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ビビりとモフモフ、冒険開始

お届け!若葉急便

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※お部屋で休憩中の若葉視点

『兄ちゃん、疲れてないかなー。今日ずっと、お料理してるよ。』
「問題ありませんよ。未來くん、お店で働いていた時は、今日の比じゃないくらい、大忙しでしたからw」
『お姉ちゃんは、疲れてないー?』
「大丈夫ですよ~。そして、私はお兄ちゃんですからね~。」
『しおにーちゃん、おてつだい、する?』
「フフフwありがとうございます。でしたら、応援をお願いできますか?」
『うんっ!がんばれ、がんばれー!』

兄ちゃんは、コウメちゃんと一緒にお料理。
シオンちゃんも、エデンくんにお洋服縫うの忙しい。

ボクもコウメちゃんみたいに、お料理手伝えたら良かったんだけど…
今日はお待たせしてる人も居るから、たぶん足手まといは居ない方が良い。
お裁縫は、シオンちゃんと同じくらい上手じゃなきゃ、一緒に作った時に違和感が出ちゃう。

つまり、今ボクができるのは、シオンちゃん達の護衛くらいなんだよね。
兄ちゃんは素で強いし、お姉さん達と一緒だから大丈夫。

「未來くん、明日の準備って、何処までする気なんでしょう?お土産は確定として…その気になれば、パンケーキも紅茶も、今から用意できますけど……」
『おみやげ、つつむー!』
『ある程度、向こうで作った方が良いんじゃないかな?あのお家で、信頼されてる人に、行程見せてあげなきゃ。』
『人間は、疑い深いもんね~。』

パンケーキに、バラのお花使うって言ってたけど…
バラって美味しいのかなぁ?

『……あーーーーっ!!』
「わ、若葉くん?どうしました…?」
『説明後で!シグレちゃん!シオンちゃんと、ヒナタくんお願い!』
『はぁ~い、いってらっしゃーい♪』

大変だ!兄ちゃんお花買ってない!
きっと忘れてるんだ!
コウメちゃんは、兄ちゃんのお手伝いで動けないから、ボクがなんとかしてあげないと!

えーと、えーと…そうだ!
デイヴィー兄ちゃん、連れてけば良いんだ!
匂いを辿って、捜し出そう!
んーと……お庭の方だ!窓から行っちゃえ!
とーうっ!

「この辺りに、小型の菜園を作りませんか?せめてお客様と、皇帝陛下には常に、お野菜をお出しできるようにしましょう。」
「そうですな…しかし、景観が崩れてしまうのが…」
「気になるようでしたら、壁で区切るのも手ですよ。」
『デイヴィー兄ちゃぁーん!』
「ん…上からワカバくんの声…うぉおおお?!何階から跳んだの?!」

受け止めてくれた!ありがとう!

『ちょっと来て!』
「へ?えっ?!ちょ、俺結構重…嘘ぉっ!?」

コウメちゃんなら、上手いこと説明できるだろうけど、ボクの場合実際連行した方が早いと思う。
尻尾で巻いて、持ち上げちゃえ!
お話してたおじちゃん、ごめんね!

「いや、えっ?!俺の体重、ワカバくんの10倍はあるんだけど!?」
『シオンちゃんの、十字架より軽い!』
「弔いの十字架、そんな重いっけ?!す、すみません、何やら急用らしいので、失礼致します!続きは明日にでも!」
「…はい。また明日、よろしくお願い致します。」

急げ急げー!
兄ちゃんの匂いは此方だ!

「……さて、菜園の範囲と作物くらいは、自分で決めましょうかね。」

───────
──────
─────

急げ急げ!

「きゃっ?!」
『ごめんなさーい!』
「ご、ごめんねー!」
「……い、今のは一体…?」

メイドさん、ごめんね!
ちょっと通るよー!

「ワカバくーん?!先に説明が欲しいんだけどなぁ!?お兄ちゃん、何が起きてんのか解らなくて、混乱しかけてるよ!」
『兄ちゃんが、バラの花買うの忘れてるの!』
「バラ?どんなんがいいの?」
『なんか、紅いやつ!』
「オッケー、詳細ミライに聞く!」

厨房はどこだぁーっ!
兄ちゃん、困って無いかなぁ?
ん…兄ちゃんの匂いと、美味しい匂いする!ここかな!?

「未來くん、絵描くの苦手って言ってなかった?バラの花、上手じゃない!」
『お花可愛いです♪』
「俺さ、料理じゃなくなると、途端に描画力と造形力がポンコツになるんだよ…。」
「あら、そうなんですか?」
「絞り袋に生地入れて、形作るの可愛いね!お姉ちゃんのお店でも、コレ使っていい?スイートスノウに刺したら、きっと可愛いから♪」
「良いよ~。お互い、使える物は共有しよ!」

居たぁーっ!!

『兄ちゃーん!バラの花持ってそうな兄ちゃん、届けに来たよー!』
「はいっ?!」
「ミライ~、詳細知らずに拉致られたんだけど、説明して貰える~?」

この様子だと、本格的に忘れてたね!
気付けて良かったぁ。

『若葉くん、ナイスなのです!作業一段落したら、言うつもりだったです!』
『兄ちゃん、パンケーキに使うお花!紅いバラ!』
「あーっ!そっか、ありがとう若葉!兄ちゃん、食べても害無くて、良い香りで、なるたけ色の綺麗な、花びらが薄い、紅いバラ無い?」
「注文多いね!?あるけどさ!」

よしよし、ミッション完了!
兄ちゃん、何作ってるの~?

「若葉、兄ちゃん届けてくれて、ありがとな!お礼は…バラジャムの味見一番乗り権でいいかな?もうすぐ夕食できるから、固形物じゃない方が良いと思うんだけど。」
『わぁーい♪』

やったぁ♪
兄ちゃんが作るお料理、みんな美味しいんだよね♪

「ミライ、バラでジャム作るの?良いね~♪ルゥ、修得してよ。」
「はいはいw」
「バラジャムかぁ~♪それ使って、バラ味のスイートスノウ、作ってお店に出しても良い?」
「勿論!…いいな、バラアイス。姉ちゃん、それ明日パンケーキに乗せていい?」
「良いよ良いよ~♪レシピ、お姉ちゃんと考えよ♪うふふ~ミライと共同製作できる~!」

バラアイス?どんなのかな?
アイスは、お昼にティナお姉ちゃんのお店で食べたやつ、兄ちゃんとシオンちゃんがそう呼んでた。
バラのアレかぁ~…。
どうなるか解んないけど、兄ちゃんが作るって言ってるから、美味しいんだろうね!

───────

※未來視点でバラジャム作り

さてさて、若葉を待たせられないな。

「姉ちゃん、残りの生地お願いできる?」
「任せなさ~い♪絶対生地余ると思うから、ちょっと貰っていい?お店で使いたいの。」
「うん。俺が持ってても、使い切れそうにないし。」

姉ちゃんへの報酬には、成りそうもないけど…

「バラはコレで良いかな?毒性無いし、色も香りもこの通り。」
「ありがとう!」

用意するのは香りの良いバラに、レモン汁と水と砂糖…はお城の物だから、ビットの実だな。
まずは、バラの花びらを綺麗に摘んで…
ザルに乗せて、優しく洗う。

『お花、洗うです?』
「うん。自然の物だから、どうしても花びらの中に細かな埃とか、砂とか入ってることはあるからね。」

洗い終えたら、よく水を切って…
ボウルに入れて、レモン汁と合わせてよ~く揉む。

「未來くん、何でレモン汁入れるの?」
「ジャム作る時に混ぜると、発色良くなるんだよ。理由知らんけど。」
「へぇ~。」
「とろみも、付きやすくなるよ。お姉ちゃんと、ママも使ってま~す♪」
「お兄様が仰るには、ジャムのとろみには、果物に含まれる成分の量が、関係しているそうですよ。」

へぇ、そうなんだ。
良いこと知った。

良く揉んだら、花びらと色水に分けて…花びらを水とビットの実と一緒に煮詰める。
弱火でコトコト、10分くらいが目安かな。

『いい匂いするね~♪』
「ミライ、こっちの色付いた水はどうするの?」
「最後に混ぜるから、捨てないでね。」

トロトロに成ってきたら、色水も混ぜて、水分が飛ぶまで更に煮る。
いい感じになったら、瓶に…………

「若葉!詩音か、詩音が持ってる瓶持ってきて!」
『はーい!』

若葉急便、助かる…!
小梅に取ってきて貰っても良いけど、今日はもう空間転移しない方が良いだろうしね。
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