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ビビりとモフモフ、冒険開始
昼食後は夕食の食材調達
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テーブルが1つだと、絶対足りないんで、おとーさんに追加で2つ出して貰った。
ソテーのお皿とゼリーの器を並べて、パンは山盛りでドンッと各テーブルの真ん中に置く。
「この量作ってくれたの?!」
「絶対大変だったよね!?」
「す、凄い…旅の途中で、こんな料理が食べられるなんて…!」
「私ら、ほぼ何もしてないのに、良いのかな……?」
「いーのいーの、召し上がれ~w」
『『『『『『『いただきます!!』』』』』』』
馬車の番をしてくれてた、女性冒険者さん達が困惑している。
あの状況で、護衛役として着いて来てくれたんだもん。
ご飯と寝床は、こっちが提供するよ。
気になるなら、後で村の周辺見回りお願いしようかな。
モフモフとチビ化ドラゴンさん達で、1つのテーブルを占領する。
椅子に乗ったりテーブルに乗ったりして、いざモグモグタイム!
俺も、ぽふっと擬人化解いて、仔犬サイズでお邪魔しまーす♪
『なあ、ミライ。』
『どった、ラルフ?』
『…どうやって食べれば良いんだ…?』
『嘴皿に突っ込んで、直食いじゃね?』
『…………………』
そういや、ラルフ貴族だったね!
皿に顔を突っ込むなんて、小さい頃でもやったこと無いんだろう。
『ラルくん、風でナイフとフォークを浮かせれば、使えるのです』
『その手があったか…!』
鳥がナイフとフォークで食事…だいぶシュールだな。
詩音とレナさんは、躊躇なく噛みついてる。
ウサちゃんは、ケイトさんに、食べさせて貰うらしい。
「お嬢様、あ~んですよ~♪」
『あーん…むぐむぐ……ごくん♪鮭、脂乗ってて美味し~い♪鰻ふわふわ~♪王都に寂れた魚屋さんはあるけど、家の料理人魚捌けないのよね~。』
『その魚屋さん、近々救済予定だよ。』
『あら、本当?てことは、美味しい魚料理が、王都で広まるのね!絶対家でも出してもらうわ!』
ウサちゃんも、魚好きなんだね。
詩音もどっちかっていうと、魚派なんだよ。
『はむはむ……鰻のソテーって、初めて食べました!ふっくら焼けてて、美味しいです!』
『鰻って言ったら、ほぼ蒲焼きしか出てこないもんな。俺も初めて作った。』
『あの、泥塗れの蛇が、このような料理に成るとは…!』
『コレは、主に教えれば、ひっくり返りますぞ!』
『うむ、以前主が丸ごと素焼きしたモノは、とても食べ物とは思えん出来だったからなぁw』
マルーティアさん、蛇の丸焼き平気なタイプか。
詩音の前ではやらないでね?
「これ、お肉じゃないの?!」
「魚類って、アレだよね?水辺に潜んでて、常に異臭放ってる、倒しても丸ごとドロップしちゃうモンスター!」
「売ってる店があるのは知ってたけど…こんな味だったんだね!」
「ほんと、こんなに美味しいと思わなかった!お爺ちゃんは、昔食べたことあったんだっけ?」
「ええ。15年程前までは、王都の魚屋で切り身が売っておりましたので。」
殆どの人が、魚を食べなれてないんだなぁ。
皆、DHA取ろうよ。
『おいも、あまくて、ホクホク♪』
『シャケって美味しいね~♪』
『魚とバターって、合うんだね!』
『ウナギも、見た目は怖いですが、食べてみたら美味しいのです♪』
モフモフ達にも好評、と。
あー、コレもレシピに起こさなきゃ…。
『……ミライ、この果物を包んでいる物は…何だ?』
『ゼリー。』
『……』
『葡萄味のゼリーだよ。』
『恐ろしく嫌な予感しかしないのだが。』
『気のせい気のせい、大丈夫大丈夫。』
『むむ……まあ、セレスティアの料理も、アレにしか見えぬ割に味は良いからな…むぐ……ん、コレはなかなか悪く無い。牙の生え揃わぬ幼獣でも、安全に食べられそうだな。』
よっしゃ、おとーさん気付きかけたけど、誤魔化されてくれた!
『ゼリーの作り方解ったし、今度私も作ってみようかなー。お母様も、甘いもの大好きなのよね。』
『アタシも、コレなら作れる気がするわ。ママが喜びそう♪』
『確かに、アレだけでできるなら、俺でも…』
『私でも、できるかもしれません!』
『詩音はやめとけ。』
『何でですかぁ~っ!!』
お前だけは、冷蔵庫にボウル入れようとして、スッ転んでひっくり返すのが、目に見えるんだよ。
『小梅、色々作ってみたいです♪』
『いろんな色の作って、混ぜても楽しそうだよね~♪』
『シオンちゃんが貰ったメロンも、合うんじゃない?』
『メロンのゼリー?』
『メロンゼリーって言われると、オレンジ色の、スプーンで掬った後にジュワ~って果汁があふれる、北の御歳暮が思い浮かぶな……。』
『いただいたメロン、赤肉でしょうか。』
メロンと言えば、熟した赤肉メロン。
皮のギリギリまで、スプーンで掘って食べるの好きだったなぁ。
───────
──────
─────
さて、モグモグタイムを終えて、片付けも終了。
何しようかな?
お買い物はしなくちゃだけど……宿泊施設の前に、列を成してエンジェルラビ像を拝んでる、村の人達もどうにかしないとダメそうだし…………。
『ミライ、食材の残量は大丈夫か?』
『実は割りとヤバい。野菜はこの村にも、緑風屋あるから大丈夫だけど…たんぱく質系がね。』
『1度、ヒノワ村でも行くか?あそこの森なら、ベアが獲れるだろう。』
狩りかぁ。
そういや、獣状態で『ご飯用』に狩ったことって、まだ無いぞ。
良い機会かも。
『おとーさん、狩り教えて。』
『狩りか…ふむ……。この人数なら、超大型モンスターが良いだろうな。……ガルヴァが来てくれれば、お前達にスターホエール狩りを見学させてやれるが…。』
『度々話題に出てくるその鯨、超気になるけど、できれば兄ちゃん巻き込まない方向で。』
スターホエールって、そんなに美味しいの?
おとーさんの大好物で、1頭丸ごと食べちゃうとは聞いたけど。
『…そうだな…あの場所なら……よし、ミライ。共に食材調達へ行こうか。』
『何獲るの?』
『それは、着いてのお楽しみという奴だ。それっ!』
『おわぁっ?!』
首の後ろを軽く咥えて持ち上げられ、ポイッと上に投げられて、おとーさんの背中に着地。
いくら俺が仔犬サイズだからって、背負わんでも。
[少し出かける。留守を頼むぞ。]
「畏まりました。」
「行ってらっしゃーい♪」
「狩りですか?気を付けてくださいね。ミライも居るなら、尚更です。」
『うむ。』
『小梅も行くです!』
『おう、おいでおいで♪行ってきまーす!』
おとーさんの空間転移で、瞬く間に狩場へ到着。
なんだか薄暗い、遺跡みたいな雰囲気の場所に出た。
『ここどこ?』
『成獣前の子に、狩りの練習をさせている、ダンジョンだ。お前達に、狩ってもらおうと思ってな。』
『…目の前に、ボス部屋っぽい扉が見えるのです。』
『最初からクライマックスは、ご遠慮願いたいなぁ…。』
『なに、このダンジョンには、ボスを含めて仔狼でも狩れる獲物しか出ない。安心して開けると良い。』
そなの?
『よいしょ。小梅、一緒に開けようか。』
『はいです♪』
小梅と同時に、軽く肉球で押すと、簡単に開いた。
さて、何が出るかな?
俺達が中に入った途端、勝手に扉が閉まる。
同時に、上からデッカイ何かが、降ってきた。
ズズンッ!!
と音を立てて、半ば床に埋まるようにして着地したそれは
『ブルルルルァアアアアッ!!』
お屋敷並みにデカい、猪だ。
鳴き声うるさっ!
つか、どんだけ重いんだよ、コイツ。
今、着地の衝撃で、俺一瞬浮いたぞ。
『よく来たな、チビウルフにチビキャット!どんな気分だぁ?普段食っているであろう、ボアに襲われる気分はぁ!!さあ、観念しろ!貴様らのようなチビは、ひと呑みにしt』
『喧しい。』
ベシーンッ!!
『ブギャーッ!?』
うわ、喋ってる途中で、肉球アッパーを顎にクリティカルヒットとか、容赦ねぇ。
死なない程度に加減したっても…大怪我は免れないってか、普通に瀕死に成るんじゃ……。
ってかさ……
『おとーさん。』
『どうした?』
『……すげー嫌な予感するんだけど、アレなに?』
『カリュドーンだ。』
『いやソレ、ギリシャの英雄が集って、何人か死にながらも頑張って狩った奴じゃね?!』
つか、カリュドーンって猪の名前じゃなくて、国名じゃなかったかな?!
『総長さん、あの猪は、元の世界にも居たのです?』
『あ、うん。神話的なやつに出てくるんだよ。って、おとーさん!!仔狼でも狩れる獲物って、言ってたよね?!俺、さっきアレの着地の衝撃で、浮いたんだけど?!』
『はっはっはっwそう不安がるなw』
何その、幼児が中型犬にビビってるのを眺めるような、微笑ましそうな反応は!
『他の1歳未満の子なら、まず連れて来ないが…お前なら大丈夫だろう。ガルヴァとデイヴィーは、1歳の誕生日に、単独無傷で狩れたぞ。』
『あの双子基準にしないで!』
『小梅も、サポートするです。総長さん、一緒に頑張るのです♪』
『よっしゃ、かかって来いやデカブツーっ!!』
小梅にそう言われちゃ、男を見せるっきゃねーな!
滾る闘志で、尻尾もブンブン揺れてるぜっ!
『ブヒィ…ブヒィ……こ、この…やりやがったな、金ぴかウルフめ…!』
『おお、割りと元気。』
『かなり軽くしたからな。』
『纏めて轢き潰してやるっ!!ブルルルルァアアアア!!』
お、突っ込んできた!
『カモーン♪お仕置きの時間だよ、ベイビー!』
『転ばせてやるです。とどめを、お願いなのです。』
『了解~。』
『3・2・1…今です!』
『ぬっ?ブヒィーっ!?』
小梅が絶妙なタイミングで、後ろ足を砂で絡め取り、スッ転ばせる。
そんじゃ、眉間にキッツいの1撃いっとくか!
『さあ良く見ろ、この小さな肉球をっ!!』
『くっ、あ、足が抜けん……』
『この肉球は……』
元の大きさ(体長約2メートル)に戻って、と。
『は?』
『お前の眉間に、風穴を空ける肉球だぁーっ!!』
『肉球より爪っ…頼むから爪を引っ込m…ブギャァアアアアッ?!』
ボゴンッバキャッ!!
やった!猪の眉間に穴は空いてないけど、おもっきし陥没したぞ!
なんか割れる音もしたし、コレは無事じゃないだろ。
うんうん、大きな毛皮と直径10センチくらいの魔石と蹄に、でっかぁ~いお肉の塊がドロップした。
コレで、夕食も大丈夫だね!
『2体とも、良くやった。』
『いぇーい♪小梅、ハイターッチ♪』
『いぇーいなのです♪』
『フフフwでは、帰りがてら…このダンジョンを逆から攻略しようか。なに、全10階程度のダンジョンだ、1時間もあれば抜けられる。』
『…………へ?』
帰り道には、ワイルドボアが沢山出たから、残さず狩った。
……コレだけ普通の猪居たんなら、カリュドーン狩ること無かったんじゃ……。
あと、罠とかあるなら、先に言って!
ソテーのお皿とゼリーの器を並べて、パンは山盛りでドンッと各テーブルの真ん中に置く。
「この量作ってくれたの?!」
「絶対大変だったよね!?」
「す、凄い…旅の途中で、こんな料理が食べられるなんて…!」
「私ら、ほぼ何もしてないのに、良いのかな……?」
「いーのいーの、召し上がれ~w」
『『『『『『『いただきます!!』』』』』』』
馬車の番をしてくれてた、女性冒険者さん達が困惑している。
あの状況で、護衛役として着いて来てくれたんだもん。
ご飯と寝床は、こっちが提供するよ。
気になるなら、後で村の周辺見回りお願いしようかな。
モフモフとチビ化ドラゴンさん達で、1つのテーブルを占領する。
椅子に乗ったりテーブルに乗ったりして、いざモグモグタイム!
俺も、ぽふっと擬人化解いて、仔犬サイズでお邪魔しまーす♪
『なあ、ミライ。』
『どった、ラルフ?』
『…どうやって食べれば良いんだ…?』
『嘴皿に突っ込んで、直食いじゃね?』
『…………………』
そういや、ラルフ貴族だったね!
皿に顔を突っ込むなんて、小さい頃でもやったこと無いんだろう。
『ラルくん、風でナイフとフォークを浮かせれば、使えるのです』
『その手があったか…!』
鳥がナイフとフォークで食事…だいぶシュールだな。
詩音とレナさんは、躊躇なく噛みついてる。
ウサちゃんは、ケイトさんに、食べさせて貰うらしい。
「お嬢様、あ~んですよ~♪」
『あーん…むぐむぐ……ごくん♪鮭、脂乗ってて美味し~い♪鰻ふわふわ~♪王都に寂れた魚屋さんはあるけど、家の料理人魚捌けないのよね~。』
『その魚屋さん、近々救済予定だよ。』
『あら、本当?てことは、美味しい魚料理が、王都で広まるのね!絶対家でも出してもらうわ!』
ウサちゃんも、魚好きなんだね。
詩音もどっちかっていうと、魚派なんだよ。
『はむはむ……鰻のソテーって、初めて食べました!ふっくら焼けてて、美味しいです!』
『鰻って言ったら、ほぼ蒲焼きしか出てこないもんな。俺も初めて作った。』
『あの、泥塗れの蛇が、このような料理に成るとは…!』
『コレは、主に教えれば、ひっくり返りますぞ!』
『うむ、以前主が丸ごと素焼きしたモノは、とても食べ物とは思えん出来だったからなぁw』
マルーティアさん、蛇の丸焼き平気なタイプか。
詩音の前ではやらないでね?
「これ、お肉じゃないの?!」
「魚類って、アレだよね?水辺に潜んでて、常に異臭放ってる、倒しても丸ごとドロップしちゃうモンスター!」
「売ってる店があるのは知ってたけど…こんな味だったんだね!」
「ほんと、こんなに美味しいと思わなかった!お爺ちゃんは、昔食べたことあったんだっけ?」
「ええ。15年程前までは、王都の魚屋で切り身が売っておりましたので。」
殆どの人が、魚を食べなれてないんだなぁ。
皆、DHA取ろうよ。
『おいも、あまくて、ホクホク♪』
『シャケって美味しいね~♪』
『魚とバターって、合うんだね!』
『ウナギも、見た目は怖いですが、食べてみたら美味しいのです♪』
モフモフ達にも好評、と。
あー、コレもレシピに起こさなきゃ…。
『……ミライ、この果物を包んでいる物は…何だ?』
『ゼリー。』
『……』
『葡萄味のゼリーだよ。』
『恐ろしく嫌な予感しかしないのだが。』
『気のせい気のせい、大丈夫大丈夫。』
『むむ……まあ、セレスティアの料理も、アレにしか見えぬ割に味は良いからな…むぐ……ん、コレはなかなか悪く無い。牙の生え揃わぬ幼獣でも、安全に食べられそうだな。』
よっしゃ、おとーさん気付きかけたけど、誤魔化されてくれた!
『ゼリーの作り方解ったし、今度私も作ってみようかなー。お母様も、甘いもの大好きなのよね。』
『アタシも、コレなら作れる気がするわ。ママが喜びそう♪』
『確かに、アレだけでできるなら、俺でも…』
『私でも、できるかもしれません!』
『詩音はやめとけ。』
『何でですかぁ~っ!!』
お前だけは、冷蔵庫にボウル入れようとして、スッ転んでひっくり返すのが、目に見えるんだよ。
『小梅、色々作ってみたいです♪』
『いろんな色の作って、混ぜても楽しそうだよね~♪』
『シオンちゃんが貰ったメロンも、合うんじゃない?』
『メロンのゼリー?』
『メロンゼリーって言われると、オレンジ色の、スプーンで掬った後にジュワ~って果汁があふれる、北の御歳暮が思い浮かぶな……。』
『いただいたメロン、赤肉でしょうか。』
メロンと言えば、熟した赤肉メロン。
皮のギリギリまで、スプーンで掘って食べるの好きだったなぁ。
───────
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さて、モグモグタイムを終えて、片付けも終了。
何しようかな?
お買い物はしなくちゃだけど……宿泊施設の前に、列を成してエンジェルラビ像を拝んでる、村の人達もどうにかしないとダメそうだし…………。
『ミライ、食材の残量は大丈夫か?』
『実は割りとヤバい。野菜はこの村にも、緑風屋あるから大丈夫だけど…たんぱく質系がね。』
『1度、ヒノワ村でも行くか?あそこの森なら、ベアが獲れるだろう。』
狩りかぁ。
そういや、獣状態で『ご飯用』に狩ったことって、まだ無いぞ。
良い機会かも。
『おとーさん、狩り教えて。』
『狩りか…ふむ……。この人数なら、超大型モンスターが良いだろうな。……ガルヴァが来てくれれば、お前達にスターホエール狩りを見学させてやれるが…。』
『度々話題に出てくるその鯨、超気になるけど、できれば兄ちゃん巻き込まない方向で。』
スターホエールって、そんなに美味しいの?
おとーさんの大好物で、1頭丸ごと食べちゃうとは聞いたけど。
『…そうだな…あの場所なら……よし、ミライ。共に食材調達へ行こうか。』
『何獲るの?』
『それは、着いてのお楽しみという奴だ。それっ!』
『おわぁっ?!』
首の後ろを軽く咥えて持ち上げられ、ポイッと上に投げられて、おとーさんの背中に着地。
いくら俺が仔犬サイズだからって、背負わんでも。
[少し出かける。留守を頼むぞ。]
「畏まりました。」
「行ってらっしゃーい♪」
「狩りですか?気を付けてくださいね。ミライも居るなら、尚更です。」
『うむ。』
『小梅も行くです!』
『おう、おいでおいで♪行ってきまーす!』
おとーさんの空間転移で、瞬く間に狩場へ到着。
なんだか薄暗い、遺跡みたいな雰囲気の場所に出た。
『ここどこ?』
『成獣前の子に、狩りの練習をさせている、ダンジョンだ。お前達に、狩ってもらおうと思ってな。』
『…目の前に、ボス部屋っぽい扉が見えるのです。』
『最初からクライマックスは、ご遠慮願いたいなぁ…。』
『なに、このダンジョンには、ボスを含めて仔狼でも狩れる獲物しか出ない。安心して開けると良い。』
そなの?
『よいしょ。小梅、一緒に開けようか。』
『はいです♪』
小梅と同時に、軽く肉球で押すと、簡単に開いた。
さて、何が出るかな?
俺達が中に入った途端、勝手に扉が閉まる。
同時に、上からデッカイ何かが、降ってきた。
ズズンッ!!
と音を立てて、半ば床に埋まるようにして着地したそれは
『ブルルルルァアアアアッ!!』
お屋敷並みにデカい、猪だ。
鳴き声うるさっ!
つか、どんだけ重いんだよ、コイツ。
今、着地の衝撃で、俺一瞬浮いたぞ。
『よく来たな、チビウルフにチビキャット!どんな気分だぁ?普段食っているであろう、ボアに襲われる気分はぁ!!さあ、観念しろ!貴様らのようなチビは、ひと呑みにしt』
『喧しい。』
ベシーンッ!!
『ブギャーッ!?』
うわ、喋ってる途中で、肉球アッパーを顎にクリティカルヒットとか、容赦ねぇ。
死なない程度に加減したっても…大怪我は免れないってか、普通に瀕死に成るんじゃ……。
ってかさ……
『おとーさん。』
『どうした?』
『……すげー嫌な予感するんだけど、アレなに?』
『カリュドーンだ。』
『いやソレ、ギリシャの英雄が集って、何人か死にながらも頑張って狩った奴じゃね?!』
つか、カリュドーンって猪の名前じゃなくて、国名じゃなかったかな?!
『総長さん、あの猪は、元の世界にも居たのです?』
『あ、うん。神話的なやつに出てくるんだよ。って、おとーさん!!仔狼でも狩れる獲物って、言ってたよね?!俺、さっきアレの着地の衝撃で、浮いたんだけど?!』
『はっはっはっwそう不安がるなw』
何その、幼児が中型犬にビビってるのを眺めるような、微笑ましそうな反応は!
『他の1歳未満の子なら、まず連れて来ないが…お前なら大丈夫だろう。ガルヴァとデイヴィーは、1歳の誕生日に、単独無傷で狩れたぞ。』
『あの双子基準にしないで!』
『小梅も、サポートするです。総長さん、一緒に頑張るのです♪』
『よっしゃ、かかって来いやデカブツーっ!!』
小梅にそう言われちゃ、男を見せるっきゃねーな!
滾る闘志で、尻尾もブンブン揺れてるぜっ!
『ブヒィ…ブヒィ……こ、この…やりやがったな、金ぴかウルフめ…!』
『おお、割りと元気。』
『かなり軽くしたからな。』
『纏めて轢き潰してやるっ!!ブルルルルァアアアア!!』
お、突っ込んできた!
『カモーン♪お仕置きの時間だよ、ベイビー!』
『転ばせてやるです。とどめを、お願いなのです。』
『了解~。』
『3・2・1…今です!』
『ぬっ?ブヒィーっ!?』
小梅が絶妙なタイミングで、後ろ足を砂で絡め取り、スッ転ばせる。
そんじゃ、眉間にキッツいの1撃いっとくか!
『さあ良く見ろ、この小さな肉球をっ!!』
『くっ、あ、足が抜けん……』
『この肉球は……』
元の大きさ(体長約2メートル)に戻って、と。
『は?』
『お前の眉間に、風穴を空ける肉球だぁーっ!!』
『肉球より爪っ…頼むから爪を引っ込m…ブギャァアアアアッ?!』
ボゴンッバキャッ!!
やった!猪の眉間に穴は空いてないけど、おもっきし陥没したぞ!
なんか割れる音もしたし、コレは無事じゃないだろ。
うんうん、大きな毛皮と直径10センチくらいの魔石と蹄に、でっかぁ~いお肉の塊がドロップした。
コレで、夕食も大丈夫だね!
『2体とも、良くやった。』
『いぇーい♪小梅、ハイターッチ♪』
『いぇーいなのです♪』
『フフフwでは、帰りがてら…このダンジョンを逆から攻略しようか。なに、全10階程度のダンジョンだ、1時間もあれば抜けられる。』
『…………へ?』
帰り道には、ワイルドボアが沢山出たから、残さず狩った。
……コレだけ普通の猪居たんなら、カリュドーン狩ること無かったんじゃ……。
あと、罠とかあるなら、先に言って!
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