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ビビりとモフモフ、冒険開始

明日は何処まで行きますか?

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ご飯の前に、外で皆の砂を落とさないとね。
陽向の毛を少しポンポンすると、パラパラ落ちてくる。
小梅は体についた砂を吸収して、魔法で出す砂に混ぜれるから大丈夫。
若葉は短毛だから、ポンポンしてけば取れそう。
時雨はお水で自浄可能。
陽向は水洗い必須である。

小梅がピラミッドのついでに作ってくれた、猫足バスタブに水を張って、わしゃわしゃ。
砂落とすだけだし、天使の水薬は使わなくていいかな。

『パシャパシャ~♪』
「わぷっ…こら、陽向。遊んでるんじゃないんだぞー。俺に水かけて、遊ぶなー。」
『ごめんなさい。』

解ればよろしい。
んー…大体取れたかな?
よしよし、乾かそう。
直で絞る訳にはいかないし、とりあえずタオルで軽く水気を取ろう。
タオルを少し暖めながら、わしゃわしゃ拭き取る。

「若葉くんの砂、取り終わりました。」
『スッキリしたよ!』
「ん、ありがと!んじゃ、次は陽向のドライヤー頼む。」
「はい!」

小梅以外のお世話も、だいぶ馴れたね。
まあ、皆が暴れたりしない、良い子だから楽ってのもあるだろうけど。

陽向の毛が乾いたら、小屋の中へ戻って席に着く。
先に食べてていいよ~と言ったんだけど、2人とも待っててくれた。

「お疲れ様。」
「ありがと!お腹すいた~♪」

小屋の椅子は2脚。
足りない分は、おとーさんがアイテムボックスから出した。
なんで持ち歩いてんの?いいけどさ。

皆で一緒に、両手を合わせて、いただきまーす♪
早速、ピザを1切れ手に取る。
とろけたチーズがトマトと絡んで、今にもこぼれ落ちそうだ。
先端から半分に折り畳んで食べよう。

「はむっ……~♪生地もちふわっ!チーズトロトロ!うまぁ~!」
「ほんとに、美味しいですっ!」
「お口に合って良かったです♪」
『スープも、美味しいです♪』
『兄ちゃんのスープとは、なんか違うね!初めての味!』
『~♪いろんな、おやさいのあじする!』
『美味しいね~♪』

モフモフ達は、コンソメスープから食べてる。
って、当たり前か!
手を使えないんだから、ピザ取れるわけねぇよ!
よしよし、取り分けよう。

「いいか、陽向。この美味しいのが、本当のピザだからな。」
『ホントのピザ!』
「そ。俺が太ったおっさんに言ってたピザは、太ってる人に対する、ある悪口の略なんだ。」
『わるぐちなの?』
「思いっきり侮辱。」
『わるぐち、めっだよ!』
「さーせん。」

詳細は教えない。けっこう酷い言葉だからな。
本当は『黙ってピザでも食ってろデブ』の略なんだ。
口の悪い俺でも、言ったことあるのは、喧嘩する相手か、よっぽど嫌悪感のある奴にだけである。

『あの時も思ってたですが、変わった悪口なのです。』
「何故ピザが恰幅の良い者を表すのか、疑問ではあった。」
「確か、ピザばかり食べていると、太りやすいからだったと…」
「そうなのですか?量には、気を付けないといけませんね。」
『あんまり太ったら、動き鈍くなっちゃうもんね。』

厳密には違うけど、それも真実だし、そういうことで。

野菜と卵たっぷりのコンソメスープは、ピザが濃厚な分少しアッサリした味付けだ。
レタスと玉ねぎ、ニンジン、ブロッコリーが入ってる。
コンソメ、久しぶりに飲んだ気がするよ!

『ロゥミアお姉さん、スープおかわり~♪』
「あ、おかーさん俺も!」
「ミライ、気持ちは解るが、飲み切ってからにしたまえ。」
「ですよね!」

おかわり予約はダメっすか。
暖まるし、ヘルシーで美味しい。
うまうま。

そして、蒸し鶏の根菜詰め。
俺が教えたゴマドレがかけられてて、なんというか『鶏が丸ごとの棒々鶏バンバンジー』だ。
肉は良い感じにホロホロ崩れ、拍子木切りの大根とニンジンもしんなりしてる。
…今度、中華作ろうかな?
餃子と炒飯なら、イケる気がする。


ピロン♪

『ジャガイモとトマトのピザ』のレシピを記録しました。
『野菜と卵のコンソメスープ』のレシピを記録しました。
『蒸し鶏の根菜詰め』のレシピを記録しました。

………え、コンソメスープって…こんなに材料要んの?
コケコッコの挽肉と、玉ねぎ、ニンジン、セロリ、ドライアド(葉)、月桂樹の葉、卵白、色味付けに玉ねぎの皮……
ブイヨンから作る方法よりは、簡単なのっぽい。
しっかし、レシピの材料に『玉ねぎの皮』とかシュール。食べるわけじゃないけども。

───────

食後のデザートに、真っ赤なイチゴを摘まみつつ、明日からの予定について打ち合わせる。
おとーさんに言われて、超高性能地図さんを出した。

「………ミライ、コレはどう扱うのかね?」
「あ、やっぱ俺ら用にカスタムされてんのな。ヘイ、マップ。ケールからこの国の王都行くんだけど、良い感じの縮尺にできる?」
[畏まりました。表示範囲をケール周辺から、グリンス王国シルフィード領~王都シュプリームに調節致します。]

最早Si●iとグーグ●マップだよな、コレ。

「便利なものだな。」
[縮尺の変更が完了しました。手動で変更するときの操作を説明しますか?]
「え、できんの?お願い。」
[畏まりました。縮尺を大きくする場合は、画面内をピンチアウトしてください。小さくする場合は、画面内をピンチインしてください。]

タッチパネル式!ありがてぇ!

「なあ、詩音…!」
「は、はい。コレ本当に凄い…」
「縮尺の大きい小さいって、どっちがどっち?!」
「どっちとは?!なんとなく、言いたいことは解りますけど!」
『縮尺が大きい方が、実際の大きさに近いはずなのです。』
「へぇ。そうなのかぁ。」

…最近、小梅が特に俺も詩音も教えてない事、知ってるんだよね。
どこから知識仕入れて……そういや、こないだテントにある俺らの鞄から、教科書出してたよーな……。

「王都まで、普通の馬車で大体1週間。貴族なら、ルートはこうなるだろう。」

おとーさんの指を追って、目を動かす。
半透明の青い線が、地図に引かれて解りやすいな。
ケールからいくつかの村や町を通って、王都に辿り着くらしい。

「この町も寄るの?距離的に、こっちの町で大丈夫じゃない?」
「そちらには、貴族が泊まるような、大きな宿が無いのだよ。」
「成る程、そういうことも、考慮しないといけないんですね。」
『泊まる場所は大事だね!』
『私が馬車引くんだよね。お馬さんに、追い付けるかな~?』
「寧ろ、シグレちゃんの場合、置いていかないように注意するべきかもしれませんよ。」
『シグレおねーちゃん、はやいもんね!』

俺達は、男爵家の馬車の真後ろに、付かず離れずくらいで着いていくらしい。
引くのは時雨。御者台に若葉が乗ることに成った。
何かあった時、若葉なら一足先に対応できる。

「明日は、この村まで?」
「そうなるだろう。余程の事が無ければ、貴族が野営をするような事態には成らん。」

明日の11時出発だよね。
夜の移動は危険だし、何より護衛対象はウサギだ。
夕方には付きそうな、この村にするのも頷ける。
『ダンディル村』…どんな場所かな?

「緑風屋の支店はありますよ。」
「…花を畑で育てていたな。」
「へぇ!お花が産業かぁ~♪」

綺麗なんだろうなぁ。
…そだ陽向、村のお花、食べちゃダメだぞ。

「養蜂も盛んなはずだ。」
「マジか!蜂蜜売ってる?!」 
「はい、沢山売ってますよ。」

養蜂かぁ~。なんというか、自然と暮らす村って感じだね♪
のんびりまったり、スローライフ?

楽しみだなぁ。
そうだ、俺の運よ、今こそ本気出せ。
あのウサギが、村の人に何かしてなければ、きっと平和に過ごせる。
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