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ビビりとモフモフ、冒険開始

警戒レベル引き上げ

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俺の索敵結果と小梅の勘、おとーさんからの情報を皆に共有した。
ラルフとレナさんにも、一方通行だけど念話で伝えたよ。
気付かないふりをしてる詩音にモフられつつ、天井を警戒する。

相手も、此方の俺含むモフモフ達が気付いた事は、解ってるはず。
なのに何も動きが無い。
 『捕まらない』と、たかを括っているんだろうか。

『どーするよ、詩音?』
[…捕まえられるなら、捕まえます?]
『だな。…時雨、分裂して俺達の周りを覆ってくれ。』
『はーい♪』
[若葉くん。死角が出来上がったら、固有スキルで見えなくなって、天井裏に上がってください。このハリハリ草には、一時的な麻痺耐性ダウンと、麻痺の効果を付与しています。]
『それを刺しちゃえば良いんだね!任せて!』
『小梅、相手の大体の位置判るか?』
『テーブルの、真上くらいに気配を感じるです。』
『了解。…俺が注意引くから、若葉は相手が動揺したとこで行ってくれ。陽向は、相手が暴れるようなら、寝かせちゃって。』
『わかった!』
『小梅は、捕縛の準備するです。』

さて、仔犬サイズのまま、テーブルに乗って…
範囲指定『上着』で《照日之業火》!!

「っ?!」

白い炎は、天井を無視して突き抜けた。
ボウッと燃える音がしたから、相手の上着に引火したんだろう。
よし、俺でも気配解るくらい、動揺したな!
行け若葉!

テーブルに乗ってジャンプすれば、前肢天井に届くな。
板外せるかも。せいやっ!

パコンッ

『お、外れた♪』
『兄ちゃん、調度シビシビにしたとこだよ!』
『おう、お疲れ若葉!』
「っ……」

こんにちは…いや、こんばんは?
とりあえず、降ろすよー。
ズルズル…

「こ、こんばん、は…。」
「…………」
「ヒッ!?…す、すすすすみません…その…気になっちゃったもので……」
[無言で睨むのは、止めてあげて。コイツ怖がりだからさ。小梅、お願い。]
『捕縛するです!』

燃えたのは、右の袖だけか。
すぐに消したんだね。

あ、もう片方の敵対反応、逃げちゃった。
此方が捕まったこと、解ったのかな。

「麻痺は今、治しますね。《パラライズ・キュア》!」
『大丈夫~?』
「………………」
[ゴメンなー、ちょっと調べさせてね。]

うーん、気配の消え具合からも解るけど、この人偵察のプロなんだろうね。
ずっと、逃走する隙を伺ってる。
どうしよう。尋問しても、なんも答えてくれなさそう。

[詩音、とりあえず色々と撮ろう。何か、素性の手掛かりあるかもよ。]
「そうですね。陽向くん、お願いします。」
『はーい!おやすみ、おやすみ~♪』
「っ……zzz」

よし、寝たな。
ちょっと失礼しまーす。

「小梅ちゃん、捕縛を解いてあげてください。」
『はいです。』
『…んー…あ、女の人だ。』
「あんまり、私たちは触らない方が、良いでしょうか…」
『シオンちゃんだし、別に良いと思う。』
『しおちゃんなら、問題無いのです。』
「そ、そうですか…?」
『お姉ちゃんだもん。』

俺は、肉球以外では、触らないことにしよう。

『しおにーちゃん、きれーなのあった!』
「コレは…金属のペンダントですね。」
[なんか、模様掘ってあるな。]
「一応、撮っておきましょう。何処かの家の、家紋かもしれません。」

あとはー…小振りのナイフに、何かヤバそうな液体入ってる小瓶。
ポーション1瓶、カロリーメ●トみたいなのが3つ。
持ち物はコレだけだね。
…やること無くなった?

「この服…結構良い生地ですよ。貴族のお抱え忍者さんかもしれません。」
[そうなんだ?]
『総長さん、お顔は撮らないです?』
[お忍びさんだし、顔は不味いかなーと…]
『お兄ちゃん優しい~。』

いやまあ、殺しに来たってんなら、おとーさんに引き渡すんだけどさ。
偵察してただけだし。たぶん、被害者から送られて来てるし。
てなわけで、解放してあげよう。

[お姉さーん、起きてー。]
「ん……っ?!」
「あ、あの、コレ…勝手に出しちゃいました…すみません…」
「…………ナイフまで返すか、お人好し共。」

あ、喋った。
ハスキーボイスで、カッコいいね!

[襲って来たら、その時ブッ飛ばせば良いからさ。]
「大した自信だ…いや、その血筋なら当然か。」

え、座るの?
ベッド座っちゃうの?

「図々しい事だが…1つ頼んでも良いか。」
[?聞くだけ聞くよ。]
「……そのクジラ、撫でさせてくれ。」

なんて?

「さっき落とされた時に、少し触れて…その…初めての感触が……」
「時雨ちゃんが良いなら、構いませんよ。」
『いいよ~♪』

分裂した時雨の内1体が、フワフワとお姉さんに近寄る。

「…ハァー………警戒心は持った方がいい。」
『わぁ~っ!』

そして、時雨に突き付けられるナイフ。

『時雨ちゃん!』
[貴様ぁー!何をするだぁー!]
「な、ななな何のつもりです?!」
「私が言うのも難だが、隠密の言葉を、簡単に信用しないことだ。さて、鑑定できなかった情報は、直接教えて貰おうか。」

時雨を抱えて、ナイフを向けたまま、近付いてくる。
汚い流石忍者汚い。

圧倒的ピンチ…かと思いきや、そうでもなかったり。
時雨がさ、『やっちゃっていい?』って顔してるんだよね。
というわけで

『時雨、ゴー!』
『ゴーロー』
『ゴーロー』
『『『ドーン!!』』』
「なっ…?!」

バリバリバリィッ!!

「ゲホッ…な、何故従魔が…指示も無しに……」

パタリ

『従魔って、指示無いと動かねーの?』
「さあ…?」
『基本、技を使うような攻撃は、勝手にしないです。ヴァンお兄さんが言ってたです。』
『そうなんだ?』
『仲間が危険な時は、例外的に技を使ったりもするです。でも、大抵の子は人間程賢くないのです。だから、指示を待つのです。』

成る程。
逆を言えば、小梅みたいな賢い子は、指示要らんと。
つか、家の子達…陽向以外指示要らなくね?

『シグレちゃん、大丈夫?』
『けが、してない?』
『大丈夫~♪』
『よしよし、ビックリしたなぁ。』
「怖い思いをさせて、ごめんなさい。」
『怖くないよー?ナイフの刃、潰れてたもん。』
『少しだけ厚くして、切れなくしたのです♪』
『流石だ小梅!』

だから、時雨も落ち着いてたのか。

「それで、その…この人どうします?」
『慈悲など要らぬ!!洗いざらい、吐かせてやる!皆、協力してくれ!』
『勿論なのです。』
『がんばる!』
『やっちゃうよ!』
『えいえいっ』
『『『『『おー!』』』』』
「解りました。…まずは拘束して、ヒールですね。」

ここからは、平和な旅とは思わないで行動しよう。
サーチ&デストロイまではいかなくても、常に警戒しないとダメだ。

『拘束完了なのです。』
「ありがとうございます。《ヒール》!」
「ぅぅ…?」
[お目覚めだな、お姉さん!]
「くっ…2度も捕縛されるとは……殺せ…!」
『くっころ、マジで言う人初めて見た。』
「未來くん、言ってる場合じゃないです。」

そうだった。
さあ、お仕置きの時間だよベイビー!

[今から、俺達はお姉さんを拷問します。]
「フン…そんな事で、私が口を割ると思うか?」
[思うね!俺なら即ゲロるもん!]
「…………」
「あ、あの…たぶん、貴女が思うような拷問では、ありませんので…」
「なに?」

その通り!いくぞ皆!

『かかれー!』
『小梅は首をやるです!』
『ボク足の裏!』
『私、膝~♪』
『おなか!』
『んじゃ、俺手首にする!』
「!?え、ま、待て何を…?!ふっ、フフッ、アハハハw!!」

どうだ!モフモフボディによる、全身擽りの刑は!
俺が子供軍団にやられた、チーム技の威力、とくと見よ!

「えっと、まず…雇い主さんは、どなたでしょう?」
「言うわけッwwwない、だろぉ!www」
「そうですよね。では……私たちの、何を調べていたのですか?」
「秘密w秘密だぁwww!」

うーん、強情だなぁ。

[犬派?猫派?]
「はぁ?!www」
『…小梅、同時にやってみるか。』
『はいです!』

おりゃー!俺の毛並みの虜or小梅の可愛さにメロメロに成りやがれー!

───────
──────
─────

「雇い主だけは…雇い主だけは勘弁してください…!この仕事、信用第一なんです…!」
[うーん…解った。そこは自分達で調べるよ。]
『何を調べてたのかは、教えてくれたです。それで充分なのです。』
「ありがとうございます!」

結論、両方やってみたら、両方掛かった。
どうやら、何派とかじゃなく『動物好き』らしい。

「色々と、申し訳ありません。」
「いえ。あの拷問だけは、正直幸せ過ぎて死ぬかと思いましたが。」

うんうん。動物好きには、たまらない状態だよね。

[おとーさーん。隠密さんから、お話し聞けたよ~。]
「そのようだな。」
『ふぉうっ?!』
「?!いつの間に…!」

ど、ドアの前に居たんだ?
索敵は敵対反応に集中してたし、気配も無いから全く気付かなかった。

「時雨がクジラ質にされた時は、乗り込もうかと思ったぞ。」
[心配させてごめんなさい。]
「うむ。」

……とりあえず、このお姉さん拷問するのは、やめてね?
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