ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

文字の大きさ
上 下
157 / 249
ビビりとモフモフ、冒険開始

お酒は程ほどにしましょう

しおりを挟む
印刷機っぽい物まで作れるって…ビルムさん、その知識はどっから来てんの…?
つか、まだ王城でしか使われてない代物を、俺が貰うってのもどーよ?
等々、疑問と不安が尽きないまま、ディアナ姉ちゃんと2人で、ビルムさんが籠ってるお部屋へやってきた。
姉ちゃんは、ノックもせずにドアを開ける。

「姉ちゃんノックしようよ…。」
「いいのよ、作業中なら返事なんて無いわ。リグルは、足音で解ってるでしょうし。」

部屋の手前には、大量の木箱が幾つかの山を形成していた。
其々の箱に貼ってある紙は、魔導具の名前らしきものが書いてある。
妖精の灯は知ってるけど…地竜の爪痕って何だろう。耕運機とか?
そんなもんまで作れるとしたら、アンタマジで何屋だよって事になるけども。
他にも、シルフの風とか、ウンディーネの泉とか、ファンタジーな名前の物が沢山。

「…呆れた、もうこんなに作ったの?」
「絶対、時止めながら作業してんな。」

木箱を崩さないよう、慎重に進むと……

「っ?!ちょ、ちょっと!倒れるの早くないっ?!」
「わぁああああっ?!ビルムさん大丈夫?!生きてる?!」

テーブルに突っ伏してる、件の機械馬鹿の姿が……!

ん?足元に何か落ちて……酒瓶?
度数は書いて無いなぁ。
テーブルの上には…木のコップが1つ。
…もしかして……

「ん…………」
「い、生きてはいるわね?はぁ…もう、1回起きなs」

スッと、力無くテーブルに投げ出されてた右手が、姉ちゃんの後頭部へ回る。
薄く目を開けたビルムさんの顔が、姉ちゃんの方を向いた所で…………

とりあえず、姉ちゃんのために、俺は後ろ向いといた。

聞こえない聞こえない…
やたら艶っぽい息遣いとか、姉ちゃんがペシペシとビルムさん叩いて抵抗してるっぽい音とか……
俺は何も見てないし、聞いてませんよ~。

「っはぁ……もしかして、酔ってる?」
「ん~…べーつに、良いでしょーが。仕事はぜーんぶ、終わらせましたよってねぇ。」
「はぁっ?!の、納品数各何百個だと…最低1ヶ月かかる仕事、3時間以内で終わらせたわけ?!」
「やることさえ終われば、明日は可愛い嫁さんと帝都観光できるなぁ…と思いまして?」
「それだけの為に、どんだけ時間止めたのよ…!こ、コラ、離しなさい酔っぱらい!ミライ居るから!」

……俺、退散した方がいいかな…?

『…すんません、坊っちゃん。旦那、スッカリへべれけで…。』
「あ、リグルさんお疲れ様……なんか温かいけど、お酒飲んだ?」
『あっしも、酒にゃ目が無い質なんすよ。』

飲んでいいの?
…蛇って酒好きなんだっけか。

「きゃっ?!どどどどどどこ触って…っ!?目ぇ覚ましなさいっ!《ブルーサンダークラッシュ》!!」
「ぐはぁっ…?!」
「覚まさせるべきは、『酔い』じゃないかな。」
「同じようなもんよ!」

いや、だいぶ違ぇよ姉ちゃん。
愛する旦那様に、凝縮した蒼い雷ぶち当てて良いの?
神様だから、死なないとは思うけどさ。
果たして何処触られt何でもありませんお姉様。

『坊っちゃん、よーく覚えとくっすよ。嫁を愛でるとき、照れさせ過ぎるとああ成るんす。特に人前は注意っす。』
「うん。砂で埋められないように、気を付ける。」
「いったたた…おおっ?!」

スゲェ、焦げてすらいない上に、普通に起き上がった。
そして、起き上がったばかりの人の、胸ぐらを左手で掴み上げ、右手に雷纏って笑顔を見せる姉ちゃん怖い。
ビルムさんは苦笑いしながら、無抵抗で両手を挙げた。
降参のポーズは、世界共通らしい。

「……酔いは覚めたかしら?」
「覚めた覚めた。俺が悪かったんで、右手バチバチ言わせんの、辞めてくれませんかね。」
「全くもぉ…ミライ居るって言ったのにっ!変態!スケベ親父!色情魔!」
「堪え性無くて、すいませんねぇ。目の前の嫁さんが、あんまりにも可愛かったもんで。」
「なっ…!ななななな何言ってんの、もうっ!!」
「よっ、ミライくん。ごめんな、教育に悪いもん見せて。」
「大丈夫、何も見てないよ。それに、コレでも中身18歳だしね。」

良かったね、俺がリアルちっちゃい子じゃなくて。
ガチで生後3ヶ月だったら、ビルムさんが、おとーさんにぶん殴られてると思う。

───────

※その頃お部屋の方では…(詩音視点)

「ルゥはねぇ~、お料理上手で~ほんわかしてて可愛くてね~♪優しいんだよ~♪」
「は、はい…何となく解りますが…。」
「あ、シオン、取っちゃダメだよ~?ルゥは、おーれーのーだからね~。」
「と、取りませんよ…。」

あぅぅ…お兄さん方が、お酒飲み始めちゃいました…。
デイヴィーさんのノロケ話が止まりません。
だ、誰か助けてください…!
ガルヴァさん、ガルヴァさんはどちらに?!

「んな、無理にお洒落だ何だって、気ぃ使うことねぇーよ。俺のツバキも、そんな感じだったしよぉ。」
「えっと、ありがとうございます…?」
「大体、今も昔も若ぇ女は、なよっちいの多過ぎんだよなぁ。俺ぁ、後ろでガタガタ震えてるより、剣抜いて一緒に戦い出す女の方が好みなんだよ。」
「そ、それは人其々じゃ…」
「おぅ、だからよぉ。そのまんまのレナを貰いてぇって奴が、絶対居んだよ。断言してやる。お前は良い女だ。もう3年もすりゃ、色んなとっから『嫁に来い』って言われるようになる。賭けても良いぜ?」

あぁぁ、ダメです…!
別のベクトルの絡み酒でした!
えっと、なら…マクベスさんは?!

「お父さん…昨日ごめんね……すぐに助けに行けなくて…。お父さんなら、大丈夫って…高括ってた…。気付いた後も…お父さん倒れてるのに……助け起こしもしないで脅してたよね…。本当はね、『すぐ治療するよ!シッカリして!』って、駆け寄りたかったのに…弟妹きょうだいの前だと、素直に行動できなくて……。」
「そう、気に病むことはない。アレは私の自業自得だ。」
「ううん…俺もお父さんが、つい遊んじゃうの知ってたし……。お父さんが、死んじゃったらどうしようって…昨日初めて思った。俺ね、お父さん大好きだから……死なないで…長生きして。」
「よしよし、案ずるな。私は、そう簡単には死なんよ。」

た、助けを求められる雰囲気じゃ、ありません……っ!
ロゥミアさんは……

「…スー……スー……zzz」

既に、ディアドルフさんの太腿を枕に、お休みでしたか!良い夢を!
る、ルゥナさん…!奥さんなら!

「ウフフフ~♪お姉ちゃん、ミライも飲むかなぁ~?取っておく~?」
「ダメですよ、ティナ。ミライは精神年齢が高いというだけで、まだ小さな子供ですからね?」
「そっかぁ~、ミライ早く大人に成んないかなぁ~。」
[シオンちゃん、ごめんなさい!ティナで手一杯です…!]
[は、はい!気付いていただけただけでも、嬉しいです!その、そちらも頑張ってください!]

あ、あの、ヴァールフラン家の皆さん…絡み酒多くないですか…?
き、気を取り直して!ジェイクさん、は……

「……………」
「…そんな目をしてもダメです。…こ、コイツらは、コイツらだけは、死守させてもらいます…!」
「…猫……羊……小猿……くじら……!」
『そ、総長さん帰って来てですぅ…!ジェイさんが怖いのですぅぅ…!』
『ジェイクおにーちゃん、どしたのー?』
『ヒナタくん、今は隠れる時だよ!捕まったら、大変な事になるって、ボクの勘が言ってる!』
『かくれんぼ、かくれんぼ~♪』

ああっ!小梅ちゃん達が狙われてます!
ら、ラルフさんの手助けに…行けません?!
デイヴィーさん、離してくださいっ!
え、お酒?わ、私は遠慮しておきます!

「デイヴィー兄さん、シオン困ってるぞ。姉さんの話なら、俺が聞くって。」
「ん、フィー聞いてくれんの~?ルゥの可愛い所百選~♪」
「聞くから離してやれって。…ほれ、行ってやりなシオン。」
「ありがとうございますっ!!」

まさかのフィルさんが、救い主に…!
お酒飲まれてないんですか?
え、皆と同じくらい、飲んでいらっしゃる?
……はぁ…ドワーフの飲み会に出てたら、とんでもなく強く成られたと……。

「……全く、少しは私に遠慮してくれても、良かろうに。」
「お酒、今日はダメ…一応、ね?」
「ああ、解っている。」

……そういえば、ディアドルフさんの絡み方も、なかなかだったような……遺伝、でしょうか?

…………まさか、未來くんにも、絡み酒遺伝しませんよね?!
しおりを挟む
感想 497

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十
ファンタジー
異世界で何で魔法がやたら発展してるのか、よく分かったわよ。 戦争の為?。違う違う、トイレよトイレ!。魔法があるから、地球の中世ヨーロッパみたいなトイレ事情にならずに済んだらしいのよ。 で、偶然現地で見付けた微生物とそれを操る魔法によって、私、宿角花梨(すくすみかりん)は、立身出世を計ることになったのだった。

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

処理中です...