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第四章
第70話 護衛クエスト
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俺たちがウグマに滞在して一週間が経過。
その間、新しい家を整理したり、街を案内してもらった。
そして夕食の時間。
「アル、ここでの生活も慣れてきたわよね?」
「ああ、もう街でも迷わない。大丈夫だよ」
「ふふふ、二日目なんて、あなた帰って来れなくなっていたものね」
「ちょっ! それは別にいいだろ!」
「エルウッドがいなければ、ウグマで迷子になってたものね」
「うるさいな」
「ウォウウォウ」
「エルウッドまで! なんだよ!」
「ふふふ」
「ウォウォウォ」
レイとエルウッドに笑われながら、夕食を食べていた。
「さて、明日はどうするの?」
「ギルドへ行くつもりだよ。どんなクエストがあるのか見たいからね。できそうなものがあったら受注しようと思う」
「そうね。そろそろクエストに手をつけてもいいわね」
翌朝、俺たちはウグマの冒険者ギルドへ向かった。
受付横にある大きなクエスト掲示板の前で、一つ一つクエストを見ていく。
クエストはランクごとの掲示板に貼られている。
俺はBランクまでのクエストが可能だ。
何気なくクエストを見ていたら、フロアがざわついていた。
「あいつってダーク・ゼム・イクリプスを撃退した奴じゃないか?」
「ってことは、横の女はレイ・ステラーか。めっちゃ美人じゃねーか」
「噂では、あいつらギルド初のエンドース契約したらしいぜ」
「マジか! じゃあ装備も全部タダなのか!」
「お、おれ、サインもらってこようかな」
様々な声が聞こえる。
「さて、アルどうする?」
「そうだな」
Bランクはほとんど狩猟や討伐クエストだ。
Cランクの掲示板を見ると、採取クエストもある。
「採取なんてどうかな?」
「ちょっとアル。あなた、Cランク以下のクエストは受注できないと思うわよ?」
「え? どうして? 自分のランク以下なら大丈夫でしょ?」
「普通はね。ふ、つ、う、は。あなたはもう普通じゃないから、下位ランクのクエストは許可されないでしょう。他の冒険者の仕事を取ってしまうことになるもの」
「ええ! それは困るよ!」
「ふふふ、実力に見合ったクエストをしろってことね」
「でもさ、そうなるとレイはAランクだから、Bランクのクエストは受注できないでしょ?」
「私は大丈夫よ。だって普通だもの」
「へえ、騎士団団長やってたAランク冒険者が普通なんだ」
「ちょっと何よ! あなたと一緒にしないでよ! あなたは正真正銘の化け物なのよ?」
「ウォウォウォウォ」
俺たちのやり取りを聞いて、エルウッドが笑っていた。
その後も掲示板を見て回ると、気になるクエストを発見。
Bランクのクエストだ。
◇◇◇
クエスト依頼書
難度 Bランク
種類 【至急】護衛
対象 隊商
内容 ウグマからモアまでの護衛
報酬 金貨十枚
期限 依頼者のスケジュールに沿う
編成 Bランク二人以上
解体 不要
運搬 不要
特記 詳細は契約書記載 冒険者税徴収済み
◇◇◇
「ねえ、レイ。護衛クエストは初めてだからやってみたいんだけど」
「そうね、いいわよ。至急案件だから、今日にでも依頼者と会えるでしょう」
受付でクエストを受注し契約書にサイン。
至急案件のため、すぐにギルドの連絡員が依頼者の元へ知らせに走る。
しばらく待つと依頼者がギルドへやってきた。
俺たちはギルドの個室へ移動。
依頼者と顔合わせだ。
「あなたたちが受注してくださった冒険者の方々ですか?」
「はい、アル・パートです」
「レイ・ステラーです」
「隊商のリーダーをやってます商人のザール・マハールです」
ザール・マハールは三十歳くらいの男性だ。
痩せ型で褐色の肌をしている。
身なりは良く、頭にターバンを巻いていた。
「失礼ですが、まだ子供のようですけど? Bランク以上で依頼しましたし、それなりの金を払っていますが?」
ザールは俺たちを見て、あまりにも若すぎると思った様子。
あからさまに不機嫌だ。
だが、レイは表情を変えず冷静さを保っている。
「ご安心ください。私はAランクです」
「え! Aランクの方が護衛してくださるのですか?」
「はい、ご安心いただけましたか?」
「ん? レイ・ステラーさんと仰りましたか?」
「ええ、そうですわ」
「ま、まさか、クロトエ騎士団の元団長という……」
「よくご存知で」
「な、なんということだ! ご高名はかねてから存じ上げております。ああ、この巡り合わせ、我が神に感謝します」
ザールは空に向かって祈りを捧げている。
「まさか、かの有名なレイ・ステラー様が護衛してくださるとは。これは別途、成功報酬も支払わねばなりませんな」
「それには及びませんわ。ギルドから正当な報酬を受けますので」
「そうはいきませんよ。はははは」
ザールは元騎士団団長が護衛ということで、機嫌を良くしながらクエストの説明をしてくれた。
ウグマから国境の街モアまで、約五百キデルトの道中を護衛。
隊商は馬車十台の中規模編成。
隊商にも警備隊はいるが、モンスターの襲撃を考えて冒険者に依頼したそうだ。
移動スケジュールは一日約三十キデルト。
約十七日間の護衛だ。
モアからウグマへ戻る日数まで考えると、一ヶ月の長期クエストになる。
「可能であれば明日にでも出発したいのですが、問題ありませんか?」
「ええ、大丈夫ですわ」
「ありがとうございます。それでは、明日の日の出とともに出発します」
俺たちは自宅へ戻りクエストの用意。
執事のステムにクエストのスケジュールを説明。
すると、この日の夕食はクエスト成功を祈願して、豪勢な食事にしてくれた。
翌朝、日の出前に自宅を出発。
これほど朝早いのに、執事のステム、メイドのエルザとマリン、庭師で馬の世話係のミック、全員が見送ってくれた。
俺は開発機関から提供された軽鎧を着ている。
今まで着ていた鎧より軽く、強度は高い。
関節の可動範囲も広く動きやすい。
さすが冒険者専用の装備を作るシグ・ナインだ。
今回は護衛ということで、弓と矢も提供してもらった。
エンドース契約の凄さに驚くばかりだ。
俺とレイとエルウッドは、約束の時間より前に待ち合わせ場所へ向かう。
すると、隊商はすでに待機してした。
「おはようございます。レイ様、アルさん」
ザールが出迎えてくれた。
挨拶をして、隊商はすぐに出発。
日の出の祝福を受け、俺にとって初めての護衛クエスト開始となった。
その間、新しい家を整理したり、街を案内してもらった。
そして夕食の時間。
「アル、ここでの生活も慣れてきたわよね?」
「ああ、もう街でも迷わない。大丈夫だよ」
「ふふふ、二日目なんて、あなた帰って来れなくなっていたものね」
「ちょっ! それは別にいいだろ!」
「エルウッドがいなければ、ウグマで迷子になってたものね」
「うるさいな」
「ウォウウォウ」
「エルウッドまで! なんだよ!」
「ふふふ」
「ウォウォウォ」
レイとエルウッドに笑われながら、夕食を食べていた。
「さて、明日はどうするの?」
「ギルドへ行くつもりだよ。どんなクエストがあるのか見たいからね。できそうなものがあったら受注しようと思う」
「そうね。そろそろクエストに手をつけてもいいわね」
翌朝、俺たちはウグマの冒険者ギルドへ向かった。
受付横にある大きなクエスト掲示板の前で、一つ一つクエストを見ていく。
クエストはランクごとの掲示板に貼られている。
俺はBランクまでのクエストが可能だ。
何気なくクエストを見ていたら、フロアがざわついていた。
「あいつってダーク・ゼム・イクリプスを撃退した奴じゃないか?」
「ってことは、横の女はレイ・ステラーか。めっちゃ美人じゃねーか」
「噂では、あいつらギルド初のエンドース契約したらしいぜ」
「マジか! じゃあ装備も全部タダなのか!」
「お、おれ、サインもらってこようかな」
様々な声が聞こえる。
「さて、アルどうする?」
「そうだな」
Bランクはほとんど狩猟や討伐クエストだ。
Cランクの掲示板を見ると、採取クエストもある。
「採取なんてどうかな?」
「ちょっとアル。あなた、Cランク以下のクエストは受注できないと思うわよ?」
「え? どうして? 自分のランク以下なら大丈夫でしょ?」
「普通はね。ふ、つ、う、は。あなたはもう普通じゃないから、下位ランクのクエストは許可されないでしょう。他の冒険者の仕事を取ってしまうことになるもの」
「ええ! それは困るよ!」
「ふふふ、実力に見合ったクエストをしろってことね」
「でもさ、そうなるとレイはAランクだから、Bランクのクエストは受注できないでしょ?」
「私は大丈夫よ。だって普通だもの」
「へえ、騎士団団長やってたAランク冒険者が普通なんだ」
「ちょっと何よ! あなたと一緒にしないでよ! あなたは正真正銘の化け物なのよ?」
「ウォウォウォウォ」
俺たちのやり取りを聞いて、エルウッドが笑っていた。
その後も掲示板を見て回ると、気になるクエストを発見。
Bランクのクエストだ。
◇◇◇
クエスト依頼書
難度 Bランク
種類 【至急】護衛
対象 隊商
内容 ウグマからモアまでの護衛
報酬 金貨十枚
期限 依頼者のスケジュールに沿う
編成 Bランク二人以上
解体 不要
運搬 不要
特記 詳細は契約書記載 冒険者税徴収済み
◇◇◇
「ねえ、レイ。護衛クエストは初めてだからやってみたいんだけど」
「そうね、いいわよ。至急案件だから、今日にでも依頼者と会えるでしょう」
受付でクエストを受注し契約書にサイン。
至急案件のため、すぐにギルドの連絡員が依頼者の元へ知らせに走る。
しばらく待つと依頼者がギルドへやってきた。
俺たちはギルドの個室へ移動。
依頼者と顔合わせだ。
「あなたたちが受注してくださった冒険者の方々ですか?」
「はい、アル・パートです」
「レイ・ステラーです」
「隊商のリーダーをやってます商人のザール・マハールです」
ザール・マハールは三十歳くらいの男性だ。
痩せ型で褐色の肌をしている。
身なりは良く、頭にターバンを巻いていた。
「失礼ですが、まだ子供のようですけど? Bランク以上で依頼しましたし、それなりの金を払っていますが?」
ザールは俺たちを見て、あまりにも若すぎると思った様子。
あからさまに不機嫌だ。
だが、レイは表情を変えず冷静さを保っている。
「ご安心ください。私はAランクです」
「え! Aランクの方が護衛してくださるのですか?」
「はい、ご安心いただけましたか?」
「ん? レイ・ステラーさんと仰りましたか?」
「ええ、そうですわ」
「ま、まさか、クロトエ騎士団の元団長という……」
「よくご存知で」
「な、なんということだ! ご高名はかねてから存じ上げております。ああ、この巡り合わせ、我が神に感謝します」
ザールは空に向かって祈りを捧げている。
「まさか、かの有名なレイ・ステラー様が護衛してくださるとは。これは別途、成功報酬も支払わねばなりませんな」
「それには及びませんわ。ギルドから正当な報酬を受けますので」
「そうはいきませんよ。はははは」
ザールは元騎士団団長が護衛ということで、機嫌を良くしながらクエストの説明をしてくれた。
ウグマから国境の街モアまで、約五百キデルトの道中を護衛。
隊商は馬車十台の中規模編成。
隊商にも警備隊はいるが、モンスターの襲撃を考えて冒険者に依頼したそうだ。
移動スケジュールは一日約三十キデルト。
約十七日間の護衛だ。
モアからウグマへ戻る日数まで考えると、一ヶ月の長期クエストになる。
「可能であれば明日にでも出発したいのですが、問題ありませんか?」
「ええ、大丈夫ですわ」
「ありがとうございます。それでは、明日の日の出とともに出発します」
俺たちは自宅へ戻りクエストの用意。
執事のステムにクエストのスケジュールを説明。
すると、この日の夕食はクエスト成功を祈願して、豪勢な食事にしてくれた。
翌朝、日の出前に自宅を出発。
これほど朝早いのに、執事のステム、メイドのエルザとマリン、庭師で馬の世話係のミック、全員が見送ってくれた。
俺は開発機関から提供された軽鎧を着ている。
今まで着ていた鎧より軽く、強度は高い。
関節の可動範囲も広く動きやすい。
さすが冒険者専用の装備を作るシグ・ナインだ。
今回は護衛ということで、弓と矢も提供してもらった。
エンドース契約の凄さに驚くばかりだ。
俺とレイとエルウッドは、約束の時間より前に待ち合わせ場所へ向かう。
すると、隊商はすでに待機してした。
「おはようございます。レイ様、アルさん」
ザールが出迎えてくれた。
挨拶をして、隊商はすぐに出発。
日の出の祝福を受け、俺にとって初めての護衛クエスト開始となった。
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