天才双子の転生録

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序章 天才双子、異世界へ行く。

情報こそ最強の武器

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(2人が風呂に入っている間、より多くの情報を集めなくてはな...それにしても、ここで伯爵に会えたのはかなりデカいな)
 自身とそらの運の良さを体感するじん
「ところでいくつか聞きたいんですが...良いですかね?」
 じんはフィルロッテ伯爵に質問していいかと聞く事に。
「はい!もちろん喜んで。」
「じゃあ───」
(...待て、落ち着けよじん。果たして異世界転生してきたって言ってその話がこの世界の人に通じるのか...?転生と言うワードに関しては正直聞いても分からんだろう...)
「えと...じん様...?」
 ちょっとだけ考え事をしていた為、フィルロッテ伯爵から心配されるじん
「あぁ...すみません...少し考え事をしておりまして...えっとですね、この街...いやこの国の名前についてお聞きしても宜しいですかね」
(まぁまずは何よりこの街についてだ。いきなりこの世界が何かと聞いても、この世界の人たちからすれば、当たり前の世界だから困惑するだろうしな...)

「分かりました。この国についてですね」
 と、この国の説明に入るフィルロッテ。
「この国は、私、フィルロッテ・ヴィクトリアが統治しているヴィクトリアという国です。代々この国はヴィクトリア家が統治しており、その歴史は古くから約400年以上前にわたる───」
 本来常人なら、右から左へ受け流すであろうとてつもなく長い説明を、じんは一言一句記憶し、その中の重要な文だけを切り取った。

 2時間後────。

「───なるほど...大変勉強になりました。ありがとうございます。フィルロッテ伯爵」
 深々と礼をするじん
「いえいえ!私もここまで話を真剣に聞いてくださった人初めて見ましたよ!」
 じんを褒め称えるフィルロッテ。
「いや、フィルロッテさんの説明とヴィクトリア家の歴史が大変面白く」
「本当ですか!それは良かった!」
 どうやら2人はこのやり取りだけでとても仲良くなった様だ。
(それにしても本当に運がいい...。転生してきて、情報が欲しい状況で伯爵と知り合えるなんて...それにしてもこの世界、どれだけ低級だろうが魔力を持っているらしいな...。持っていないやつは忌み嫌われ、差別され、奴隷と化す...か...。つまりテイもそういうことなのか...?)
 頭の中で情報を整理していると、
「もうお風呂上がってるよ」
「あ、上がりましたよ!」
 と2人がお風呂から帰ってきた。が、そらの格好があまりにもラフすぎる。
「...あのなぁ...そら。」
「ん?何?」
 何でしょう?何か問題ですか?と言いたげな顔をするそら
「ここは家じゃないんだからちゃんと服着なさい。」
 まるでお母さんの様なことを言うじん
「にぃ、お母さんみたいなこと言うじゃん!」
 と笑いながら言うそら。というかツッコミが被ってしまった。

 じんがお風呂から上がった後、3人は新しい服に着替える。
「おほー!!ちょーかわいいー!」
 めちゃめちゃに興奮しているそらに比べ
「こ、こんなかわいい服...テイに似合いますかね...」
 と、逆に不安になるテイ。しかし
「テイは通常時が可愛いからモーマンタイだよぉおおお!!!」
 そんな事を言いながらテイを強く抱き締めるそら
「そ、そうでしょうか...」
 しかし若干俯くテイ。するとそらはテイの肩を掴み、そしてテイの顔を真正面から見る。
「うん!こんだけ可愛かったら、にぃももっとテイの事好きになるよ!」
 超絶笑顔で、フンスっと鼻から空気が出ているそら。すると
「そ、そうでしょうか....」
 と顔を赤面させるテイ。
「そーだよ!!にぃは身内にはちょー優しいから!!」
 そんな事を言いながらまたテイに抱きつくそら
 一方その頃、じんは。
「...それにしても高級感がなくて、けどそこはかとなく、オシャレ感もあり...超いい服だな」
 どこまで動けるのか等、貰った服の利便性を確かめている。

「あの人、超絶かっこいいよね...」
「分かる...人とは思えないくらい...」

 ただ服の色々を確かめているだけなのに、館のメイドがじんの姿を見ただけでとろけている。どうやらじんの顔のレベルの良さは異世界だろうが全然変わらないようだ。
 この服でいいかな...と思いつつ着替え室から出ようとドアノブを掴んだ瞬間。
「にぃー!!」
 とそらが勢いよく開ける。
「うぉぁ!?」
 じんはドアノブを持っていた為、そらの方にもたれかかってしまう。
「おぶっ...」
「およ...」
 その結果、じんは、そらの胸に顔がうずくまってしまう。
「へへへ~...にぃ、そこまで私に抱きつきたかったの?」
 内心ドキドキしながらも、にやにやするそら
(...別にこのままでも幸せだし別にいいんだが...)
「そりゃ、いつでもそらの事ハグしたいけど、今回に限っては事故だ」
 とそらから離れるじん
「まぁたしかに事故ではある」
「そうだろ...ってかあれ?テイは?」
 とテイが居ないことに気づくじん
「あれ?さっきまでそこにいたんだけどなぁ...」
 そらはそう言いながら自身の後ろを見る。するとそらの後ろからチラッと顔を出してきた。
「...テイ、そこにいたのか」
「えと...あの...」
 テイが近くにいたのはほっとしたが、何やらそらの後ろから離れたくない理由があるみたいだ。
「どうした?テイ」
 屈んで優しく聞くじん
「うぅ...」
 だが目を逸らすテイ。
(本当にどうしたんだ...?俺がなにかした訳でもないから...何かあったのか?)
 なんて考えているとそらがテイに言う。
「にぃなら大丈夫だから」
(何が大丈夫なんだ...?)
 するとテイが
じん様...」
 とまたおずおずとじんに話しかけるテイ。
「ん?どうした?」
 とさっきと同じように優しく言う。
「に、似合わないなら似合わないって言ってください...」
 と言い、テイはそらの後ろから離れ、じんの前に出る。だが、その衣装はとても似合っており、まさに美少女と言っても過言では無い...いや美少女そのものの可愛さをしている。
(ヤバい...テイが死ぬほど可愛い!!なんだこの子!こんなのテイコンになります!!)
 そんな気持ちを抑えながら、じんは落ち着いて喋る。
「とっても似合ってるよ。テイにぴったりの服だ」
 するとパァァアアっと顔が明るくなり
「本当ですか!」
 超絶目をキラキラさせる。
「あぁ、本当だよ」
 と優しい笑顔をしているじん。だが内心。
(ヤベェ普通に吐血しそう。可愛すぎる。さっきの笑顔と言い、テイが尊すぎる。本当にこの子が奴隷にならずに済んで良かった...もうこの天使は絶対に離さん。)
 と、ある種覚悟が決まったじんであった。

 そうして着替え終わった3人は、廊下を歩きながら話す。
「しかし...まだここに来たばっかだから、まだ金を持ってないんだよな...」
 転生での鬼門。資金問題に突入するじんたち。
「そうだよねぇ...職業何があるか分からないし」
(後、職を探す場所も分からない...更に言うと、この世界の情報をなるべく多く取りたいから、どこの国でもできる職がいい...そっちの方がメリットは多いしな...)
 するとフィルロッテ伯爵と出会う。
「御三方、着替え終わりましたか」
「本当にありがとうございますフィルロッテさん。」
「最高だよ~!」
「あ、ありがとうございます!!」
 3人それぞれがフィルロッテ伯爵にお礼する。
「いえいえ、まだまだ足りないくらいですよ」
 とてつもなく心が広いフィルロッテ伯爵。
「ところで、先程...金銭関係のお話されていたようですが...もしかしてお金が無いのですか?」
 と痛い話をされるじん達。
「そうなんですよね...それにまだ職にも就いていなくて...」
 正直職に就いていないのはさすがに厳しい為、その事を嘆くと
「そうなのですか!では、私の方からギルドへ連絡しますので、まずはギルドへ行って、ギルドカード等の作成等をしていただけばと」
 フィルロッテが手続きをしてくれる事に。
「ほ、本当に良いのですか...?」
「あまりに太っ腹すぎる...」
「逆に怖いです...」
 あまりに色々なことをしてくれるせいか、逆に怖がる2人。
「あのモンスターを倒してくれたことに比べたら、こんなの全然平気ですよ」
 とニコニコ笑顔でフィルロッテは言う。
(ただまぁ、この厚意を受け取らないとマジで何も始まらないからな...素直に受け取るしかない)
「ではお願いしてもよろしいですかね...」
 申し訳ないながらもフィルロッテに頼むじん
「はい!もちろんです!」
 何故か気分が良くなったフィルロッテ。そしてそのまま外へと向かっていった。
(もしかしたらフィルロッテさんは奢りたがりの人なのか...?元の世界にもそういう人がいたというのは聞いたことがあるしな...)
 そうしてトントン拍子に事が進み、ギルドへと向かうことに。

「ここが、ギルドの登録所でございます」
 そう言いながらフィルロッテが開けると、建物の中にいる人たちがこちらを見る。
「ひっ...」
「大丈夫だよテイ~...落ち着いて~」
 とそらがテイを撫でて落ち着かせる。
「フィルロッテ様だ...」
「ほんとだ...」
 とザワザワし始める。
「お話の通りにして頂けると助かります」
「承知致しました。フィルロッテ様」
 とフィルロッテは、登録所の人とちょっと話してこちらに来た。
「ではじん様。私はこれで」
 フィルロッテはじんにそう言い登録所を出た。
(マジで何から何までありがたいな...人運は当たりも当たりだな...)
 そんなことを思っているとそらがひそひそ話をしだす。
「ねぇ、にぃ」
「...ん?どうした?」
「思ったけどさ、この世界の法律ってどうなんだろうね。テイみたいな子供でも働けるのかな...?」
「...確かに気になるな」
そらの言った通りだ。この世界は15歳以下でも働けるのだろうか...話が進みすぎてそこの点を考えていなかった...阿呆だ。俺は...だが、フィルロッテさんは不都合無くテイをここに紹介した...つまりはそういう事だろうか)
「...じん様...?」
「あっ...ごめんごめん」
(どうやら新しい環境にいると、俺は考えすぎてしまうらしいな...。気をつけなければな)
 気を引き締めた瞬間。登録所の人がこちらに近づいて来た。
じん様、そら様、テイ様ですね。」
「はーい!そうです!」
 超元気よく返事をするそら
「話は伺っております。奥へお入りください。」
 そう言われ、奥の扉へと向かう。
「失礼します」
 と俺が言うと
「えと...失礼します!」
「し、失礼します...?」
 またもや2人が真似をする。
(本当に可愛い。やべーい。)
 キュンキュンしながら中に入る。
「初めましてだな!ここのマスターをしているギルドだ!よろしくな!」
(声でけぇな)
「...よろしくお願い致します」
 そう言い頭を下げるとそらが小声で
「ね、ねぇ...にぃ。この人の名前ギルドだって」
 じんに話しかける。
「...うんそうだね」
「ギルドマスターがギルドって面白いね!」
 と目をキラキラさせるそらじんそらは一卵性の双子だが、笑いの感性だけは一致しない。いや、まずじんが笑うことがない為、一致することがないのだ。

「ところで、職を探してんだって?」
 ギルドさんは俺たちに質問し始める。
「はい。出来ればこの世界を旅しつつ、適度にお金が貰えて、この子も出来るような職があればいいんですが...」
 とテイを撫でながら提案してみる。
「んー...子供向けって訳では無いが...その条件下だと冒険者が1番丸いな...」
「冒険者ですか...」
「冒険者!!やってみたい...!!」
 冒険者と言い言葉を聞くや否や、目をきらきらさせ立ち上がり、拳をシュッシュッとシャドーボクシングをするそら
「出来る?テイ」
「テイは...こ、怖いですが、じん様とそら様がやるのであれば、やる覚悟はありますよ...!!」
 とやる気を見せるテイ。
(だが心配だ...おそらくまだ15も行ってないだろう...そんな子と一緒に戦うのは...)
 テイの事でずっと悩んでいると、ギルドが提案する。
「そうだなぁ...そこまで悩むんなら、あんちゃんが冒険者で、その子がヒーラー。でそこの立ってる子が戦う系の職に付けばいいんじゃないか?」
「...良いじゃんそれ!」
「確かにそれが一番良いかもしれないな」
「テイ...ヒーラーですか...?」
 テイがそう聞いてきたので
「あぁ、そうだ」
 と笑顔で答える。
「まぁ、ヒーラー適性があるかは分からんがな!」
「え!」
「て、適正...?」
(なるほど...そういうのもあるのか...テイにヒーラー適性があればいいが...)
「せっかくだし、適性があるかどうか見てみるか!」

 そんなこんなで磨かれた魔晶石に手をかざすことに。
「まぁまずはあんちゃんからだな」
 そう言われ、俺はその磨かれた魔晶石に手をかざす。
「っと...こ、これは...なんだこれ...こんなステータス見たことないぞ...!!」
(謎の声も言っていたが...やはり元の世界での能力をそのまま引き継いで、尚且つこの世界に入った瞬間に底上げされてるな...だからこんな反応するんだろう...)
 なんてことを思いながらステータスを見せてもらうと
「...何だこれ」
「見ーせて!」
 体力:100
 魔力:450
 知力:450
 防御力:85
 攻撃力:635
 状況判断能力:500
 能力:未来予知レベルの頭脳
(平均がどんなものか分からないが、どうやら俺は所謂最強状態で生まれたみたいだな...ただ、防御力が他と比べて低くないか...?)
 なんてそんなことを考えていると、ギルドさんが喋り出す。
「あ、あんちゃん...このステータス、〝四星魔導師フィアスター〟と何ら遜色ないぞ...寧ろ、何もしてなくてこの状態なら歴代最強の魔導士だぞ!!凄いな!こんな天才生まれて初めて見た!」
「天才なのかー!!にぃやっぱ凄いねー!!」
「や、やっぱりじん様、凄い強いですね...!!」
 そらにベシベシと背中を叩かれる。
(どうやらここでも天才扱いされるらしいな...転生直前の謎の声が言ってた通り、どうやら元の世界での才能が数値化されるみたいだな...)
「お次はそこの姉ちゃんだな!見たところ双子だから、もしかしたら姉ちゃんも天才かもな!」
 とギルドさんの期待が増す。
「どんなものかなー!!」
 とそらも手をかざす。
(まぁ...事実、妹は天才だしな。それがこの世界で強化されているのであれば、間違いなくフィジカル最強だろう。)
 そして、そらのステータスが明らかになる。
「おっ...明らかになったぞ!」
「おー!どーだ!?」
 超ワクワクしながら結果を見るそら
「こ、これもすげぇステータスだ...」
「おほー!!」
 体力:500
 魔力:5
 知力:50
 防御力:500
 攻撃力:???
 状況判断能力:0
 能力:人間離れしたフィジカル
「まさか2人共、上限値があるなんてな...驚いた」
「え!?上限値!?」
「あぁ!ステータスには上限値って言うものがあってな、その上限値が500なんだ。」
「ほぇー!」
「す、凄いです...!!」
「ただ、その上限値500は天才と呼ばれる存在で、本来2000年に一人の存在なんだが...さすが双子だな...2人で上限値3つもあるぞ...」
 二人が盛り上がっている。が、
「盛り上がってるとこ悪いが、なんでそらの攻撃力は数値出てないんだ?」
「...はっ!確かに数値化されてない!!」
 と今気づくそら
「あー...それはだな...攻撃力は基本的に体力、魔力、防御力を足されて数値化する為、上限値が700なんだ。」
「えー!そうなの!?」
 そらは頭を抑える。
「ほとんどの人は攻撃力600を超えることすらないんだ...だからあんちゃんの攻撃力600越えは本当にヤバいんだが...」
「そういう事か...。」
 じんは即座に理解した。
「理解してくれて助かるよ」
 そうギルドは言う。
「つまり...どゆこと??」
 だが、そらは理解出来ていない。その為、じんが噛み砕いて説明する。
「分かりやすく説明すると、そらのステータスが数値化されないのは数値が大きすぎてエラーを起こしているんだ。」
「...エラー?」
「あぁ、俺の場合体力、魔力、防御力を足しても上限値の700を越えないが、そらだと700をゆうに越えてしまう。だから数字が出ないんだ」
 じんはとても分かりやすく伝える。
「なるほど!!そういうことか!」
 これには流石のそらも完全に理解した。
「つまり私の攻撃力は1005ってことね!」
「あぁ...そうだな。合ってるぞ」
 そう言い、そらの頭を撫でる。
「えへへ~」

「じゃあ、次はテイだな...」
「ヒーラー適性頼むー!!」
 2人は願う。なるべくテイに危険な思いをさせたくないからだ。危険になっても自己回復はできるように...と。
「き、緊張します...」
 テイは魔晶石をかざす前に手が震える。
「大丈夫だ。落ち着いて...目を閉じて俺らを思い出すんだ」
 そう言ってじんは、テイの背中をさすり落ち着かせる。
「ふぅー...」
 心を落ち着かせながら魔晶石に手をかざす。
「おっ。結果が出たな」
 体力:150
 魔力:350
 知力:250
 防御力:100
 攻撃力:600
 状況判断能力:300
 能力:魔法の精密さ
「おぉ...!!全て平均以上で、更に魔力に長けている!ヒーラーいけるぞ!」
「良かったねー!!テイちゃん!」
 そらはテイをぎゅーっとハグする。
「はい!!良かったです!!」
(俺も嬉しい...これでヒーラーじゃなかったらもしもの時どうしようも出来ないからな...)
「それにしても全員攻撃力600越えって...凄いな君たち...」
 と若干引き気味のギルドさん。
「ねね、ふと思ったんだけどテイって何歳なの?」
「え?テイは11歳です...」
「へぇー!」
「そうなのか...」
「11歳なのか!?」
 テイの年齢発表で1番驚いたのはギルドさんだった。
「え、あ...は、はい...そ、そうです...」
 そんなギルドに困惑気味のテイ。
「11歳でこのステータスなら確実に天才少女だ...!!もっと話題になってもいいはずだが...」
「まぁ、良いじゃないですか!ギルドさん!」
「私たちの自慢の家族ですから!」
 そらは超絶笑顔でそう言う。
「君たちは本当に仲がいいんだな...」
「はい!!」
 そうそらは言い、俺とテイと肩を組む。

「よし!これで君たちの冒険者としてのステータスが明らかになったところで、君たちに1番合うジョブを無償で与えよう!」
「おー!!」
「兄ちゃんにはやはり魔法使いだ。まぁ兄ちゃんの場合、魔法使い所では無いけども...」
(さっき魔導師とか言ってたもんな...)
「ウィッチだ!良いね!にぃ」
「いやそれ魔女って意味だよ」
 そらにツッコミを入れるじん
「姉ちゃんには格闘家だな。やはり攻撃力があまりにも高すぎる。格闘家と言うより本気の殴り一つ一つがメテオレベルの人とは思えない威力を放つ格闘家だが...」
「おー!!メテオパーンチ!!」
 そんなことを言いながら目をキラキラさせるそら
「そして君にはヒーラー。だな?」
 とウィンクしながら言うギルド。
「...!!」
 おの口をしながら無言で目をキラキラさせるテイ。
(可愛すぎか...!!!)
 そしてそのテイを見た2人。
(本当にこの双子はこの子のことが好きなんだなぁ...それが伝わってくる。まるで子供を育てている感じで...とてもいい関係だ)

「では、本日はありがとうございました」
「ありがとー!!ギルドさん!!」
「あ、ありがとうございました...!」
「おう!!またいつか会えたらなー!」
 そうして、じんたちはギルドさんのところから離れる。
「それにしてもちょー凄かったね!」
「ふんふん!」
「ね!」
 そらとテイが喋っている横で考えているじん
(あの後、ギルドさんにも聞いたが、四星魔導師フィアスターがどんな存在なのか、俺たちに害があるのか気になるな...それにギルドさん、変な事も言ってたしな...)

「───四星魔導師フィアスターが気になる?いいぜ!教えよう!俺の知ってる限りだがな」
 ギルドさんがそう言った為、じんは質問をする。
四星魔導師フィアスターって言うからには、やはり強いんですか?」
「あぁ、他の魔導師や魔法使いとは比べ物にならないくらいに強い。魔法の質、精密さ、発動の速さ、種類の多さ、どれをとってもな。」
「...その人たちは、何年生きてるんですか?」
「さぁ...それは聞いたことないな...だが、俺の生まれる前...36年以上前から四星魔導師フィアスターは存在しているらしいが...」
(36年以上前...その間、変わってなくて、見た目年齢が若かったら確定で人以外の種族だな...)
「もしかして兄ちゃん。四星魔導師フィアスターを目指すのか?」
(圧が変わった...な、なんだ...?もしかして四星魔導師フィアスターってのは相当ヤバいやつなのか...?)
「いや、そういう訳では無いんです。ただ気になっただけで」
「そうかそうか!」
(圧が無くなった...)
「だが一応言っておくと、四星魔導師フィアスターは気をつけろ。あいつらは人の命を重く感じてねぇ」
「...えっ?」
「更に言うと四星魔導師フィアスターは全員、人の前には絶対現れないんだ」
「...それはどういう?」
「しかもあいつらは魔法使いを殺し回ってるって言われてる」
「...魔法使いを...殺し回ってる...?」
「あぁ、なぜだかは知らんがな」
「俺が知ってるのはこんだけだ、あいつらは謎が多すぎてこれくらいしか情報が無い...」
「いや、大丈夫です、ありがとうございます」
 ギルドさんに礼をする。
「また何か困ったら俺のところに来いよなっ!」

(...一体、四星魔導師フィアスターとは何者なんだ...?)
「にぃ?どうしたのー?」
(まぁ今考えても仕方ないか...とりあえずはそらとテイを守ることに徹しなきゃな)
「...んや、何でもない」
 そうして、じんたちはフィルロッテの館に戻る。
「帰ったら早速、この街から出る準備するぞ」
「えっ!もしかして...始まるの!?」
 今にもぶんぶんと振ってる尻尾が見えそうな程に興奮するそら
「あぁ。明日から俺らの旅が始まる」
「そ、そうなのですね...ちょっとだけ緊張します...!!」
「大丈夫!テイちゃん!私達がいるから!」
 ウィンクしながら言うそら
「そうだな...俺たちがいるから安心しろ...テイ」
 じんはテイの頭を優しく撫でる。
「...はい!!」
 安心したテイは笑顔で答える。
「いやー!!楽しみだなぁー!冒険!」
そら。寝不足状態になるなよ。遠足じゃないんだから...」
「分かってるよ!」
「...ふふっ」
「ん?どうした?テイ」
 笑い始めたので聞いてみると、笑いながら
そら様って、犬みたいで可愛いです」
 と答える。
「えっ!?そうかなぁ...?」
「...たしかにな、そらは犬みたいだ。」
「人懐っこくて、新しいことに好奇心旺盛で、撫でられたら喜んで、可愛い」
「そうですよね...!!」
 ここに来て初めてテイと意見が一致する。
(テイと意見が一致した...嬉しい...)
「ふへへ...」
 ニマニマとゆるゆるの顔をするそら
「ほら可愛い」
「そーんな褒めないでよにぃ」
 さらにゆるゆるになるそら
(というか、この世界にも犬はいるんだな...動物の環境は元の世界とそこまで変わってないのか)
 ゆるゆるなそらを撫でながら考えるじんと同じくそらを撫でるテイ。
「早く帰るぞ。支度しなきゃな」
「あ!そうだった!!」
「そうでした...!!」
 そうして三人は和気あいあいとしながらフィルロッテの館へと戻る。

(明日の為に準備しなければな。そして今後の目的は国々を旅しつつ、四星魔導師フィアスターについての情報をゲットする事だな...情報はいつ何時でも最強の武器となるからな...ゲットしておいて損することは無いだろう...それにしても人の命を何とも思ってない連中か...厄介なやつらになりそうだ)
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