ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

文字の大きさ
上 下
236 / 249
ビビりとモフモフ、冒険開始

味方が多いのは良い事だ(一部過剰戦力)

しおりを挟む
馬車の用意が終わると、1人敵対反応が走ってきた。

「その馬車待ったぁー!乗る奴全員、顔見せろ!」
『陽向、ゴー!』
『おやすみ、おやすみ~♪』
「うぉ、羊っ?!…zzz」

そして、秒で眠りに落ちる。

『……念写のみの手配書に、踊らされるだけあって、馬鹿しか居ないな。』
『楽でいーじゃん。』
「お爺ちゃん。私、皆を迎えに行ってくる。馬車には、悪食ちゃんで追い付くから。」
[えーと、悪食ちゃんは、ハエトリグサだっけ?]
「うん。クソ虫ちゃん、苦手なんでしょ?」
[ありがとう、本当にありがとう。]

クソ虫ちゃんこと巨大ワームは、豚野郎ことオークを連れて、地下からボンセットへ先行する。
怪しい奴等を、片付けれるだけ、片付けてくれるってさ。
ワームとオークで大丈夫なのかと思ったけど…聞けば、ギガントワームって、討伐ランクSらしい。
何でも喰う上、むっちゃタフ&ちょっと動けば周辺大惨事。
質量と視界の暴力、侮りがたし。

その分、数が少ない。
おとーさん曰く、育成に成功してるのは、世界でもヤーナちゃんのみなんだとか。
ゲテモノへの愛が成せる技だ。

『ディアドルフさん、何をされているんですか?』
『ロゥミアが、男爵家の馬車へ乗った方が、良いだろう。馬車の内部空間を、入れ換えておいた。』

成る程。
護衛役のお姉さん達が家の馬車にそのまま乗ったら、めっちゃ驚愕させるし、このドア何?って成るもんね。
さて、俺は屋根に乗ろう。

…と思ったら、馬車のドアが開いた。

「やっと来た。」
『わ、超美人!』
『マクベス兄ちゃん!どしたの?』
「父さんに1個だけ質問したくて。とりあえず、入りなよ。」
『む、私にか?』

朝から聞きたいことってーと…やっぱ、今の状況についてかな。
屋根に上るつもりだったけど、ひとまず中へ。
勿論、ケイトさんとウサちゃんも、男爵家の馬車(中身は俺らの馬車)に入る。

「え………あの、一晩で何が……」
『うわ、何コレ?!ミライくん達、こんな馬車乗ってたの?!』
「ヒナタ、ちょっとその2人眠らせといて。」
『はーい!』
「え、ね、寝ればよろしいのですか?」
『ん、まあ良いわよ。やっちゃって。』
『うん!おやすみ、おやすみ~♪』

2人には、聞かせられない話らしい。

「さて、父さん。コレだけ聞かせて。今回の賞金首騒ぎ、ミライ達の勉強の為に、放置してるって認識で良い?」
『勿論。そうでなければ、昨晩の内に私が潰しているとも。』

潰しているって、計画の事だよね?
相手のお家とか、ロリコン野郎本人の事じゃないよね?ね?

「ん、わかった。」

そう言って、兄ちゃんはガチャッと、テントに繋がるドアを開ける。

「全員『待て』続行。」
「「えぇ~っ!!」」

そこには、カラフルな兄姉ズが、全員武器持って待機していた。

『いや、何してんの兄ちゃん姉ちゃん?!』
「残念です…もう落とす島はできてたんですよ?」
「ちぇー。あのムカつくクソガキ、標高1万メートルから、自由落下させたかったなぁー。」
「チッ……」
「調教用の鞭持ってきたのに…お兄様が仰るなら、仕方ないわね。」
「オアズケ、か……。」
「あーあ。パパの意向じゃ、しょうがないね~。」
「仕方ねぇ、帰って鍛冶の続きするかぁ。」

何故俺らのテントに…って、聖域と繋がってたね!!
てか、スゲー物騒な計画立ててなかった?!
あと、ルゥナ姉ちゃん『落とす島』って何?!

待って、説明ゼロで帰らないで!
俺の頭撫でるより、言葉での説明を…!
あ、マクベス兄ちゃん、残るなら詳細プリーズ!

『あの…マクベスさん……国でも滅ぼすおつもりでしたか……?』
「国くらいなら、兄弟皆で来なくても…デイヴィー(全て更地と化す)か、ガルヴァ(かかって来る者皆殺し)か、ジェイク(片っ端から要人暗殺)の内1人が、1時間くらい力振るえば、滅ぶんじゃないの。」
『容易に想像できる辺りが、恐ろしいな……』
『じゃあ、尚更全員で来ること無いわよね…?』
「全員じゃないよ。嫁さんとか息子達とかは、置いてきたから。」
『一族総出に成るとこだったの?!』
「うん。チビ達の危機には、全員で対処が基本だから。」

迂闊にピンチに成れない!

「大丈夫そうだし、俺も帰るね。」
『あ、はい。お気をつけて。』
『またね、兄ちゃん。この旅は俺達の実践勉強だから、ガチで助け求めない限り、心配しないで大丈夫!』
「わかった。父さんだけじゃ、ある意味心配だったけど、母さんも居るし…皆にも、基本心配無用って言っとく。」

兄ちゃんは、空間転移で帰って行った。
うん、味方が多いのは嬉しいけど、過剰戦力過ぎて恐い。

───────
──────
─────

さて、獣状態のまま、屋根に移動して出発進行!

今回は、俺達の馬車の御者席に、トルテアさんが座ってるため、若葉も屋根だ。
そして、皆屋根ならと陽向も上がりたがったんで、階段を設置。
更に、変身中のラルフとレナさんも乗って来ると、詩音も上って来た。
詩音と陽向の落下防止のため、屋根の四方を砂の壁で囲んである。

『そっち、超楽しそうなんですけど~。』
『私も乗りた~い。』
『時雨は兎も角、ポプラちゃんは乗るの無理あるよ…。』
『お昼休憩の時に、皆で遊びましょう。』
『オッケオッケ。それまで、時雨ちゃんと女子会してんね~。』

後でいっぱい遊ぼうね。
いやーしっかし、天気良いし、モフモフに囲まれてるし…

『こんな状況じゃなくて、できれば戦闘音みたいなのも聞こえなければ、素晴らしきお昼寝日和なんだけどなぁー。』
『戦闘音……?微妙に、それっぽいのは聞こえるけど…』
『キンッキンッって、おとする!』
『村の出口の方…ですか?』
『お、流石ウサギ。』
『少し上から見てみるか…』

おお、いいね。鳥っぽいよ!

『どうです?』
『どうやら、冒険者同士で争っているようだが……。』
『流れ弾に、注意しないとね。』

仲間割れ?それとも幾つかの勢力が、賞金は俺達のもんだぜヒャッハー!って成ってんの?
えーと、索敵反応は…

……動いてるのが敵対7、味方12?
味方の方は、出入り口を敵対反応から守ってるっぽい。
他は動いてなくて、中立だ。
これはもしかして……

『ラルフ、戦ってる人の中に、昨日一緒にスライム倒した人達居ない?』
『ん……それらしい人物が居る。背を向けているから、確信は持てないが…』

てことは、たぶん味方が昨日共闘した人達だ!

『現在進行形で、助けてくださっているんですか?』
『たぶん、そうなのです。』
『通り過ぎる時に手助けするか。敵を痺れさせれば、少しは楽になるだろう。』
『アタシも1発、撃っとこうかな。』
『では、私は味方の皆さんを回復します。』

そうだね、少しでも手伝おう。
怪我させない程度に、脅せばいいかな?

『小梅は追って来れないよう、落とし穴作るのです。』
『シオンちゃん、投げれる木の枝とかちょうだい。』
『こっちきたら、おやすみ させるの!』
『マジ戦えないし、お任せするから護って~。』
『私、頑張って早めに抜けるね~。』

村の出入り口に近付いた。
さてさて、どんなもんかな?

「おい、馬車見えたぞ!アレじゃねーか?!」
「くそっ、退きやがれ!!」
「退くわけ無いでしょ。あの子らには、恩があるのよ。」
「御者さん、構わず行ってくれ!!」

うん、味方優勢!
人数もあるけど、見てる限り、冒険者としての質も味方の人達が上っぽい。

『でも、ダメージはちょっと負ってるな。詩音、回復したげて。』
『はい!ついでに、ちょっと試したい事が…《ヒーリング・アローズ》!!』

え、回復魔法って形変えれんの?
てか、良いなそれ!遠くの味方を、ピンポイントで回復できるじゃん!
味方の人達は、突然の白い矢に驚いてたけど、無事当たって回復した。
この技、事前説明はした方が良いね。

『味方から離れさせるわね。《ウィンドエッジ》!!』
『助かる!《グランド・エレクトラ》!』

ウィンドエッジを避けるために、味方から離れた所で、雷の範囲攻撃か。
なかなか恐いコンボだ。

上手く雷も避けた奴は3人。
内1人は、停めてある馬車に向かって走っていく。
2人は此方に来てる。
よーし、2人の方をやろう。

『範囲指定は……『敵の毛』で。』
『『『毛?!』』』
『全身禿げ散らかせ《照日之業火》ぁあー!』
「「ぎゃぁああああっ?!」」

おおぅ、ダメージには成ってないけど、見た目火だるまだ。

『『毛』って…兄ちゃんこっわ…』
『ミライくん、マジエグ過ぎヤバたん…』
『もえちゃったぁーっ!』
『容赦無いね~。』
『なにも、丸裸にすることは無いのです。』
『落ち着け皆。奴等は人族、服がある。オーケー?』

モフモフ基準では、『毛=服,防具』だもんね。
人間は、毛が消えてもそこまで、防御力の低下しないんだよ。
精神的ダメージは負うけど。

さて、後は馬車に走ってったやつ……
…………アレ?あの馬車、さっきの今で車輪壊れてね?

『執事さんが、何かしてたよ。』
『魔法陣が書かれた紙に、魔力を通していたのです。そうしたら、あの馬車の車輪が壊れたです。』
[トルテアさん、何かしたの?]
「はい。昨晩の内に、小規模な破壊の魔法陣を、彼らの馬車の車輪に仕掛けておりました。此方の魔法陣を起動することで、連動して動く仕組みでございます。」
『マジ?』

夜の内ったって、見張り居ただろうに。
執事さんって、皆こういうことできんのかな…?
まあ、いいや。
何にせよ、無事村から出発できたんだし。 

…道中、どんくらい襲われるのかなぁー……
しおりを挟む
感想 497

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十
ファンタジー
異世界で何で魔法がやたら発展してるのか、よく分かったわよ。 戦争の為?。違う違う、トイレよトイレ!。魔法があるから、地球の中世ヨーロッパみたいなトイレ事情にならずに済んだらしいのよ。 で、偶然現地で見付けた微生物とそれを操る魔法によって、私、宿角花梨(すくすみかりん)は、立身出世を計ることになったのだった。

若き天才国王の苦悩

べちてん
ファンタジー
 大陸の半分近くを支配するアインガルド王国、そんな大国に新たな国王が誕生した。名はレイフォース・アインガルド、齢14歳にして低、中、上、王、神級とある中の神級魔術を操る者。  国内外問わず人気の高い彼の王位継承に反対する者等存在しなかった。  ……本人以外は。  継がないと公言していたはずの王位、問題だらけのこの世界はどうなっていくのだろうか。  王位継承?冗談じゃない。国王なんて面倒なことをなぜ僕がやらないといけないんだ!!

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

処理中です...