えておらず、数えることを諦めた。
そのため、永遠の二千歳だと言っている。
数百年間もの間、世界を旅した経験があり世界中の地形を知っている。
アルのパーティーで運び屋をやりたいがために、Aランクの運び屋カードを取得した。
その際、ギルマスの権力を行使し、技能試験を免除させ学科試験のみでAランクに合格。
世界最古の国、フォルド帝国の国名の由来はシド。
世界最大組織の冒険者ギルドの創設者。
本人曰く、失われた古代文明の王族。
なお、世界に現存する拷問器具は全てシドのために作られ、その全てを受けたという壮絶な過去を持つ。
国家レベルの資産を持つ。
◇◇◇
オルフェリア・コルトレ
年齢 二十六歳
性別 女
職業 Aランク解体師
イーセ王国で活動していた解体師。
ウォール・エレ・シャットの解体のため、冒険者ギルドのフォルド帝国ウグマ支部に招へいされた。
解体師として飛び抜けた技術と知識を持っており、研究機関の依頼で解体学の講師をすることになった。
解体師とは想像できないほど、美しく清楚な容姿をしている。
解体師セミナーを開催すると、一瞬でチケットが売り切れてしまうほどの人気。
冒険者ギルドのウグマ支部ではオルフェリア人気の影響で、冒険者より解体師試験の受験者が多くなったことがある。
新たに導入された解体師のランク制度では、シグ・セブン局長の推薦でいきなり最高のAランクを取得。
オルフェリアの夢は空路を開拓すること。
オルフェリアの夢に共感したアル、レイ、シドの四人で軽い空気を探す旅に出た。
幼少期に両親と死別。
引き取られた先々で虐待を受けていた過去を持つ。
個人で持つことはないとされているモンスター事典を、コネで購入するほどモンスター好き。
◇◇◇
【モンスター紹介】
毒甲百足
階級 Dランク
分類 節足型蟲類
体長約二メデルト。
小型の蟲類モンスター。
体節が二十以上あり、一つの体節に三対の脚が生えている。
その名の通り脚の数が百本以上ある。
黒光りする甲殻には、毒々しい赤いラインが縦長に二本入っている。
脚は鮮やかな黄色。
強靭な顎や無数の足には細かい毒針がついており、獲物に触れると麻痺性の毒を注入する。
毒は即効性があり、麻痺して動けなくなった獲物を生きたままゆっくりと喰らう。
捕獲された獲物の唯一の救いは、毒で痛みを感じないこと。
なお、アロプレラの毒を精製すると麻酔薬になる。
現在の医療では欠かせない薬品となっている。
アロプレラの毒腺は銀貨五枚ほどの価値。
比較的硬い甲殻は安価な鎧に使われ、体節五枚前後で銀貨一枚になる。
Dランクモンスターの中ではトップクラスの高値で取引される。
◇◇◇
猛火犖
階級 Cランク
分類 四肢型獣類
体長約五メデルト。
中型の獣類モンスター。
主に草原に生息する草食の四足歩行モンスター。
四本の足には大きな蹄がある。
赤茶色の毛皮で、燃えるようなまだら模様が特徴。
頭部には三日月型の大角が一本生えており、左右に大きく広がっている。
モンスター食がある文化圏では人気食材の一つ。
濃厚で旨味が凝縮された赤身肉は、脂身が少なくサッパリしている。
大角は高級弓の素材として人気。
毛皮は個体ごとに模様が異なり、高級衣類、家具類、カーペットなどに使用される。
食材や素材として重宝されるため、狩猟や密猟が激しい。
だが、バルファの突進攻撃は大木をもなぎ倒す威力を持つ上に、大角による突き刺しも相まって多くの犠牲者が出ている。
なお、直線的な突進は非常に迫力があり、闘技場で人気がある。
比較的温厚な性格をしている。
しかし、太古より人類に捕獲されていることから、人間を見ると豹変し激昂する一面を持つ。
そのため、イーセ語では怒り狂うことを猛火の如くと形容する。
◇◇◇
光蟷螂蟲
階級 Cランク
分類 節足型蟲類
体長約三メデルト。
大型の蟲類モンスター。
節を持つ六本の足、鋭い鎌のような二本の前足を持つ。
背には四枚の羽を折りたたんでおり、中距離の飛行が可能。
昼夜問わず活動する。
獰猛な肉食で、昼は動物や小型モンスターを襲う。
鎌状の前足で獲物を仕留め、そのまま鎌で挟み、強力な顎で喰いちぎっていく。
頭部には三十セデルトほどの半球状の突起物があり、ぼんやりと白く光る。
夜はこの光に集まってくる虫や小型動物を捕食する。
最大の特徴は、頭部の半分を占める大きな四つの目。
同時に四つの眼球は使用できず、二つずつ昼用と夜用で交互に使用する。
コロニーと呼ばれる巨大な巣を作り、集団で生活する。
巨大コロニーになると数万匹が繁殖し、小さな街なら壊滅させるほどの驚異となる。
アンティマントの鎌は、農作業の道具として使われる。
比較的安価なため人気が高い。
◇◇◇
鉤爪鷲竜
階級 Aランク
分類 竜骨型翼類
体長約五メデルト。
二枚の巨大な翼を持ち、翼を広げると十メデルト以上にもなる大型の翼類モンスター。
四肢型鳥類に見えるが、れっきとした竜骨型翼類。
二本の太い足の先には三本の大きく鋭い鉤爪、踵には一本の大きな鉤爪を備えている。
大きく湾曲したクチバシは先端が鋭く、強固なモンスターの甲殻も貫く。
上空から獲物を狙い、鉤爪で獲物を捕獲する。
人間や動物はもちろん、大型のモンスターですら簡単に捕獲し空中へ連れ去る。
竜骨型翼類では頂点の存在。
空の王と呼ばれる。
生息地は南の海を超えたモンスターが生息する島と言われており、この大陸で目撃例は少ない。
首から上は純白の羽毛に覆われ、胴体や羽は美しい群青色、腹部から尾羽は頭部と同じ白色。
巨大なクチバシと二本の足は鮮やかな黄色、鉤爪は艶がある黒色をしている。
美しい羽は王族や貴族、上級商人の高級服飾などに使われる。
また、扇やペンとしても用いられ、非常に高値で取引される。
◇◇◇
【用語集】
固有名保有特異種
種族の中から極稀に産まれる特別な能力を持った個体や、特殊に進化した個体を指す。
街や国に厄災をもたらすほどの存在であり、あまりの危険性から個別に名前がつけられ注視されている。
その存在は世界でも非常に少ない。
現在のネームドリストは研究機関によって管理され、新たなネームドもシグ・セブンが認定する。
ネームドリストはシドが改ざんした痕跡が多数ある。
その一つとして、エルウッドはネームドリストから抹消された。
◇◇◇
竜種
生物の頂点とされるモンスター。
現在、竜種は三十一体確認されている。
その存在は自然災害と同じと言われているが詳細は不明。
なぜなら遭遇するとほぼ死亡するため。
シドも殺されたことがある。
◇◇◇
始祖
世界に十三柱いるモンスター。
文明国でモンスターに分類されているが、土地によっては神として崇められている。
竜種と並び、生物の頂点に立つ存在。
◇◇◇
モンスター事典
現在確認されているモンスターを全て網羅している研究機関発行の事典。
国家や都市の図書館、公共機関、研究機関が購入する。
モンスターのイラストは、シグ・セブン局長ジョージ・ウォーターが担当。
カラー版とモノクロ版がある。
カラー版は非常に高価となり、出版数も少ない。
その価格から個人が持つことはないとされているが、解体師のオルフェリア・コルトレがシグ・セブンのコネを使いカラー版を購入した。
アル・パートが異常な速度でモンスターを討伐するため、モンスター研究が五十年進んだと言われている。
しかし、あまりのスピードに事典の改稿が間に合わず、そのため別冊を作成した。
◇◇◇
モンスター図鑑
フォルド帝国で発売された、モンスターのイラストを大量に使用した図鑑。
子供や文字が読めない層に爆発的なヒット。
この本がきっかけで、文字を覚える帝国民が増えたほど。
さらにこの図鑑を読みたいがために文字を勉強する者が増え、帝国の識字率を上げる一因となった。
イーセ王国でも発売の要望があり、現在は翻訳中。
著者は冒険者のアル・パート。
イラストは史上最高の画家と名高いロズ・ディール。
実はロズはアルの隠れファンで、アルがイラストレーターを探していると聞き自ら立候補した。
ロズ・ディールのイラスト集としても価値がある。
◇◇◇
寝台荷車
シドが所有するクエスト移動用の荷車。
シドが設計を行い、トーマス工房で製作。
全長五メデルト、幅三メデルトと荷車の中では中型の部類に入る。
荷台はトーマス兄弟発明の折りたたみ機能で、全長は最大十二メデルトまで拡張可能。
大型モンスターや、複数体のモンスターも運ぶことができる。
キャラバンは先頭部分から御者席、座席兼寝台、荷台と三つのスペースに分かれている。
それぞれのスペースには仕切りの壁と扉があり、走行中でも行き来が可能。
寝台には小さいながらソファーやテーブル完備。
ベッドは折りたたみの二段式で、最大四人が同時に就寝可能。
車輪の連結部分には、シドが開発した緩衝装置が装着されている。
緩衝装置は路面の衝撃を吸収する役割を持つため、悪路でも快適に過ごすことができる。
荷台では組み立て式のキッチンや風呂を使用することが可能。
もはや動く家と言える。
◇◇◇
アル・パート
年齢 二十歳
性別 男
職業 Sランク冒険者
武器 黒爪の剣
防具 黒靭鎧
素材 ネームド二頭分(硬度九)
世界一高い標高九千メデルトのフラル山で鉱夫をしていた素朴な青年。
高難易度のクエストも容易にクリアするため、冒険者となって一年足らずで世界最高の冒険者と呼ばれるようになった。
エルウッドと紫雷石が放つ雷の道影響で、心臓の鼓動が著しく遅くなっていたことが判明。
異常な心肺機能を持ち、人が生息できない高山でも活動可能。
尋常ではない筋力は、雷の道の影響が大きく、さらにこれまでの鉱夫による作業と常軌を逸したトレーニングの成果だった。
そのため人智を超えた肉体を持つ。
また寿命も常人より伸びている。
冒険者ギルドでは、アルのエピソードとして語られる伝説がいくつも生まれた。
超絶難易度の冒険者試験を二年連続で満点獲得。
二週間の間にネームド二頭をたった一人で討伐。
ネームド討伐が非常識過ぎて、三ヶ月のクエスト禁止令を受ける。
一度も討伐試験を受験することなくAランク取得。
アルのためにSランク創設。
まだまだ伝説は山程ある。
そんなアルも実は虫が苦手。
――
討伐スコア
ネームド
ダーク・ゼム・イクリプス(槍豹獣)
ウォール・エレ・シャット(岩食竜)
Aランク
槍豹獣
王鰐
鉤爪鷲竜
Bランク
霧大蝮
大牙猛象
大挟甲蟹 5匹
Cランク
赤頭熊
腐食獣竜 十頭
砂潜竜 三頭
猛火犖
光蟷螂蟲 二百匹
Dランク
毒甲百足
生涯獲得報酬:金貨四千六百二枚
◇◇◇
レイ・ステラー
年齢 二十三歳
性別 女
職業 Sランク冒険者
イーセ王国クロトエ騎士団名誉団長
武器 星爪の剣
防具 碧靭鎧
素材 ネームド二頭分(硬度九)
武力も知力も卓説した能力を持つ、世界的に有名な冒険者。
また、イーセ王国クロトエ騎士団名誉団長でもある。
あまりにも美しい外見から数々の男につきまとわれ、貴族や王族からも求愛されるため傾国の美女と言われる。
求婚された数は世界一と揶揄される絶世の美女。
神速という二つ名で知られている。
得意技は電光石火の三段突き。
アルと並んで、ネームド討伐スコアは二頭。
騎士団時代に数々の犯罪組織を潰したことから、裏社会で懸賞金をかけられた。
その金額は驚異の金貨二千枚。
完璧人間に見えるが、暗闇が怖い。
◇◇◇
エルウッド・デル・ザナドゥ
年齢 二千五百歳以上
性別 不明
職業 アルの家族
狼牙の中でも超希少種な銀狼牙という種族で固有名保有特異種。
名前の意味は幻想の雷。
人語を完全に理解する。
銀狼牙は角が生え変わることで成体になるが、エルウッドの角は生え変わっておらず幼体だった。
シドによる業で、強制的に角を生やし成体となった。
現在は角の内部で作った雷の道を放出することができる。
また外気からも雷を吸収する。
現在、種として残っている銀狼牙はエルウッド一頭のみ。
時折、変な踊りをする。
◇◇◇
シド・フロイド・バレー
年齢 二千歳以上
性別 男
職業 Aランク運び屋
元ギルドマスター 及び 冒険者ギルド創設者
約二千年前に、不老不死の石で不老不死となった。
体型はかなり細く、病的なほど白い肌。
ボサボサの白髪でだらしないように見えるものの、整った顔をしている。
見た目は二十代。
本人は正確な年齢を覚えておらず、数えることを諦めた。
そのため、永遠の二千歳だと言っている。
数百年間もの間、世界を旅した経験があり世界中の地形を知っている。
アルのパーティーで運び屋をやりたいがために、Aランクの運び屋カードを取得した。
その際、ギルマスの権力を行使し、技能試験を免除させ学科試験のみでAランクに合格。
世界最古の国、フォルド帝国の国名の由来はシド。
世界最大組織の冒険者ギルドの創設者。
本人曰く、失われた古代文明の王族。
なお、世界に現存する拷問器具は全てシドのために作られ、その全てを受けたという壮絶な過去を持つ。
国家レベルの資産を持つ。
◇◇◇
オルフェリア・コルトレ
年齢 二十六歳
性別 女
職業 Aランク解体師
イーセ王国で活動していた解体師。
ウォール・エレ・シャットの解体のため、冒険者ギルドのフォルド帝国ウグマ支部に招へいされた。
解体師として飛び抜けた技術と知識を持っており、研究機関の依頼で解体学の講師をすることになった。
解体師とは想像できないほど、美しく清楚な容姿をしている。
解体師セミナーを開催すると、一瞬でチケットが売り切れてしまうほどの人気。
冒険者ギルドのウグマ支部ではオルフェリア人気の影響で、冒険者より解体師試験の受験者が多くなったことがある。
新たに導入された解体師のランク制度では、シグ・セブン局長の推薦でいきなり最高のAランクを取得。
オルフェリアの夢は空路を開拓すること。
オルフェリアの夢に共感したアル、レイ、シドの四人で軽い空気を探す旅に出た。
幼少期に両親と死別。
引き取られた先々で虐待を受けていた過去を持つ。
個人で持つことはないとされているモンスター事典を、コネで購入するほどモンスター好き。
◇◇◇
【モンスター紹介】
毒甲百足
階級 Dランク
分類 節足型蟲類
体長約二メデルト。
小型の蟲類モンスター。
体節が二十以上あり、一つの体節に三対の脚が生えている。
その名の通り脚の数が百本以上ある。
黒光りする甲殻には、毒々しい赤いラインが縦長に二本入っている。
脚は鮮やかな黄色。
強靭な顎や無数の足には細かい毒針がついており、獲物に触れると麻痺性の毒を注入する。
毒は即効性があり、麻痺して動けなくなった獲物を生きたままゆっくりと喰らう。
捕獲された獲物の唯一の救いは、毒で痛みを感じないこと。
なお、アロプレラの毒を精製すると麻酔薬になる。
現在の医療では欠かせない薬品となっている。
アロプレラの毒腺は銀貨五枚ほどの価値。
比較的硬い甲殻は安価な鎧に使われ、体節五枚前後で銀貨一枚になる。
Dランクモンスターの中ではトップクラスの高値で取引される。
◇◇◇
猛火犖
階級 Cランク
分類 四肢型獣類
体長約五メデルト。
中型の獣類モンスター。
主に草原に生息する草食の四足歩行モンスター。
四本の足には大きな蹄がある。
赤茶色の毛皮で、燃えるようなまだら模様が特徴。
頭部には三日月型の大角が一本生えており、左右に大きく広がっている。
モンスター食がある文化圏では人気食材の一つ。
濃厚で旨味が凝縮された赤身肉は、脂身が少なくサッパリしている。
大角は高級弓の素材として人気。
毛皮は個体ごとに模様が異なり、高級衣類、家具類、カーペットなどに使用される。
食材や素材として重宝されるため、狩猟や密猟が激しい。
だが、バルファの突進攻撃は大木をもなぎ倒す威力を持つ上に、大角による突き刺しも相まって多くの犠牲者が出ている。
なお、直線的な突進は非常に迫力があり、闘技場で人気がある。
比較的温厚な性格をしている。
しかし、太古より人類に捕獲されていることから、人間を見ると豹変し激昂する一面を持つ。
そのため、イーセ語では怒り狂うことを猛火の如くと形容する。
◇◇◇
光蟷螂蟲
階級 Cランク
分類 節足型蟲類
体長約三メデルト。
大型の蟲類モンスター。
節を持つ六本の足、鋭い鎌のような二本の前足を持つ。
背には四枚の羽を折りたたんでおり、中距離の飛行が可能。
昼夜問わず活動する。
獰猛な肉食で、昼は動物や小型モンスターを襲う。
鎌状の前足で獲物を仕留め、そのまま鎌で挟み、強力な顎で喰いちぎっていく。
頭部には三十セデルトほどの半球状の突起物があり、ぼんやりと白く光る。
夜はこの光に集まってくる虫や小型動物を捕食する。
最大の特徴は、頭部の半分を占める大きな四つの目。
同時に四つの眼球は使用できず、二つずつ昼用と夜用で交互に使用する。
コロニーと呼ばれる巨大な巣を作り、集団で生活する。
巨大コロニーになると数万匹が繁殖し、小さな街なら壊滅させるほどの驚異となる。
アンティマントの鎌は、農作業の道具として使われる。
比較的安価なため人気が高い。
◇◇◇
鉤爪鷲竜
階級 Aランク
分類 竜骨型翼類
体長約五メデルト。
二枚の巨大な翼を持ち、翼を広げると十メデルト以上にもなる大型の翼類モンスター。
四肢型鳥類に見えるが、れっきとした竜骨型翼類。
二本の太い足の先には三本の大きく鋭い鉤爪、踵には一本の大きな鉤爪を備えている。
大きく湾曲したクチバシは先端が鋭く、強固なモンスターの甲殻も貫く。
上空から獲物を狙い、鉤爪で獲物を捕獲する。
人間や動物はもちろん、大型のモンスターですら簡単に捕獲し空中へ連れ去る。
竜骨型翼類では頂点の存在。
空の王と呼ばれる。
生息地は南の海を超えたモンスターが生息する島と言われており、この大陸で目撃例は少ない。
首から上は純白の羽毛に覆われ、胴体や羽は美しい群青色、腹部から尾羽は頭部と同じ白色。
巨大なクチバシと二本の足は鮮やかな黄色、鉤爪は艶がある黒色をしている。
美しい羽は王族や貴族、上級商人の高級服飾などに使われる。
また、扇やペンとしても用いられ、非常に高値で取引される。
◇◇◇
【用語集】
固有名保有特異種
種族の中から極稀に産まれる特別な能力を持った個体や、特殊に進化した個体を指す。
街や国に厄災をもたらすほどの存在であり、あまりの危険性から個別に名前がつけられ注視されている。
その存在は世界でも非常に少ない。
現在のネームドリストは研究機関によって管理され、新たなネームドもシグ・セブンが認定する。
ネームドリストはシドが改ざんした痕跡が多数ある。
その一つとして、エルウッドはネームドリストから抹消された。
◇◇◇
竜種
生物の頂点とされるモンスター。
現在、竜種は三十一体確認されている。
その存在は自然災害と同じと言われているが詳細は不明。
なぜなら遭遇するとほぼ死亡するため。
シドも殺されたことがある。
◇◇◇
始祖
世界に十三柱いるモンスター。
文明国でモンスターに分類されているが、土地によっては神として崇められている。
竜種と並び、生物の頂点に立つ存在。
◇◇◇
モンスター事典
現在確認されているモンスターを全て網羅している研究機関発行の事典。
国家や都市の図書館、公共機関、研究機関が購入する。
モンスターのイラストは、シグ・セブン局長ジョージ・ウォーターが担当。
カラー版とモノクロ版がある。
カラー版は非常に高価となり、出版数も少ない。
その価格から個人が持つことはないとされているが、解体師のオルフェリア・コルトレがシグ・セブンのコネを使いカラー版を購入した。
アル・パートが異常な速度でモンスターを討伐するため、モンスター研究が五十年進んだと言われている。
しかし、あまりのスピードに事典の改稿が間に合わず、そのため別冊を作成した。
◇◇◇
モンスター図鑑
フォルド帝国で発売された、モンスターのイラストを大量に使用した図鑑。
子供や文字が読めない層に爆発的なヒット。
この本がきっかけで、文字を覚える帝国民が増えたほど。
さらにこの図鑑を読みたいがために文字を勉強する者が増え、帝国の識字率を上げる一因となった。
イーセ王国でも発売の要望があり、現在は翻訳中。
著者は冒険者のアル・パート。
イラストは史上最高の画家と名高いロズ・ディール。
実はロズはアルの隠れファンで、アルがイラストレーターを探していると聞き自ら立候補した。
ロズ・ディールのイラスト集としても価値がある。
◇◇◇
寝台荷車
シドが所有するクエスト移動用の荷車。
シドが設計を行い、トーマス工房で製作。
全長五メデルト、幅三メデルトと荷車の中では中型の部類に入る。
荷台はトーマス兄弟発明の折りたたみ機能で、全長は最大十二メデルトまで拡張可能。
大型モンスターや、複数体のモンスターも運ぶことができる。
キャラバンは先頭部分から御者席、座席兼寝台、荷台と三つのスペースに分かれている。
それぞれのスペースには仕切りの壁と扉があり、走行中でも行き来が可能。
寝台には小さいながらソファーやテーブル完備。
ベッドは折りたたみの二段式で、最大四人が同時に就寝可能。
車輪の連結部分には、シドが開発した緩衝装置が装着されている。
緩衝装置は路面の衝撃を吸収する役割を持つため、悪路でも快適に過ごすことができる。
荷台では組み立て式のキッチンや風呂を使用することが可能。
もはや動く家と言える。
◇◇◇
7
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界でパッシブスキル「魅了」を得て無双する〜最強だけど最悪なスキルに振り回されてます〜
蒼井美紗
ファンタジー
突然異世界に飛ばされた涼太は、何故か最大レベルの魅了スキルを得た。しかしその魅了が常時発動のパッシブスキルで、近づいた全ての人や魔物までをも魅了してしまう。
綺麗な女性ならまだ良いけど、ムキムキの筋肉が目をハートにして俺に迫ってくるとか……マジで最悪だ!
何なんだよこのスキル、俺を地球に帰してくれ!
突然異世界に飛ばされて、最強だけど最悪なスキルを得た主人公が、地球への帰り方を探しながら異世界を冒険する物語です。
※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる