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第四章
第67話 自問自答
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俺たちはギルドのすぐ近くにある医療機関へ向かった。
シグ・シックスとはギルドにある主要機関の一つだ。
冒険者の診察や最先端の医療を研究している機関で、主要機関の中で最も信頼を集めている。
そのため、ギルドの良心と呼ばれているのだった。
受け付けを済ませた俺は、診察室に呼ばれた。
「アル・パートさん、どうぞ」
診察室へ入ると、年配の男性医師と若い女性の看護師がいた。
包帯を取り傷口を見せる。
「最初の応急処置が素晴らしい。そして、腕のいい医師に見せたようだね。縫合も問題ない。傷跡は残らないよ。それにしても、この切創は凄まじいな。鋭すぎる。何にやられたんだい?」
「槍豹獣です」
「サーベラルか。確かにあの鋭爪は凄い。しかし、ここまでの切れ味はないはずだよ」
「ネームドのダーク・ゼム・イクリプスです」
「ダ、ダーク・ゼム・イクリプスだって!」
「はい」
「そうか……。あいつがまた出没したのか。私は一度、ダーク・ゼム・イクリプスに壊滅させられた街で救助活動をしたのだが、それはもう悲惨でな。君はよく生き残ったな」
「はい、なんとか撃退できました。しかし、両腕はこの大怪我です」
「げ、撃退だと! それが本当だとしたら大変なことだよ!」
「ギルドの女将にも言われました」
「女将も驚いていたか。まあ帝国はダーク・ゼム・イクリプスに、百年近く苦しめられてるからね」
「そんなにですか?」
「ああ、私は研究機関の資料を読んだんだ。もし興味があったらシグ・セブンへ行くといい。ウグマの街には全てのギルド機関が揃ってるからね」
医師の診察が終わった。
「傷にギルド特製の塗り薬を塗って包帯を変えておく。君の軽鎧はもう使い物にならないから、ウグマで新しい鎧を買った方がいいよ」
「分かりました」
「それと二週間は乗馬禁止だ。いつまでこの街にいるんだい?」
「明日には発ちたいのですが」
「それは許可できないな」
「やはりそうですか。村の先生には一ヶ月安静と言われましたしね。ハハ」
「普通はね。ギルドの塗り薬で多少は治りが早くなるよ。……仕方がない。乗馬可能になるまで毎日傷を見る。明日も来てくれ」
「分かりました」
「あとの処理は看護師がやるよ」
俺は診察室を出て、処置室へ移動した。
「アルさん、腕を出してください」
若い女性の看護師がギルド特製の塗り薬を塗り、傷に効く薬草を貼る。
最後にしっかりと包帯を巻いてくれた。
「本当によく生き残れましたね。私もダーク・ゼム・イクリプスの襲撃で救助活動をしましたが、あれはもう災害でした……。もう来ないですよね?」
「……分かりません。調査機関が調査してくれるそうです」
「そうなんですね。早く討伐して欲しいですね」
「俺があの時、確実に倒していたら……」
「い、いえ、ごめんなさい! そんなつもりでは! 撃退でも信じられない大事件なんですから!」
「ありがとうございます」
「アルさん、今夜は熱が出ます。村の医師から薬草をもらってますよね? 私が煎じますので、今飲んでください」
「はい」
「それでも熱は出ます。何かあったら遠慮せずに来てください。それと、今日はお風呂もお酒も禁止ですからね」
「分かりました」
「アルさん。ダーク・ゼム・イクリプスを撃退してくださって、本当にありがとうございます。また明日もお待ちしてますね」
処置を終え待合室に戻ると、レイが待っていた。
「どう? 大丈夫?」
「ああ、傷は残らないそうだ。二週間は乗馬禁止。明日も傷を見せることになったよ」
「分かったわ。しばらく滞在することになるわね」
「うん、それと今夜は熱が出るって」
「そうなのね。分かったわ。私が看てる」
「だ、大丈夫だよ!」
「いいのよ、やらせて。私は何もできなかったから、これくらいはやらせて」
「分かった。ありがとうレイ」
「女将がギルドの宿を用意してくれたわ。行きましょう」
その夜、医師や看護師が言っていたように高熱が出た。
傷口の痛みは激しく、かなり辛い状況だ。
しかし、レイが横にいてくれているだけで安心できる。
「……レイ、ありが……とう」
「いいのよ。ゆっくり眠りなさい」
レイが頭を撫でてくれている。
とても心地良い。
俺はいつの間にか寝ていた。
翌朝、目を覚ますと、レイはベッドに伏せて寝ていた。
一晩中、横で看病してくれたようだ。
本当に感謝しかない。
熱は下がった。
腕の傷口は痛むが腕は動く。
何度か拳を握りしめ、しっかり力が入ることを確認した。
完全に寝ているレイを抱き上げ、ベッドに寝かす。
連日の疲れが出ているのだろう。
珍しく熟睡している。
俺はベッドで寝てるレイを眺めながら椅子に座る。
最近の自分を振り返った。
冒険者になってクエストをクリア。
ネームドとも対峙した。
少しは強くなっただろうか?
冷静に、客観的に考えると、少しは強くなっていると思う。
しかし、ネームド相手とはいえ、命の危険を感じているようではダメだ。
腕に大怪我をして、レイにも迷惑をかけた。
もっと強くならなければ、レイもエルウッドも守れない。
俺は大切なものを守りたい。
剣術や肉体面は今日鍛えたからといって、明日すぐに結果が出るわけではない。
もちろん日々トレーニングはするし勉強も励む。
将来に向けて鍛錬は怠らない。
その上で、今すぐ効果を出すとしたら装備品の向上が近道だろう。
俺はダーク・ゼム・イクリプスが紙のように切り裂いた軽鎧を手に取る。
今回の戦いで防具の重要性を思い知った。
俺の剣はイーセ王国の名工、クリス・ワイアが打ったオーダーメイドの剣だ。
それも俺専用の形状で、片刃の大剣と名付けられた特別な一振り。
それに比べ、剣以外の装備には全くこだわっていなかった。
これを機会に防具や道具も見直す必要がある。
自分自身のレベルは当然ながら、装備品のレベルも上げていかねばならない。
そういえば以前からレイは、高ランクの冒険者は金がかかると言っていた。
その意味をはっきりと理解した。
命を守ると考えるれば安いものだが。
「ア、アル。おはよう……」
「おはよう、レイ。ごめん、起こしちゃった?」
「ううん、平気よ。腕は大丈夫?」
「ああ、ありがとう。レイのおかげだよ。」
「ふふふ、良かった」
俺たちは朝食を取り、昨日行った医療機関へ向かった。
シグ・シックスとはギルドにある主要機関の一つだ。
冒険者の診察や最先端の医療を研究している機関で、主要機関の中で最も信頼を集めている。
そのため、ギルドの良心と呼ばれているのだった。
受け付けを済ませた俺は、診察室に呼ばれた。
「アル・パートさん、どうぞ」
診察室へ入ると、年配の男性医師と若い女性の看護師がいた。
包帯を取り傷口を見せる。
「最初の応急処置が素晴らしい。そして、腕のいい医師に見せたようだね。縫合も問題ない。傷跡は残らないよ。それにしても、この切創は凄まじいな。鋭すぎる。何にやられたんだい?」
「槍豹獣です」
「サーベラルか。確かにあの鋭爪は凄い。しかし、ここまでの切れ味はないはずだよ」
「ネームドのダーク・ゼム・イクリプスです」
「ダ、ダーク・ゼム・イクリプスだって!」
「はい」
「そうか……。あいつがまた出没したのか。私は一度、ダーク・ゼム・イクリプスに壊滅させられた街で救助活動をしたのだが、それはもう悲惨でな。君はよく生き残ったな」
「はい、なんとか撃退できました。しかし、両腕はこの大怪我です」
「げ、撃退だと! それが本当だとしたら大変なことだよ!」
「ギルドの女将にも言われました」
「女将も驚いていたか。まあ帝国はダーク・ゼム・イクリプスに、百年近く苦しめられてるからね」
「そんなにですか?」
「ああ、私は研究機関の資料を読んだんだ。もし興味があったらシグ・セブンへ行くといい。ウグマの街には全てのギルド機関が揃ってるからね」
医師の診察が終わった。
「傷にギルド特製の塗り薬を塗って包帯を変えておく。君の軽鎧はもう使い物にならないから、ウグマで新しい鎧を買った方がいいよ」
「分かりました」
「それと二週間は乗馬禁止だ。いつまでこの街にいるんだい?」
「明日には発ちたいのですが」
「それは許可できないな」
「やはりそうですか。村の先生には一ヶ月安静と言われましたしね。ハハ」
「普通はね。ギルドの塗り薬で多少は治りが早くなるよ。……仕方がない。乗馬可能になるまで毎日傷を見る。明日も来てくれ」
「分かりました」
「あとの処理は看護師がやるよ」
俺は診察室を出て、処置室へ移動した。
「アルさん、腕を出してください」
若い女性の看護師がギルド特製の塗り薬を塗り、傷に効く薬草を貼る。
最後にしっかりと包帯を巻いてくれた。
「本当によく生き残れましたね。私もダーク・ゼム・イクリプスの襲撃で救助活動をしましたが、あれはもう災害でした……。もう来ないですよね?」
「……分かりません。調査機関が調査してくれるそうです」
「そうなんですね。早く討伐して欲しいですね」
「俺があの時、確実に倒していたら……」
「い、いえ、ごめんなさい! そんなつもりでは! 撃退でも信じられない大事件なんですから!」
「ありがとうございます」
「アルさん、今夜は熱が出ます。村の医師から薬草をもらってますよね? 私が煎じますので、今飲んでください」
「はい」
「それでも熱は出ます。何かあったら遠慮せずに来てください。それと、今日はお風呂もお酒も禁止ですからね」
「分かりました」
「アルさん。ダーク・ゼム・イクリプスを撃退してくださって、本当にありがとうございます。また明日もお待ちしてますね」
処置を終え待合室に戻ると、レイが待っていた。
「どう? 大丈夫?」
「ああ、傷は残らないそうだ。二週間は乗馬禁止。明日も傷を見せることになったよ」
「分かったわ。しばらく滞在することになるわね」
「うん、それと今夜は熱が出るって」
「そうなのね。分かったわ。私が看てる」
「だ、大丈夫だよ!」
「いいのよ、やらせて。私は何もできなかったから、これくらいはやらせて」
「分かった。ありがとうレイ」
「女将がギルドの宿を用意してくれたわ。行きましょう」
その夜、医師や看護師が言っていたように高熱が出た。
傷口の痛みは激しく、かなり辛い状況だ。
しかし、レイが横にいてくれているだけで安心できる。
「……レイ、ありが……とう」
「いいのよ。ゆっくり眠りなさい」
レイが頭を撫でてくれている。
とても心地良い。
俺はいつの間にか寝ていた。
翌朝、目を覚ますと、レイはベッドに伏せて寝ていた。
一晩中、横で看病してくれたようだ。
本当に感謝しかない。
熱は下がった。
腕の傷口は痛むが腕は動く。
何度か拳を握りしめ、しっかり力が入ることを確認した。
完全に寝ているレイを抱き上げ、ベッドに寝かす。
連日の疲れが出ているのだろう。
珍しく熟睡している。
俺はベッドで寝てるレイを眺めながら椅子に座る。
最近の自分を振り返った。
冒険者になってクエストをクリア。
ネームドとも対峙した。
少しは強くなっただろうか?
冷静に、客観的に考えると、少しは強くなっていると思う。
しかし、ネームド相手とはいえ、命の危険を感じているようではダメだ。
腕に大怪我をして、レイにも迷惑をかけた。
もっと強くならなければ、レイもエルウッドも守れない。
俺は大切なものを守りたい。
剣術や肉体面は今日鍛えたからといって、明日すぐに結果が出るわけではない。
もちろん日々トレーニングはするし勉強も励む。
将来に向けて鍛錬は怠らない。
その上で、今すぐ効果を出すとしたら装備品の向上が近道だろう。
俺はダーク・ゼム・イクリプスが紙のように切り裂いた軽鎧を手に取る。
今回の戦いで防具の重要性を思い知った。
俺の剣はイーセ王国の名工、クリス・ワイアが打ったオーダーメイドの剣だ。
それも俺専用の形状で、片刃の大剣と名付けられた特別な一振り。
それに比べ、剣以外の装備には全くこだわっていなかった。
これを機会に防具や道具も見直す必要がある。
自分自身のレベルは当然ながら、装備品のレベルも上げていかねばならない。
そういえば以前からレイは、高ランクの冒険者は金がかかると言っていた。
その意味をはっきりと理解した。
命を守ると考えるれば安いものだが。
「ア、アル。おはよう……」
「おはよう、レイ。ごめん、起こしちゃった?」
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