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第三章 薄幸の少女
第24話 優しい殺し屋
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翌日は朝から雨。
外の景色が見えないほどの土砂降りだ。
地面を打ちつける音が洞窟内に響く。
「これじゃあ移動は無理ね」
「そうだな」
俺は雨でも行動できるが、少女二人には無理だろう。
初夏とはいえ、雨で体温を奪われれば命に関わる。
「二人とも今日は休め」
「あなたも休みなさいよ」
「いや、俺は食材を確保する。雨はカエルが捕れるからな」
「や、やめて!」
――
三日も続いた雨がようやく止み、次の街へ向けて出発。
だが、峠を越える前に食料は完全に尽きた。
ウサギが罠にかかればいいが、捕れない日は山菜やキノコで空腹を凌ぐ少女二人。
俺と違い、何でも食べるわけではない。
特にエルザは食材を選ぶ。
「あのねえ。皆が皆、虫を食べるわけじゃないのよ! 虫を食べるくらいなら空腹に耐えるわ!」
「そういうものか」
「そうよ!」
エルザとフェルリートにまともな食材を与え、俺はヘビやカエル、虫を食べていた。
それから数日経ち、峠を越えた俺たちは王国第三の都市ノルヴァに到着。
「や、やっと着いたわね。大変だった」
「まずは宿へ行きたいのだろう?」
「よく分かったわね」
「うるさかったからな」
「うるさいって何よ! まったくもう」
移動中は風呂に入れず、エルザは「汗臭い! 髪を洗いたい!」と嘆いていた。
「ねえヴァン、今日はちょっと良い宿に泊まらない? ここまで大変だったもの」
「……いいだろう。初めての旅でフェルリートも疲れただろうからな」
「あなたフェルリートには優しいのね」
「何を言う。俺の主はエルザだ。エルザが最も大切だ」
「え? ほ、本当に?」
「無事に送り届けなければ、報酬がないからな」
「報酬ですって? ば、馬鹿!」
エルザは怒鳴りながら、勝手に先へ進んでしまった。
「ちっ。狙われてるんだぞ」
俺は誰にも聞こえないように小さく呟く。
隣りにいたフェルリートが、俺の袖をそっと掴んできた。
「ヴァン様、私はどんな場所でも大丈夫です」
「気にするな。行くぞ」
ひとまずエルザの後を追う。
――
「え? こ、これが宿ですか?」
エルザが選んだ高級宿の前に到着。
建物を見上げるフェルリートの口が、大きく開いていた。
「久しぶりに一人で寝られるわ」
「こ、こんな宿……。あの、私は違う場所へ行きます」
「ん? だめよ。あなたも一緒に泊まるわよ」
「で、でも……その……」
フェルリートが妙に焦っている。
「フェルリート、金ならある。心配するな」
「え? あ、あの、申し訳ございません」
フェルリートの頬が紅潮していた。
金を持ってないことが恥ずかしいのだろうか。
だが、十五歳の小娘が金なんて持ってるわけがない。
「お前はこの街で働き口を見つけるんだ。風呂に入り、身なりを綺麗にしておけ」
「……はい。ありがとうございます」
受付を済ませ、三人で宿のレストランへ移動。
拾いホールに並ぶ丸テーブルには、シルクのテーブルクロスがかけられている。
壁には絵画がかけられ、シャンデリアの蝋燭が照らしていた。
「なかなか良いじゃない」
「え? え? こ、ここで食べるんですか?」
フェルリートは完全に萎縮している。
「そうよ。久しぶりにまともな食事ですもの。ちゃんとしたものを食べるわよ。それに、ここでは虫なんて出ないから安心しなさい」
「あ、わ、私はヴァン様のお料理が好きです」
「あんなのムカデを焼いただけじゃない!」
係に案内され席につく。
メニューを見て、エルザが注文する。
若いのにこういった場所の経験が豊富のようだ。
「ここなら味覚がないヴァンでも楽しめるでしょう?」
「ああ、そうだな」
高級なグラスを両手で掴み、恐る恐る水を飲んでいたフェルリート。
その手が急に止まった。
「え? 味覚がない? ヴァ、ヴァン様、どいうことでしょうか?」
「そうだ。俺は味覚がない」
「え? 今までは? え?」
困惑するフェルリートにエルザが微笑みかける。
「ほら、久しぶりの美味しい料理なんだから、楽しみましょう」
「は、はい」
俺はエルザに対し、金額を気にせず注文するように伝えていた。
エルザはデザートまで注文。
フェルリートのためだろう。
「ふう、美味しかったわね」
「はい! こんな料理は初めて食べました!」
「ふふふ、良かったわ。じゃあ、部屋に戻りましょう」
「はい!」
エルザとフェルリートは同室。
高級宿のため、部屋は二部屋ある。
俺はその隣の部屋だ。
「エルザ、俺は街に出る」
「分かったわ」
「誰が来ても絶対に部屋から出るな。明日の朝食の時間まで、俺はお前たちの部屋に訪れることはない」
二人を部屋まで送り届け、俺は街へ出た。
◇◇◇
部屋に入ったエルザとフェルリート。
エルザはすぐに鍵をかけた。
「フェルリート。明日の朝まではもう部屋から出ないわよ」
「分かりました。エルザ様、紅茶を淹れますね」
「ありがとう。じゃあ一緒に飲みましょう」
フェルリートが紅茶を淹れ、二人はリビングのソファーに並んで座る。
「あの、エルザ様」
「なあに?」
「さっきのヴァン様の話ですが……」
「ヴァン? ああ、味覚がないって話?」
「そうです。以前ヴァン様は、私の料理を美味しいと言ってくださいましたが……」
「ふふふ。ヴァンなりの気遣いでしょう。たまに優しいのよね」
「ヴァン様はずっと優しいです!」
「え? そ、そう? そう……ね」
眉間にシワを寄せるエルザ。
「エルザ様!」
フェルリートは腿の上に乗せている両手を握りしめた。
そして前かがみの姿勢で、隣に座るエルザに迫った。
「な、なに? どうしたの?」
「私も帝国へ行きたいです! エルザ様のお役に……」
右手でフェルリートの口を塞ぐエルザ。
「だめなの」
「で、でも、あ、あの」
「あなたはここで仕事を見つけるの」
うつむくフェルリート。
両手にはさらに力が入り、唇を噛みしめていた。
エルザはそんなフェルリートの背中に右手を回す。
「あのね、フェルリート。意地悪で言ってるわけじゃないの」
「は、はい」
エルザもフェルリートの気持ちは痛いほど分かっている。
そのままフェルリートを抱きしめ、美しい黒髪を撫でた。
「事情は話せないんだけど、この旅は本当に危険なの。あなたのためなのよ。お願い、分かって」
「は、はい。無理を言って申し訳ございませんでした」
「いいのよ。ごめんね」
さすがにヴァンは殺し屋で、自分がスパイで、さらに戦争が起こるとは言えない。
それに、これ以上フェルリートと一緒にいると、フェルリートにも危険が及ぶ。
数日以内にはフェルリートと分かれるつもりだった。
「ほら、お風呂に入るわよ」
「は、はい」
「あなたの髪は本当に綺麗よね。どうしてそんなに綺麗なの?」
「え? な、何もしてません」
「若さかしら。やだわ」
「エルザ様の方が遥かにお綺麗です。私はエルザ様のような綺麗な大人になりたいです」
「え? やだ、何言ってるのよ。ふふふ」
フェルリートの手を取り、浴室へ向かったエルザ。
エルザの本心は、フェルリートを連れて帝国へ戻りたいと思っていた。
◇◇◇
外の景色が見えないほどの土砂降りだ。
地面を打ちつける音が洞窟内に響く。
「これじゃあ移動は無理ね」
「そうだな」
俺は雨でも行動できるが、少女二人には無理だろう。
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「二人とも今日は休め」
「あなたも休みなさいよ」
「いや、俺は食材を確保する。雨はカエルが捕れるからな」
「や、やめて!」
――
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だが、峠を越える前に食料は完全に尽きた。
ウサギが罠にかかればいいが、捕れない日は山菜やキノコで空腹を凌ぐ少女二人。
俺と違い、何でも食べるわけではない。
特にエルザは食材を選ぶ。
「あのねえ。皆が皆、虫を食べるわけじゃないのよ! 虫を食べるくらいなら空腹に耐えるわ!」
「そういうものか」
「そうよ!」
エルザとフェルリートにまともな食材を与え、俺はヘビやカエル、虫を食べていた。
それから数日経ち、峠を越えた俺たちは王国第三の都市ノルヴァに到着。
「や、やっと着いたわね。大変だった」
「まずは宿へ行きたいのだろう?」
「よく分かったわね」
「うるさかったからな」
「うるさいって何よ! まったくもう」
移動中は風呂に入れず、エルザは「汗臭い! 髪を洗いたい!」と嘆いていた。
「ねえヴァン、今日はちょっと良い宿に泊まらない? ここまで大変だったもの」
「……いいだろう。初めての旅でフェルリートも疲れただろうからな」
「あなたフェルリートには優しいのね」
「何を言う。俺の主はエルザだ。エルザが最も大切だ」
「え? ほ、本当に?」
「無事に送り届けなければ、報酬がないからな」
「報酬ですって? ば、馬鹿!」
エルザは怒鳴りながら、勝手に先へ進んでしまった。
「ちっ。狙われてるんだぞ」
俺は誰にも聞こえないように小さく呟く。
隣りにいたフェルリートが、俺の袖をそっと掴んできた。
「ヴァン様、私はどんな場所でも大丈夫です」
「気にするな。行くぞ」
ひとまずエルザの後を追う。
――
「え? こ、これが宿ですか?」
エルザが選んだ高級宿の前に到着。
建物を見上げるフェルリートの口が、大きく開いていた。
「久しぶりに一人で寝られるわ」
「こ、こんな宿……。あの、私は違う場所へ行きます」
「ん? だめよ。あなたも一緒に泊まるわよ」
「で、でも……その……」
フェルリートが妙に焦っている。
「フェルリート、金ならある。心配するな」
「え? あ、あの、申し訳ございません」
フェルリートの頬が紅潮していた。
金を持ってないことが恥ずかしいのだろうか。
だが、十五歳の小娘が金なんて持ってるわけがない。
「お前はこの街で働き口を見つけるんだ。風呂に入り、身なりを綺麗にしておけ」
「……はい。ありがとうございます」
受付を済ませ、三人で宿のレストランへ移動。
拾いホールに並ぶ丸テーブルには、シルクのテーブルクロスがかけられている。
壁には絵画がかけられ、シャンデリアの蝋燭が照らしていた。
「なかなか良いじゃない」
「え? え? こ、ここで食べるんですか?」
フェルリートは完全に萎縮している。
「そうよ。久しぶりにまともな食事ですもの。ちゃんとしたものを食べるわよ。それに、ここでは虫なんて出ないから安心しなさい」
「あ、わ、私はヴァン様のお料理が好きです」
「あんなのムカデを焼いただけじゃない!」
係に案内され席につく。
メニューを見て、エルザが注文する。
若いのにこういった場所の経験が豊富のようだ。
「ここなら味覚がないヴァンでも楽しめるでしょう?」
「ああ、そうだな」
高級なグラスを両手で掴み、恐る恐る水を飲んでいたフェルリート。
その手が急に止まった。
「え? 味覚がない? ヴァ、ヴァン様、どいうことでしょうか?」
「そうだ。俺は味覚がない」
「え? 今までは? え?」
困惑するフェルリートにエルザが微笑みかける。
「ほら、久しぶりの美味しい料理なんだから、楽しみましょう」
「は、はい」
俺はエルザに対し、金額を気にせず注文するように伝えていた。
エルザはデザートまで注文。
フェルリートのためだろう。
「ふう、美味しかったわね」
「はい! こんな料理は初めて食べました!」
「ふふふ、良かったわ。じゃあ、部屋に戻りましょう」
「はい!」
エルザとフェルリートは同室。
高級宿のため、部屋は二部屋ある。
俺はその隣の部屋だ。
「エルザ、俺は街に出る」
「分かったわ」
「誰が来ても絶対に部屋から出るな。明日の朝食の時間まで、俺はお前たちの部屋に訪れることはない」
二人を部屋まで送り届け、俺は街へ出た。
◇◇◇
部屋に入ったエルザとフェルリート。
エルザはすぐに鍵をかけた。
「フェルリート。明日の朝まではもう部屋から出ないわよ」
「分かりました。エルザ様、紅茶を淹れますね」
「ありがとう。じゃあ一緒に飲みましょう」
フェルリートが紅茶を淹れ、二人はリビングのソファーに並んで座る。
「あの、エルザ様」
「なあに?」
「さっきのヴァン様の話ですが……」
「ヴァン? ああ、味覚がないって話?」
「そうです。以前ヴァン様は、私の料理を美味しいと言ってくださいましたが……」
「ふふふ。ヴァンなりの気遣いでしょう。たまに優しいのよね」
「ヴァン様はずっと優しいです!」
「え? そ、そう? そう……ね」
眉間にシワを寄せるエルザ。
「エルザ様!」
フェルリートは腿の上に乗せている両手を握りしめた。
そして前かがみの姿勢で、隣に座るエルザに迫った。
「な、なに? どうしたの?」
「私も帝国へ行きたいです! エルザ様のお役に……」
右手でフェルリートの口を塞ぐエルザ。
「だめなの」
「で、でも、あ、あの」
「あなたはここで仕事を見つけるの」
うつむくフェルリート。
両手にはさらに力が入り、唇を噛みしめていた。
エルザはそんなフェルリートの背中に右手を回す。
「あのね、フェルリート。意地悪で言ってるわけじゃないの」
「は、はい」
エルザもフェルリートの気持ちは痛いほど分かっている。
そのままフェルリートを抱きしめ、美しい黒髪を撫でた。
「事情は話せないんだけど、この旅は本当に危険なの。あなたのためなのよ。お願い、分かって」
「は、はい。無理を言って申し訳ございませんでした」
「いいのよ。ごめんね」
さすがにヴァンは殺し屋で、自分がスパイで、さらに戦争が起こるとは言えない。
それに、これ以上フェルリートと一緒にいると、フェルリートにも危険が及ぶ。
数日以内にはフェルリートと分かれるつもりだった。
「ほら、お風呂に入るわよ」
「は、はい」
「あなたの髪は本当に綺麗よね。どうしてそんなに綺麗なの?」
「え? な、何もしてません」
「若さかしら。やだわ」
「エルザ様の方が遥かにお綺麗です。私はエルザ様のような綺麗な大人になりたいです」
「え? やだ、何言ってるのよ。ふふふ」
フェルリートの手を取り、浴室へ向かったエルザ。
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◇◇◇
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