ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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ビビりとモフモフ、冒険開始

晴れ時々襲撃

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※またも書いてる途中で寝落ちました…すみません……


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無事出発できたんで、暫く皆には、モフモフボディで動く練習をしてもらおう。
全員、階段を上がれる程度には動けるし、ラルフに至っては練習ゼロで飛んでたから、基本動作は大丈夫。
ならば、必要なのは戦闘用動作。
それを手っ取り早く学ぶには、じゃれ合いが1番!

『てなわけで、モフり合おうぜ!』
『俺もか?』
『うん。大丈夫だって、ロクスケくんも俺達とじゃれてたし。』
『じゃれ合いで、戦うための動きを、練習ですか。』
『シオンちゃん…その動き要る…?』
『草食でも、抵抗できる程度には、動けた方が良いよ。』

まあ、魔法もセレスティアさんの過保護リボンもあるから、そうそう捕まったりしないとは思うけど。

小梅達も参加してね。
皆でモフモフし合うことで、力加減とか物理攻撃とか覚えつつ、癒されようじゃないか。
朝っぱらからあんな事あったんだし、コレくらいの息抜きは必要だよね!

『んじゃ、お手本として…詩音。』
『はい。』
『今から俺、全力でお前をモフるから、頑張って抵抗しろ!』
『え…っ』

つーわけで、覚悟!!
そのフワフワなお腹を、モフらせろー!

『詩音ゲットだぜぇーっ!!』
『ふぇええええっ?!』

モフモフ モフモフ てしてし かみかみ

うん、肉球から伝わる柔らかい毛の感触。
少しぷにっとしたお腹。
いつも詩音から感じる、なんかめっちゃ良い匂い。

『お前ほんっと、触り心地とか匂いとか、女の子だよな。』
『どうせ線細くて小さくて、筋肉ほぼありませんよぉっ!!』
『…じゃれ合いと言うより、捕食だな。』
『ウルフが、ラビを襲ってるようにしか、見えないわね……。』
『実際ちょっと旨そう。』
『食べないでくださいよ?!』

可愛い白ウサギのお腹を堪能したら、今度はグルーミング。
耳は自分でやってね。

かみかみ ペロペロ

『あ、あの…私も舐めたりした方が良いですか……?』
『ハードル高いなら、そこまでしなくていいよ。』

ウサちゃんも、前肢でやってたし。

『レナちゃん、毛繕い教えるのです。』
『で、できるかしら…』
『ラルフ兄ちゃん、ボクらとじゃれよ~♪』
『わぁーい♪』
『待て、鳥ってどうすれば良いんだ…?!』
『嘴で頑張れ。』

あ、陽向の毛には注意な?
嘴に絡むと、口開かなくなるよ。

ん、漸く詩音も、マトモに抵抗してきたな。
そうそう、前肢で俺の顔を押さえたり、ペシペシしたりして。
ウサギの1番の武器は、後ろ足の蹴りだけども、捕まった状態から当てるのは、至難の技だ。

そのまま、詩音が痛くないよう、加減してモフモフしてると

ズドドドドドドドドドドドッ!!

という、牛か馬の大群でも走ってんのかって音が、近付いてきた。

『?!なんか、超高速で此方来て……あ、反応が味方だ。』
『ヤーナさんです?』
『たぶん。』

詩音を解放して、囲いの外を見てみる。
そこには、かなりシュールな光景があった。

「おーまーたーせぇーっ!!」

無駄に美脚な、脚のあるハエトリグサが、蔦っぽいものでヤーナさんを持ちながら、スゲー速度で走って来る。
あんなパックンフ●ワーが居たら、某赤い帽子のナイスミドルも、流石に逃げるんじゃねーかな。

なんて考えてる内に、馬車へ追い付いてきた。

「お疲れ様です、カプル。ヤーナ、ムニュニュ達の方には何と指示を?」
「クソ虫ちゃんには、口に入れても胃に入れちゃダメって言っといたよ!豚野郎には、可能な限り怪我させないで、クソ虫ちゃんのお口へ放り込んでって伝えた!」
「それなら、殺人には成りませんね。安心しました。」

死なないにしても、滅茶苦茶トラウマに成りそうだな。

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─────

さて、ここからは襲撃の様子を、ダイジェストでお伝えしよう。

エントリーナンバー1 男性5人組

彼らは、横に並んで道を塞いでいた。

「おい、止まれー!馬車の中を、あらためさせて貰うぞ!」

という呼び掛けに対して、此方のとった行動は

「ポプラ、気にせず突っ切ってしまおう!たぶん退いてくれる!」
『りょ~♪シグレちゃん、着いて来てよ~?』
『うん!吹っ飛ばしちゃえ~♪』
「ヤーナ、彼らが退いてくださらなか本格的に馬鹿だった時に備えて、救出の準備をお願いします。」
「はいはーい。」

そのまま、全速力で通過である。

『マジで邪魔なんですけど~!』
『バチバチバリバリ~♪』
「おい、止まれって?!」
「いや、ちょ、ほんと止まってくださいお願いします!?」
「ちょっと待て、あの鯨雷纏ってんぞ!?」
「コレ、本気で突っ込んで来る気じゃ…?!」
「やべーぞアイツら!逃げろ逃げろ!」

てな感じで、流石に退いてくれた。命大事に。

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エントリーナンバー2 落とし穴

コレは、地図に例のドクロマークがあったから、ラルフに飛んで確認してもらい、発覚した。

『敵対反応3人、茂みに隠れてるな。』
『落ちるか止まるかした所を、襲うつもりなんだろう。』
『街道に、意図的に穴を掘るのは、重罪よ。遣り口的に、盗賊かもしれないわ。』
『とりあえず…穴は、小梅ちゃんどうにかできますか?』
『できるです。橋を造るのです♪』

てなわけで、落とし穴は普通に通過した。
序でに、犯人らしき3人には、麻痺を付与したハリハリ草を、若葉の投擲でぶっ刺しておく。

「カサンブラの守備隊に通達します。国営街道の一部に、人工的な大穴がありました。場所はゼラニラとカサンブラの間です。犯人らしき者は3名、応急的に麻痺状態としておきました。近くにモンスターの気配はありません。」
[了解しました。通報ありがとうございます。]
[御者さん、それ何?]
「あ、通報用の魔導具です。貴族お抱えの御者には、必ず持たされる物でして。街道に異変があったら、近くの守備隊や衛兵の駐屯所に、連絡する義務があります。」
[へぇ~。]

この後暫くして、ホーンホースに乗った、守備隊とすれ違った。
犯人達は、無事お縄に成ったそうな。

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エントリーナンバー3 超迷惑ドラゴンテイマー

結論から言うと、死ぬかと思った。
相手がまさかの、Sランク・・・・冒険者とか無理だから!!

しかも、襲撃してきた理由がお金じゃない。
『こんな懸賞金かけられた子供達が、どんな強者なのか気になって☆』だそうで。
ヤメロ。ほんとヤメロ。

この時は、俺と小梅の索敵に、高速で飛来する『何か』が引っ掛かった。
ラルフに確認してもらうも、何かしら飛んできてるけど、何かは解らないとの事。
そこで、1番視力の良い俺が、囲いから顔を出して確認。

『え…やっべ、何コレヤッベーぞ!マジでヤバい!とにかくヤバい!!』

同時に俺の語彙力が死んだ。
だって、ビックリしたんだもんっ!!

『どうしました?!』
『何が来てるの?』
『デカトカゲ…じゃねぇ、ドラゴン!!3体!!』
『『『ドラゴン?!』』』

やって来たのは、グリーンドラゴン2体と、リーダーのレッドドラゴン1体。
此方が気付いた事を察知したのか、レッドドラゴンがメ●ガイアー級の火球を放ってきた。

この火球が、ほんともう、どうしようってレベルで

『小梅、盾ぇえええ!』
『はいです!!』

小梅が砂で作ってくれた盾を突き破り

『《バリア》《バリア》《バリア》《バリア》《バリア》!!』

俺が頑張って出した防御壁5枚も貫通し

『《ドラゴ・ストリーム》!!』
『あああああ《アクアブラスター》ァアア!!』

ラルフと詩音の魔法が、正面からぶち当たっても残り

『シオンちゃん、アタシの変身解いて!ミライくん、おにぎり!』
『は、はいっ!』
『了解!!』
「コレで…いっけぇーっ!!」

レナさんが、鬼斬り玉刺した矢を当てると、爆音と共に漸く消えてくれた。
アレでダメなら、おとーさん呼ぼうと思ってたよ。

相手の視界が、爆炎で塞がれてる隙に、レナさんは再びにゃんこへ。
そして、俺が擬人化した。
黒い髪に、黒い眼。人間の耳。
『前世の姿』に化けて、ドラゴンスレイヤーを装備。

『おお!捌き切りおったわ!』
『なかなか、やりますなぁ。』
『幼子のみで、対処できるとは。』
「さっき、この女の子が出て来たし、やっぱり当たりね♪あの黒髪の子は…載ってないけど、お仲間かしら?」

彼方は火球1発撃っただけ。
此方は皆で頑張って、どうにか対処。
このままじゃ、此方が力尽きるのは眼に見えてる。

「その前に…」

相手が人間とその従魔とか、そんなん考えてる余裕も無く

『む、あの子供何をする気だ?』
『あの剣はもしや…!あるじよ、このまま突っ込むのは不味いぞ!!』
「え、何?離れたままが良いの?」

ただ、『皆を護る』それだけを考えて

「撃ち落とす……竜滅剣バルムンク!!」

思いっきり剣を振り抜いた。


さて、ここで問題です。
この後どうなったでしょう。



……正解は……

「すんませんっしたぁ!!」
「まあ、ドラゴンに襲われたなら、仕方ない所もあるけれど…もう少し周囲の事を考えるようにしてくれよ?」
「はいっ!!」

『落とし穴の犯人捕縛して戻る途中の、守備隊の皆さんにめっちゃ叱られた』でしたー。
竜滅剣で、ドラゴン達も大ダメージだったけど、街道も大ダメージに成っちゃって…てへぺろ?

まあ、俺よりも

「マルーティアさん!一般の馬車をドラゴンで襲うなんて、何を考えてるんです!それがSランク冒険者のすることですか?!」
「ごめんなさぁ~い…」
「おまけに、その手配書の子達が、馬車に乗ってると思ったって…何を根拠にしたんです!?よぉっく、見てください!何処にその子供が居ますか?!」
「いやその、どっちかっていうと、強者の気配を感じ取ったっていうか…」
「バトルジャンキーも大概にしてください!」

俺らを襲った方が、大目玉だったけどね!
ドラゴン達は、詩音がヒールで治してあげたよ。

因みに、この後は、かなり平和に進むことができた。

何故なら

『我等を落とすような猛者を、我等が護衛する意味などあるのか?』
『うん。居てくれるだけで、超助かってるよ。』

突然襲った御詫びとして、テイマーさんとドラゴン達が、護衛に加わってくれたんである。
そりゃ皆逃げるよね!

尚、テイマーさんは再出発前に、1回おとーさんの拳骨を食らっている。ざまぁ。
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