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ビビりとモフモフ、冒険開始

献上と納品

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疲れた時は、甘いものが良いらしい。
それは、この世界でも、例外ではないようだ。

「あ~、甘味が染み渡る…!」
「ありがとうな、坊や達!お陰で立てるくらいには、体力回復したよ!」

都民へ提供する食事を作り終え、ヘトヘトになってた料理人さん達が、パンケーキで復活した。
美味しく出来てて何より♪

「ミライ、多目に作ったのか。」
「お代わり用ですか?」
「んにゃ、お前らと小梅達のだよ?」
『えっ…!狼兄ちゃん…数間違ってない?』
『ラルフおにーちゃん、しおにーちゃん、コウメおねーちゃん、ワカバおにーちゃん、ボク……』
『総長さん…自分数えたです……?』
「…………………あ。」

あー…やっちゃった。
たまにやるんだよなぁ。自分だけ忘れるの。

「未來くん、半分こしましょう!」
「俺のも食べろ!お前が一番頑張ったのに、当たらないなんて酷過ぎる!」
『おにーちゃん、ボクのもどーぞだよ!』
『食べて食べて!』
『小梅のもどうぞです!あーんしてあげるのです!』
「マジか、いいの?!」

優しいダチと彼女を持って、幸せ者だね俺!
アホやらかして逆に得してる!

『あーんです♪』
「あーむ♪」

ん、うまぁ~♪
やっぱ、このリンゴのコンポート最高!
おかーさんのレシピだもんねぇ。

「ありがとー♪小梅、あーん♪」
『にゃーん♪…モグモグ……モチモチフワフワで、美味しいのです♪』
「はふぅ…パンケーキだっけ?美味し~い♪ミライ、お料理上手だね~♪」
「ティナのスイートスノウを、コレに乗せても合いそうですね♪」
「スイートスノウ?…甘い雪?」
「ミルクで作る、冷たいお菓子だよ。私、『淡雪』っていう氷菓屋さんやってるんだ。ケールにもあるから、今度来てよ♪」

ミルクで作る、氷菓……アイスクリーム?!

「ティナ姉ちゃん、それ作るのに氷魔法とか要る?」
「私は氷属性だから、魔法で作っちゃうけど、ビルお兄ちゃんの魔導具でも作れるよ。」

ほほう。氷魔法要るなら、詩音に習得してもらおうかと思ったけど…魔導具買ってみようかな?
ビルムさん製なら、きめ細かい良いアイスできそう……ってか、あの人アイスクリームメーカーまで、作ってんの?!

「ミライ~パンケーキ出来たってー?」
「お、デイヴィー兄ちゃん!おいでおいで。」
「行く行くwあ、ルゥ~!今朝ぶりのルゥだぁ~!!」
「きゃっ…人前で抱き着くのは、やめてくださいっ!」
「ふぶっ?!」

おお、ルゥナ姉ちゃん…顔面に、デカめの石押し着けるとかやるな。

「兄ちゃん、マジで姉ちゃんの旦那さんなんだね。」
「うん。ルゥは俺のだから、取っちゃダメだよ~。」
「取らねぇよ。」

やだよ、兄姉の夫婦に弟がチョッカイ出すとか、其処らの昼ドラよりドロドロの三角関係じゃん。
俺だって小梅一筋だし!

「一応聞いても良いですか。」
「ん、いいよラルフくん。なぁに?」
「…婚姻に対する葛藤などは、無かったのでしょうか?」

勇者かよラルフ。
気になるところではあるけどさ。

「なんで?」
「即答で『なんで』?!」
「本当に、何も気にしていらっしゃらないんですね…。」
「解りました。ありがとうございます。」
「??うん、どういたしまして?」

心底不思議そうに、キョトンとしてやがる…。
この兄の辞書に、『世間体』という言葉は無さそうだな。

「んで、パンケーキって、コレ~?この甘い香りしてるやつ?」
「は、はい。そちらが、未來くんの新作、モチフワパンケーキです。」
「タロンとリンゴと、シュミット使ってるよ。」
「お兄ちゃん、ソレ滅茶苦茶美味しいよ!」
「へぇ、ティナのお墨付きなんて、期待しちゃうね!えーと、なんだっけ…いただきまーす!」

アップルパイと違い、流石に素手では行かないらしい。
大きめに切って、フォークで口に運んだ。

「~~っ!!うっまぁー!!でも、めっちゃ甘っ!ガルヴァの紅茶欲しい!」
「あ…そういや、セレスティアさん向けに、甘めにしたんだ。ゴメン、お茶淹れるね!」
『総長さん、小梅が淹れるです。給仕スキルで、できるのです。』
「え、凄くね?」

給仕って、そこからなの?
運ぶだけかと思った。

「ミライ、母さんに甘露煮教わってたんだね~♪ちょっと風味違うけど。」
「あ、やっぱ誰のレシピか解る?」

教わったんじゃなくて、舌とスキルで盗んだんだけどね。

「そりゃ、解るよwでも、何時もと香りが変わってて、食べなれた甘露煮ともまた違う味に成ってるから…少なくともフィーは気付かなさそうかなwシュミット混ぜても、美味しいもんだね!」
「俺らの故郷では、結構定番だったよ。」

あと、リンゴとハチミツとかも。
何故か、カレーしか思い浮かばんけど…もっと色々とあった気がするのに。
何はともあれ、コレで納品完了かな?

…いや、今回使ってないやつで料理したときも、呼ぶべきか。

「やあ。パンケーキとやらは、できたかい?」
「うん。セレスティアさん、コレで詩音にロリータ女装させるのは、諦めてやってよ。」
「それだと、君は良いってことに成るけども。」
「俺ら全員見逃して!」
「お味に寄るかなぁ~♪」
「セティちゃん、男の子に可愛いお洋服着せてたら、嫌われちゃいますよ?」
「大丈夫大丈夫、可愛かった頃に散々着せ替えたビルムが、なんやかんやボクのこと嫌って無いからね。」

…神様の舌に敵うかなぁ。

「……そういや、レナさんは?」
「…………置いて来てたな。」
「も、もしかして、レナさんが10パターン着せ替えの餌食に…?!」
「ん…してないよ?金盞花ちゃんに合う色が無くてさ。あの子は桃色や白より、赤や橙,黄色が似合うだろう?」

あ、その辺は考えて着せるんだ……

「橙のリボンはあげたけどね。」
『リボンです?』
「ああ、彼女に似合う、可愛いやつをね。それにしても、コレ美味しいね♪お着替えは何れしてもらうけど、着たまま出掛けようとは言わないであげるよ。」
「もう、セティちゃんたら……。」
「良かったね、ミライ。大健闘だよ!」
「いや、着せるのも辞めてやってよ…確かに、シオンは似合いそうだけどさぁ。」

ロリ服は結局着せられんのかよ…っ!
しかも本来お出掛けがセット?!

「まあ、今日のところは…コレで我慢してあげようじゃないか。」
「えっ、わ、私もリボンですか?!」
『可愛いのです♪』
『みずいろー♪』
『キレイだね~♪』

水色の生地が、白いフリルで縁取られたリボンだ。
ソレで、詩音の長い髪を、緩く結ぶ。

「本当は編み込みとかしたいけど…こんなところかな。うん、可愛いよ♪」
「う、嬉しくないですぅ……。」

ラルフ、俺をチラチラ見ないで。
予想以上に似合ってるもんだから、指摘しちゃいたいんだろうけど、堪えて。
詩音の将来の夢は、レオンさんみたいな、体格良くてワイルドな大人なんだ。

「フカフカくんにも着けたいんだけど、また小さい子になって貰えるかい?」
「オコトワリシマス」
「おや、残念。」

黒ならマシって問題じゃねーから。
俺にリボンは合わないから。

「そのリボン、レウィスちゃんも色違いで持ってたような…」
「そりゃあね、可愛い娘にあげないわけ、無いだろう?」
「詩音、大丈夫か?そのリボン、なんか変な魔法掛かってたりしないか?」
「い、異常は無さそうですけど…」

…レナさんにもあげてるから、無いとは思うけど…『自分の子』の目印とかだったら、どうしよう。
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